ギルティ。

フラクタルに振る舞うことが上手でも、彼の前では全てが剥がされる。あらゆるタイプの女性も、彼の前では無力。服を纏っていても、恥部を晒しているように火照ってしまう。

彼はまずまずの顔立ちで、清潔感のある格好をすることができた。しかし、彼よりも容姿が端麗な男は街を歩いていれば自然に出会えるだろうし、スペックだって彼の上を数えればきりがない。それなのにどうして彼が、例えば日帰りの月旅行の相手としても申し分ないのかと言えば、それは彼がもつギルティな魅力が理由に他ならない。

ギルティ。人は危うさに惹かれる生き物だ。裏切ってしまうかもしれない、いなくなってしまうかもしれない。一度そう思ってしまえば最後。徹頭徹尾、彼のことしか考えることができなくなる。そして彼は、意識せずともそれを相手に差し出すことができる。彼はその魅力を、決して悪用しようとはしていない。しかし結果として、女たちは彼の虜になる。彼のるつぼにはまり、死ぬ者もいれば、性転換をした者もいた。彼はそれを悲しんだり、悲しまなかったりした。

彼のことを人は畏敬の念をもって、ギルティと呼んだ。

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