to-kyo。

あの日、山手線のホームは僕の思いと裏腹に閑散としていた。さびしさは鳴る、と言ったのは誰であっただろうか。僕はその鳴音に吸い込まれていた。

東京の雨は物憂げだ。傘は重く、パラパラと降り注ぐごとに骨が軋む。この雨を切り裂いて進む電車に思いを寄せると同時に、走らされているというメタファーであるとも思った。誰もが俯いてる。車窓では、大きな雨粒がついてははなれを繰り返していた。誰もが俯いている。

都市は、見る人によって表情がかわる。さらに“光のあて方”を憶えると、ちょっとしたホラーみたいに皺が多い。その皺をなぞるように、または隠すように、ビルは立ち並んでいる。その皺の上をわざわざ踏み締めにきた人が、御託を並べても÷0なんだけれども。

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