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自分らしさは「心」と向き合うこと

新卒の就活の時は自己分析をほとんどせず、直感で業界を絞った。
20年程生きてきた中で私が楽しいと思ってきたことを仕事にしたい!
そんな自分の気持ちを疑うこともしなかった。

結果的に私は出版業界の営業職として社会人デビューを果たした。

その仕事の困難さもやりがいもいくつかあるけれど、自分の中で「自分らしさ」を感じることはほとんどなかった。
決められた売上目標を果たすために模索する。
そんな日々だった。

このままただ土日を楽しみにただ平日が早く過ぎ去ることを願うような人生でいいのか?
月から金の5日間だって大切な人生の一部だ。

そんな気持ちが湧いた。

私は3年半務めた会社を退職し、貯めたお金で海外を旅するという自分にとって重大な決断を下す。
今まで真面目に優等生な無難な生き方をしてきた私にとって初めての無謀な挑戦だった。
一年以上世界を周り、最後はアフリカのケープタウンから日本へ戻った。

「よく旅で何を得たの?」と聞かれる。
そう問われると、苦笑いをして「なんにも。ただ楽しんだだけ」と答える。

それは実際正しく学んだと言えることはほぼない。
ただ旅を通してたくさんのことを感じることは出来た。

考えの多様性の眩さ、難しさ。
建築や美術など文化の美しさ、分かり合えなさ。
今を大切に生きる満足感、刹那的で保証のない日々の不安。

そんな風に日々を生き様々なことに感動する中で、次はどんな仕事をすべきかも考えた。

ことあるごとに何度も問いかけるうちに気持ちが固まって来た。
「私は心と向き合うことが好きだ。そのことはちっとも苦にならない。苦にならない自分らしい仕事をすべきだ」
という答えだった。

25年くらいの人生の中で好きだったことを掘り下げてみると、そこにはそんな心と向き合うという共通点があった。

本、旅行、おせっかい、噂話、友達との集まり…。
決して良いことばかりではないけれど、そんな私がつい夢中になってしまうことの中に「自分らしさ」があると気づいた。

そう軸を決めてからは迷わなかった。
心と向き合う仕事の中から、もっと現実的な条件や希望で絞っていく。

将来子どもを持ちたいから福利厚生がしっかりしている組織が良いな。
勤務地にはこだわりないな。
営業は向いていなかったからお金を扱わない職業が良いな。

そんな風にわがままに自分の欲と照らし合わせていく。

結果、私は高校で国語を教える教師になった。

30代目前で全く未経験の職業に就いたことをよく決断したねと言われた。
実際人前で話すことが苦手で落ち込んだり、苦しかったり、ストレスを感じたりすることも多くある。

でも不思議なことに早く土日になって欲しい、仕事終われと時計を見ることはなかった。

毎日必ず楽しいことがあって夢中になれることがあったから。
「先生聞いて~」
そう話しかけてくる無邪気な生徒の姿。
「その時どういう気持ちだった?」
問いかけた時に急に饒舌に語る生徒の姿。
そういうものがとても愛おしいと思った。

心と向き合うことは私にとって得意なことではない。
ただ向き合うこと自体が全く苦ではないのだ。
むしろつい話しかけたり、絡んだりしてしまう。

自分らしく働くことが出来ているなと感じている。

だから、私は転職して本当に良かった。
悩んでいた自分に、もし悩んでいる人がいるなら言いたい。

手を離すことでしか掴めないものがあるんだよ。
自分らしさを探してみよう。

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