高速移動。

新幹線での移動は、僕を眠りに強く誘う。若い頃、それは過密日程によるものだと思っていた。たまにの旅行は、思わず予定を詰め込んでしまう。じゃじゃ馬のように動き回った末、眠りが寄り添うものだと思っていた。

それが、高速移動によるものだと気づいたのは最近のことだ。飛行機でも、新幹線でも、高速道路でも僕は途端に眠くなってしまう。

それは、時間が圧縮しているからかも知れない。もちろん、光速でないから時間が正確な意味において伸び縮みすることはない。それでも、元来人間が到底辿り着かなかった速度に身を置いていることは事実だ。

ゆっくり歩いた場合の時間が降り注ぐような感覚。避けがたい眠気を拒否するのも、うら寂しい。旅行は、うたた寝を挟むくらいで丁度いいのだ。

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