愛は金なり。

「諸君、お金を愛の単位としようではないか! 」

国王は高らかに宣言した。

「しかし、王。拝金主義的なその方針、市民たちは反発するのではないでしょうか」

国王に唯一献言が許された側近が、恐る恐る伺う。

「なぁに、見てろ。こちらの方が、きっとうまくいくんだ」


「えー、本日より10000キュロを支払うことで恋愛関係を、100000キュロを支払うことで婚姻関係を許されることとします。また、本日より一夫一婦制は廃止と致します」

その指令に、市民たちは激動した。普段は穏やかな国民だったが、デモまで起こった。

「なぁに、見てろ。こちらの方が、きっとうまくいくんだ」
 
国王は怒り狂う国民を見ながら、そう呟いた。


「国王、本日の犯罪も0件でした」

「うむ、やはり愛が適切に再分配された世界で、いったい人がなぜ過ちを起こすものか。フォッフォッフォッ」


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