介護の話「それじゃ入居相談にならないよ」
とある介護事業所で責任者をしながら書類作成・整理に追われる男、ryuです。
私は率先して介護相談を受けるようにしています。
一応ケアマネ資格を持っていますし、グループホームという認知症ケアに特化したサービスで16年勤めているので、認知症に関する相談は特に。
ちなみに本来は居宅介護支援事業者の仕事です。
今回は今日あった相談のお話。
「サービス付き高齢者向け住宅」
90歳で認知症のお母さんがサ高住に入居しており、コロナ禍のストレスから頻繁に事務室へ来ては不安を訴えるそう。
サ高住からは「こんなのだったら仕事にならないから」とやや遠回しに退去を促されたそうです。
お母さんは短期記憶力が低下しているものの、目立ったBPSD(行動心理症状)は少なく性格も穏やかで全般に自立されているとのこと。
※BPSDとは認知症による理解力などの低下から現れる徘徊や誤食などの行動全般を指します。
サ高住とは一般の方にはやや誤解があると思いますが、常に介護を受けられるサービスではありません。
生活相談員が常駐してますが、生活相談員は身体的な介護を提供する職種ではなく、「主に相談業務」をするスタッフです。
実際に受ける介護サービスは内外にある既存の介護サービスを組み合わせて使うことになります。
今回はこの生活相談員さんのところに頻繁に来すぎて困っているという話みたいです。
「相談の流れ」
そのご家族さんは私の事業所に来る前に別のグループホームを見学されてきたそうです。
なので私はグループホームの説明を省いて簡素に済ませられると思いましたが、「グループホームがなんなのかよくわからない」とのことでした。
実はコレって結構多くて、一部の管理者さんは「受けているのは入居相談であって介護相談ではない」と認識してるんです。
なので自分のところの話が終わったら「質問はありませんか?」とご家族さんに投げかけるのですが…何を聞くべきなのかわからない人にその質問は酷すぎます。
一頻りグループホームのことや事業所ごとに異なる事項など説明し、お母さんの情報を聞いていきました。
そして最終的に得られた情報から「グループホームに入居」すべきなのか「別のサービスを利用」すべきなのかをお話しし、ウチのホームに入居を望まないのであれば、次に繋げられるような連絡先を教えたり、時には入居先をこっちで探すことを伝え名刺に携帯の番号を書きお渡ししました。
「介護従事者としての仕事」
介護従事者の中でも事業所の責任者やケアマネには相談してきた方にある程度のアフターフォローをする義務があると思っています。
相談に来る方の多くは「どこに何を聞いたらいいかわからない」状態です。
やっと見つけた空室のあるホームに「入居できない」と言われた上に、次に繋げるアナウンスがなければ家族さんはどれ程の不安を抱えるのでしょうか?
私は相談者が望めば必ずできる限りのフォローアップをしてきました。
少なくとも、すがる思いで相談に来た方の期待に応えられないことはどこか申し訳なく、何かしてあげなければ、という気持ちになります。
なので入居相談に来た方にはウチのホームに入居をしに来たのではなく、介護でどうしたら良いかを相談に来ているのと同義です。
それを自分のところの話だけで考えて割り切ってしまうのは、介護の世界で働く人間として情が足りないと思うばかり。
介護に携わる方がこれを読んでいたならば、ぜひ専門職である自分達に頼ってきた人たちを助けてあげてください。
例え自分の事業所に繋がらなくても、です。
以上。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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