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定番は顧客のためにある

バイヤーの仕事は、店舗の品揃えを決めることである。

品揃えの組み方には様々な方法があるが、重要なのは、品揃えの中心となる商品から決めていくことである。
 
品揃えの軸となる商品は、一般的に定番商品と呼ばれ、その店舗の顔となる。
 
定番商品を明確にするメリットは、顧客、店舗それぞれにある。
 
顧客にとってのメリットは、商品ラインナップがわかりやすくなることである。
 
一見や利用頻度の少ない顧客は、来店時に何を買うか決まっていないことが多い。
 
その店舗に対する情報が少ない場合、比較の選択肢を提示されても、決めきれない場合が多い。
 
顧客は迷っているから決められないのではなく、判断するための情報が少なくて決められないのである。
 
そんな時に、迷ったらこれ、初めての方はこれ、とおすすめできる定番商品があれば、顧客はまずその商品を手に取る可能性が高い。
 
定番商品の存在は、顧客の選択の手助けになる。
 
店舗にとってのメリットは、認知のされやすさである。
 
すべての購買活動は、顧客の認知から始まる。
 
顧客がその店舗を認知することで、はじめて関係が生まれる。
 
この店といえばこの商品、あるいはこの商品といえばこの店、という関連が顧客の頭に浮かぶようになれば、それだけ関係を継続させやすくなる。
 
認知は店舗の看板だけよりも、看板と定番商品が対になっているほうが、より顧客の頭に残りやすい。
 
顧客に認知されることは、すべての始まりであり、関係の継続につながるのである。
 
また、最所さんのnoteでは、D2Cブランドの戦略としての定番商品の可能性に言及している。

https://note.com/qzqrnl/n/n2ee155f8006e

このように、定番商品を明確にすることは、品揃えにとってメリットが多いのである。
 
すでにある程度、事業を展開している店舗は、顧客から支持されているロングセラーの定番商品があるかもしれない。
 
核となる定番商品がない店舗や、新しく始めた店舗は、どのように軸となる商品を決めればいいか。
 
いくつか方法があるが、有効なのは、店舗のコンセプトを最も具現化している商品をピックアップし、その商品を定番商品として決めてしまうことである。
 
つまり店舗の意思で、定番商品に育て上げるということだ。
 
定番商品として設定することは、その商品をその店の主役にするということである。
 
ひとつの商品を定番商品として育て上げるには、ある意味での特別扱いと、腰を据えて育てるという強い覚悟が必要になる。
 
核となる商品を決めたら、後はひたすらに、他の商品と明確な線引きをし、この商品がこの店舗の一押しだと誰が見てもわかるように、品揃えの中心として訴求し続けることである。
 
一方で、定番商品を派生させた品揃えをするのも有効である。
 
定番商品のバリエーションを持つことで、定番商品はより核商品としてのポジションが確立される。
 
さらに、メーカー商品を買い付けるNB中心の業態であれば、オリジナル開発を視野に入れたPB化も有効だろう。
 
今日では、ただPBを作っただけでは差別化にならない。
 
コンセプトの具現化に焦点を充てたオリジナル商品であれば、定番商品としての地位を確立することができるだろう。
 
軸となる定番商品を設定することで、店舗のコンセプトが明確になり、顧客にとって、商品を選びやすい店舗となるのである。

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