気まぐれな法則。

昨夜はいささか長い夜だった。いつもより一杯多く呷った。今朝の太陽はいささかのんびりと陽を注いでいるようだ。いつもより憩う時は長い。公園のベンチに座り、無意識に耽る。

「正直言って、君は生き急いでいるようだよ」

友人の言葉を思い出す。

「地球は一定で回っているのに、君はどうして早足で歩くのか」

気儘な友人を僕は置いてきてしまった。

家へ帰って時計を見る。僕は確信する。僕は地球のリズムから外れているのだ。地球は一定に回ってなんかいない。調子が悪い時だって、高揚している時だってある。いかなる法則も論理も一定であるなんてことはありえない。その上で地球に生きる者は、ひとりでにそのリズムと調和している。歩幅を合わせて、生きることができる。

僕は早足なのでなく、不調和だった。地球は僕を疎んでいるだろうか。しかし僕は、歩幅の合わせ方が分からない。僕のリズムしか分からない。僕は時計が唄う鐘の音を聴いた。ゴオン、ゴオン。いつもより幾分か長い。僕はくしゃみをして、孤独を憂いた。



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