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#ショートショート
正しい制服の脱ぎ方を知らないあたしたち
ちーちゃんにカレシが出来た。
それを知ったのはさっき。それも突然。
「ねえ、るな。わたしね、彼氏が出来たの。」
ずどーんって大きな隕石があたしの中に降ってきて、その反響でハートが揺れてるみたいな、別にちーちゃんはあたしの友達以外の何でもないはずだけど、なぜかすぐに「良かったね」って言えなかった。 たぶん、知らなかったからびっくりしたんだと思う。
「そうだったんだ。」
テンプレート
自己犠牲という名のスモールハート
「ユウちゃんあのね、私タキモトくんと付き合うことになったの。」
その後もマユミは私に話し続けていたみたいだけど、私の耳には全く入ってこなかった。ううん、聞かなかった。出来れば、聞きたくなかったから。
その日、私は初めてマユミからの電話を無視した。
熱を出した日も、大雪がビュービュー吹いていた日も、くったくたに疲れた日も、絶対に絶対にマユミからの電話に出ない日はなかったのに。
でも今日初
背伸びしたいお年頃をとりこにさせたら罪よねってママが言ってた。
今日は絶対ヒールで行くって決めてたの。
ママにやめなさいって言われたって少しくらい足をくじいたって絶対絶対ヒールって。
好きな人に会う日くらい背伸びしったっていいじゃない。
7つも離れてるんだから、おこちゃまって思われたくないんだもん。
ナナセくんのコンサート会場にはたくさんかわいい子がいた。
みんな、めいっぱいオシャレして来てるんだ。
ほのかに甘い花のいい香りもした。
でもどうせ自分が一番
対義語は「こんにちは、彦星」
もうじき帰ってくるはず。
お仕事の関係上、世界各地を忙しく回る彼と最後に連絡を取ったのは、今年の1月。「あけましておめでとう」の年始めの挨拶と「今年の夏に一度帰るから」の一言だった。もちろん嬉しくてすぐに返事を出したけど、私のいる場所と彼のいる場所は理論的にも直線距離的にも体感的にも遠いようで返事はあれから来てない。それでも月に一度、律儀に各地のスポットが写ったポストカードを送ってきてくれること
記憶の中にある廃れない色に、名前なんてないんだ。
特に花に興味があるわけじゃない僕にも、好きな花が2つある。
ひとつ目は、やっとあたたかくなった頃、気持ちのいい春風とともに花びらが町中を泳ぎ、儚く散りゆく桜。入学式に満開の花を咲かせ、卒業式には別れを惜しむかのように散る…これが理想だけど、実際は入学式にようやく花がちらほらと咲き始め、卒業式に満開を迎えることのほうが多いように思う。正門に植えられた桜の木も、今は雨に濡れてじっとこっちを見ている。
美化や風化が伴う、ジップロック。
メールの通知音が薄暗い部屋の中でひびく。ぼんやりと目を開ける。昼間、頼んでもいないのにジリジリと照りつけていた太陽は、すっかり帰宅時間になったようで半分以上の体を地平線に沈めていた。窓からの風はまだ夏になっていないことを知らせるようにソファーのない部屋をいっそう冷たくする。僕はまだ意識がはっきりしていないまま、枕元にあったスマホを開き、さっきピロリンという音と共に届いた通知を確認した。
送って来
自分に似合うワンピースは、案外見つからない。
そりゃあ「個性的だね」ってクラスのみんなからは言われていたし、ママからは「普通の服よりあなたは個性的なのが似合う」と言われていたからきっとそうだと思ってたよ。私は個性的だし、個性的なのが一番似合うって。
だけど違うって気づいたのはGW前の日曜日。自分で部活選んだのに今じゃそのこと考えると頭いたくなるし、愚痴しか出てこなくなったあの部活もやっと休みになって久しぶりの休日を堪能。その日は少し不安だっ