活字を喰う。

また、禁断症状がでた。落ち着かない。イライラする。やり場のない怒りに苛まれる。禁断症状。辛い。思考が停止し、音を立てて崩れる。手足をきつく縛られて、拷問を受けている気分だ。

しかし、長い物に忙殺された一介の僕は、それのお預けをくらっている。さながら、飼い慣らされた愛玩動物。生まれた言葉は、静かに水に沈んでいく。コップにある水の表面張力が、どこか懐かしい。溢れ出んばかりの言葉を落としても、然るべき流れを踏まなければそれは泡沫に過ぎない。

時々、我慢ならずに抜け出して、活字を喰う。貪る。論理や意味を跳び越えて、それは僕を恍惚に導く。しかし朝を迎えると、僕はまた首輪に繋がれている。禁断症状は、徐々に重くなる。また、苦痛の日々がやってくる。それでも摂取した言葉は受肉するから、その痛みに何とか耐えている。


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