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擦れっ枯らし。

 貴方は、恐ろしい蜘蛛の糸で私の心を擽り、私の全てを絡め取っていた。気付いた頃には、もう私は身動きを取ることすらも許されていない。むしゃくしゃすると服を脱がし、調子が良い時にだけ慰撫してくる。そこに、私という存在の意義は見出せなかった。貴方にとっては一つのおもちゃに過ぎないのだ。

 そして、貴方は私を起点に、その周辺にも巣を張り始めた。もちろん、私がどんなに声を上げても声が響くことは無い。既に網は張り巡らされているのだ。私は、大切な友達が、私と同じようにおもちゃにされていく様を眺めることしかできなかった。

 「ねぇ、聞こえてる?」

 私は届くはずのない声を貴方に向け続ける。

 「私達だって、貴方と同じ人間なのよ。」

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