協力隊レポート〜 地域のいきがいを創る仕事 〜
日本で唯一日本海と太平洋に面する町・北海道八雲町。その日本海側に面する熊石地域は、アイヌ語で「魚を干す場所」という意味で、豊富な山海の産物で知られている、かつては鰊の豊漁の地として栄えていた町です。
現在も岩礁地帯や渓谷景色は美しい風景として自然公園に指定され、道南休養村エリアは温泉やキャンプ場などアウトドア施設が人気の美しく広大な自然の魅力に溢れた地域です。特に海辺から見える夕陽は、その美しさに静かに涙を流す方も少なくありません。
熊石地域の地域おこし協力隊として4年前から活動している窪山さんは九州生まれの旅好きな女性。移住前は鎌倉に住んでいましたが、「やったことのないことに挑戦できる新たな場所」を探していたタイミングで協力隊の求人を発見し、縁もゆかりもない熊石で『地域のいきがいづくり』を目指して活動を始めました。
縁もゆかりもない場所で、地域の人のいきがいを創る
窪山さんの地域おこし協力隊としての活動は多岐に渡ります。主には高齢者支援サポートとして町内の各エリアでの集いの場やサロンへの参加や活動支援を行いますが、月2回の小学生の放課後活動「SUNSUN」の企画・運営に加え、町内唯一の保育園の現場支援など、高齢者の他にも幅広い世代の人たちと様々な形で関わっているんだそう。
熊石地域は海に沿って縦長に広く、役場や病院、お店など町の機能もほとんどが1箇所に集まっていて、車を運転できない町民にとっては買い物にいくのも一苦労。そのため高齢者の社会的孤立も危惧されていて、介護予防の観点からも、地域ごとの集いの場、サロン活動が大切な役割を果たしています。
町内各地のサロンや集いへの参加を通して地域の人と触れ合いながら、「お困りごと」や「やりたいこと」を拾い上げ、新たな活動につなげていくことが窪山さんの重要な業務の一つです。
みんなとつくる「ハルクマ」
その新たな活動の一つとして、今年から始まったイベント「ハルクマ」があります。
ハルクマは熊石地域のことを多くの人たちに好きなってもらい、何度も通えるような人の流れを作ることを目標にゴールデンウィークに開催されました。
熊や鹿の問題に挑む猟師さんの思いを聞きながら狩猟道具を展示したり、実際に猟師さんたちとの交流場面を作ったりした「ハンター×ハンター展」、山に詳しいガイドと一緒にハイキングをしながら熊石の自然について学ぶ「わんぱくの森ハイキング」、熊石の海や山から拾い上げたものをキーホルダーにして母の日のプレゼントを作るワークショップなど、『熊石の人が活躍できて、且つ、外から訪れた人たちが熊石の物や人と出会う機会に溢れる』イベントでした。
そこには「今いる環境」「持っているもの」「持っているつながり」「自分にできること」を活かして、協力し合い 関わり合って できることをできるところから積み重ねていきたいという、窪山さんの願いが込められています。人同士を繋ぎ、活躍できる場所を0から生み出し、人をつなげることを無意識でもやってしまう窪山さんらしい素敵な願いです。
そんな願いを受け取った人たちが、また誰かのためにと生き生きとイベントをつくりあげる。その気持ち良い助け合いの循環こそが、人が集まってくる魅力なのかもしれません。
取材を終えて
「ハルクマ」のような新たな挑戦が地域にあり続けることがどれだけ豊かなことか。お店や商品を0から創ることのように、わかりやすい成果としては見えにくいかもしれません。
でも窪山さんのように、人同士をつなげ、みんなのやりたいを実現する推進力のある「コーディネーター」が新たな出会い・挑戦を生み、地域の中だけでは見えなかった景色を連れてきてくれるんだと感じます。地域にとって希望の光のような存在ですね。
とはいえ、この記事でご紹介したのは窪山さんが担当するあらゆる業務の中のほんの一部。今後も「保育園留学®︎」や「テレワーク環境の整備とその誘致」など、さらなる関係人口増加に向けて町と一緒に準備を進めているんだそうです。
熊石と窪山さんの「これから」が今からとっても楽しみです。
「ハルクマ」は今後「ナツクマ」「アキクマ」「フユクマ」と四季を楽しむ定期イベントとして開催されます。下記ブログにて、窪山さんの活動が確認できるようになっています。まずは熊石を知るために、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
そして、窪山さんに続く新たな地域おこし協力隊も募集中。窪山さんの活動を素敵だと感じたあなた。ぜひそちらもご覧ください(^^)
▼熊石で窪山さんのように地域で活躍したい協力隊を募集しています
※7月19日募集締め切り※
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