カフェテリア。

出勤は早い。九時に開店する前に、地球が削れて小さくなってしまうくらい丹寧に掃除を小一時間。汗水垂らして、時給九百円。だけど、私はこのカフェテリアでのアルバイトが気に入っている。

なぜなら、カウンターの内側からこっそり人間を観察することが好きなのだ。カフェテリアでの人間ほど、その人となりが表出する場所を私は知らない。特に、一人で来ている人。本を読んだり、パソコンを開いて仕事をしていたり、その過ごし方はだいたい一緒だけど、人となりはまさに十人十色だ。

時々顔をくしゃっとさせるお兄さん。カバみたいに大きな欠伸をするスーツのおじさん。隣のテーブルの会話に耳をそばだてて参考書の進まない高校生くん。そういう人が入れ替わり立ち代る。飽きなんて全然来ないから、暫く辞める予定はない。

あんまり見すぎて、たまに目が合う時がある。そしたら私は、にっこり笑ってあげる。可愛いって、色んなとこで役に立つ。

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