針の筵。

槍の先端は鋭い。僕を矢庭に切り裂かんとする。時の槍に不可逆性はない。僕が逃げても、隠れても、必ず貫かんとする。針の筵の様だと嘆いても、これは自分の問題である。時の槍。それは、ある意味では平等なのかもしれない。

如何せん、僕は現実から目を背けすぎた。時の槍の鋭さは、日を追うごとに増していく。一本、二本、三本…。同時に、本数も増えていく。僕の明き盲にも確認出来る時の槍が、襲い迫る。

筵になっても、僕は逃げようとした。致命傷は逃れられぬ。それでも逃げんとする、穴ばかりの僕。蜂の巣の僕から、汗が滲んだ。蜂蜜のようだと僕は笑った。舐めてみた。その蜜も、甘くはなかった。

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