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トレッドミル狂想曲・その3

防音室

さて要は防音室を何とかしないことにはトレッドミルは使えないということだ。でも工務店にそれなりのスペックの防音室を発注すると、一声100万円の世界で、しかも打撃系の騒音についてはそれでも足りるかどうかわからない。

嫁さんに相談すると、どうせやったらそれぐらい頼んだら?と超豪気な発言が飛び出してこっちがびっくりしたが、やるなら寝室の隣の現在の自部屋に施工しろという。それだと庭の小屋はバイク用、寝室の隣はラン用になってしまってリモート仕事部屋がなくなってしまう。ランしながらトレッドミルの上でやるのは嫌だ。

まして、防音室は完全密閉だから空調も完璧にやらないと中で死んでしまうし、それを計算に入れるととんでもない施工費用の大工事になるのは目に見えていた。そうなると、あとは「自分で作るか・・・」こっちへいくしかない。しかし嫁さんは「そんなことできるわけないでしょ、いいかげんにしい」という感じでケンもホロロであった。

なんでもYouTube

ところでコロナ禍の副作用(?)として、Zwiftに大ハマりしたことの他にYouTubeをやたら見るようになったことが挙げられる。その煽りで、3年前はまだ少しはみていたテレビを全くみなくなった。

最初のうちは面白いレストア動画をニヤニヤしながら見ていただけだったが、そのうちに興味のある分野で検索すると何でも動画が出てくることに気づいた。これはすごいことになっているな・・・YouTube黎明期に「こんな荒い、わけのわからん動画何の役に立つねん」と呆れていた自分の不明を恥じるしかない。

防音系YouTuber

よくしたもので、ちゃーんと「防音のプロ」が動画をたくさん流していた。さっそくチャンネル登録してみると「個人でDIYでこんな防音室が作れます!」という動画をシリーズで配信している。食い入るように見た。

非常に重要なポイントがいくつかあった。

  • 防音は「重量」で決まる

  • 「密閉」しないと始まらない

  • 吸音材だけでは役に立たない

  • 石膏ボードの重ね貼りが最も効果的

目から鱗だった。しかし、逆にいうと上記の重要ポイントをしっかり抑えて設計すれば、素人でもかなりの防音性能を実現できる、ということだった。またしてもムクムクと「自分で施工したい!」という欲望が沸き起こってきた。

Dどうなっても・Iいいから・Yやってみよう

他にも当然Google先生にもご登場いただいて散々検索しまくり、防音ドアの作成方法、ドアノブのグレモンハンドルの作り方、旧排気口のラビリンス構造など、さまざまな先人の知恵を集めることができた。「これなら、たぶんどうにかなる」DIY精神でいくしかない。

しかし、ここで大きな問題があった。防音工事をするには、一時的にZwiftをやめないといけない。中でスマトレを使いながら施工することはできないからだ。工事期間がどれだけ掛かるかわからないが、その間練習できないというのは大きなジレンマだった。以前小屋を建てた時はまだそんなにのめり込んでなかったから気にならなかったのだが・・・

着工する決心がつかないまま、ズルズルと月日が過ぎていった。

転機

2021年の11月、トレッドミルを購入してから(使用禁止のまま)半年以上が過ぎたころだった。その頃、土曜日は恒例のHill Climb and Interval Rideに出ることにしていたが、いつも強烈なメニューでヘロヘロになり、最後のフリーでボコボコにされて凹みまくっていた。

それでも、いつも自分では楽しんでやっていると思っていたのだが、実はオーバートレーニングに陥っていたらしく、どうも強迫観念的にライドに参加しているものの、自分で自分を追い込んでしまっていたようだった。

その日もいつものようにメロメロになって走り終えたのだが、家に戻った自分を見て嫁さんが「そんな酷い顔して・・・楽しくないんやったら、辞めたら?」と言われてしまった。自分では気づかなかったが、相当酷い顔をしていたらしい。

「わかった。しばらく休んでみる」と言ったとたん、なぜか突然涙があふれて止まらなくなった。自分でもなんでそんなことになったのか分からなかったが、自分の不甲斐なさに耐えられなかったのか、とにかく悲しくてやりきれなかった。これはZwiftの神様が「ちょっと休みなはれ」と言っている、ということだと思った。

JETTの皆さんにDiscordでありのままを話して「しばらく休みます」と伝えた。

設計開始

これは逆に防音室施工のための格好の言い訳にもなる。物事はポジティブに考えるべきだ。すぐに立ち直って、本格的に設計を開始した。

まずは床から。現在の小屋は基礎が「ただ置いただけ」のブロックに細い土台が立っていて床板の下はスタイロフォームがあるだけ。これをまず徹底的に強化しないといけない。そこで、コンクリートブロックを大量に敷き詰め、さらに吸音マット、防音シート、石膏ボード、吸音材、さらに石膏ボードなど、これでもかと8層構造に。

さらに壁も同様に防音シート、石膏ボードと吸音材、さらに石膏ボードなど5層構造に。ドアも現状のドアの内側に防音ドアを設置し、グレモンハンドルを自作してガッチリ固定できるようにする。隙間には全部ゴムモールを回して空気を漏らさない。窓部分にも取り外し式の防音ボードを作ってはめ込むことを構想した。

懸案の吸排気部分については現在吸気口がないので新たに開け、排気口の換気扇部分と両方にラビリンス構造のダクトを設ける。

これら全部やると流石に40dBぐらいの減衰効果はありそうで、たぶんトレミのドスドス音もかなり気にならないレベルまで抑えられる筈・・・!!

施工申請〜認可

慎重に慎重を期して嫁説得のプレゼン。防音のプロの動画を参照し、ポイントを押さえて部材を揃えて施工すればしかるべき効果が見込めること。ホームセンターで入手可能な部材で作成可能であること。費用は20万円程度であること。もし、これで施工してもダメだったらその時はスッパリ諦めて泣かないこと(笑)。

「そこまで言うんやったら、やってみたら」認可が下りた。あとは頑張るだけである。

しかしその施工は、また苦難の連続であった・・・

つづく


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