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店舗は、顧客と作りあげるもの

店舗には様々な商品が並んでいる。どんな商品でも何らかの理由があって、そこに陳列されている。

品揃えをする側として、店舗が心掛けなくてはならないのは、店頭に並ぶ商品は、①顧客の求める商品②顧客の求めそうな商品のいずれかでなくてはならない。

顧客の求める商品とは、すなわち需要である。顧客にとって需要のある商品を品揃えすることは、店舗の存在理由といえる。顧客は自分の求めるものを手に入れるために、店舗へと足を運ぶ。しかし、顧客の求めるものだけをを並べていてはいけない。求めるものが並んでいるだけでは、顧客にとっては想像通りであり、そこには感動は生まれない。感動のない買い物体験は、やがて顧客に飽きられてしまう

そこでポイントになるのは、顧客が求めそうな商品である。顧客の求めそうな商品とは、すなわち提案である。顧客は、潜在的ニーズに無自覚な場合がある。また顧客自身が、自分が何を求めているのか理解していない場合もある。顧客の無意識訴え、顧客に気づきを与えるのが提案の役割である。また提案商品は、すでに需要のある商品を起点に発想すると良い。需要型の商品をベースに、なぜこの商品は売れているのか、顧客はどこに価値を見出したのかを考えることで、顧客に対するベストな提案が見えてくる。ここで注意しなくてはならないのが、需要のある商品と似たような商品を提案してしまうことである。それは売れた単品を追いかけているだけで、顧客の需要から発生した提案ではない。ペンを買った顧客が欲しいのは2本目のペンではなく、替え芯である。

さらに重要になるのが、需要と提案のバランスである。このバランスは業種や業態によっても異なるが、どちらかに極端に偏ってはならない。需要ばかりの品揃えでは、顧客の想像通りの感動のない店舗になり、提案ばかりの品揃えでは、うまく伝わらなければ、顧客は自分にとって関係のない店舗だと認識するだろう。

需要と提案のバランスは、客数型の業態は需要商品の構成を高めに客単価型の業態は提案商品の構成を高めにするのが一般的だろう。客数型か客単価型かどちらのビジネスモデルを取るかによって、需要と提案の構成は変わってくる。

そして最も大事なのは、この需要と提案のキャッチボールを繰り返しながら、顧客とコミュニケーションをとり続けることである。これは目に見える形をとっていない場合もある。何を買ったか、あるいは何を買わなかったかは、顧客からの明確なメッセージである。なぜ買ったのか、なぜ買わなかったのかを考え、顧客の求めるもの、顧客の求めていたものを提供することが店舗の役割である。

顧客の顕在的、または潜在的需要を品揃えに反映し、顧客とともに店舗を作りあげていくことが、よい店づくりにつながるのである。

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