私のZwift小屋 My Pain Cave その2
小屋づくりの歴史
すぐにでもZwift小屋建設の話を始めてもいいのだが、私の小屋づくりは一朝一夕にできたことではないので(非常に重たい話になるが)少し前フリにつきあっていただきたい。
時は遡って今から20年前の2002年。子供の頃から工作が好きだった私はついに購入した一戸建ての庭に小屋を建てようと決意した。そろそろインターネット上でもいろいろセルフビルドに関する情報が得られるようになり始めた頃だった。
当時モーターサイクルやクルマにハマっていた私は、工房を建てて部品いじりなどの拠点にしようと企んでいた。当時の家はかなり庭が広かったこともあって6畳サイズ(建築確認申請不要なサイズ)の小屋を2x4工法で適当に設計し、紆余曲折をへて2004年の暮れには壁・屋根・ドアまでが完成していた。
鬱と休職
しかしその頃私は既にひどい鬱病に苛まれていた。胸の中に四六時中どす黒い不安の塊が鎮座し抜けだすことができない症状は次第に悪化、ついに2005年の2月、会社に行こうとしたまま玄関にへたり込み、涙を流して動けなくなった。そのまましばらく休業に追い込まれる。
会社に多大なる迷惑を掛けたことで私はさらに落ち込み、責任を取って辞めようとまで思い詰めたが、当時の上司が「休職して考え直しなさい」と引き止めてくれた。その時の上司と休職中の面倒を見てくれた庶務の方には今でも感謝している。
引越しと移築
当時の嫁さんは本当に私が死んでしまうのではないかと恐ろしくて仕方がなかったと言う。このまま横浜に住んでいると仕事のことを思い出してよくないから、転地療養のため田舎に引っ越すことになった。当時京都の実家の親が心臓手術をして危ない状況にあったこともその決断を後押しし、京都の山奥の限界集落のようなところのログハウスを買って移り住んだ。
引越しの際、当時はまだモノへの執着がものすごく強かった(今でもまだだいぶ強いが)私は、せっかく建てた思い入れのある小屋を捨てることがどうしてもできず、無理を言って小屋を一旦解体し、バラバラにして引越屋さんに運んでもらい、山の家で再度組み立てるという、今考えてもとんでもないことをやらかした。
鬱病というのは、精神状態はとても不安定だが波があって、落ち着いているときには割と普通に振る舞えるので、当時の「普通の時の」自分を見た人は鬱で死にそうになってる人には見えなかっただろう。だがそういうものなのだ。
引越したは良いものの、当然そんな不安定な状態だから作業が捗るわけもなく、再組み立てが完了するまで(仕事もしてないのに)3ヶ月ぐらいかかった。しかし結局外壁や内装をきちんと仕上げることができず、中途半端なまま物置小屋に成り果ててしまった。
そんなひどい建て方をした割には、この小屋は崩れずに17年経った今でもまだ建っているが、「もっとこうすれば良かった」という知見をたくさん得ることができた。天井高が低すぎたとか、ケラバの構造が間違ってたとか、窓を作れなかったこととか・・・この実質2回の小屋建築の経験(失敗)があったからこそ、今回のZwift小屋建築が(それなりに)うまく行ったのだ。
ちなみに休職は丸々二年間に及んだが、何とか寛解して今に至る。その寛解の過程にも話したいことは山ほどあるのでまた別途。
着工
2019年は何かと忙しい年だった。東京マラソンの直後に地球一周ドサ回り出張に出かけ、ゴールデンウィークは世界選手権(そのうちに当時のメモも載せます)、さらに五島とあってなかなか着工できなかった。しかしこのままズルズルしているといつまでも小屋が建たない。思い切って暑い盛りの7月末、とにかく手をつけようということで「遣り方」を開始した。
遣り方とは、建築予定のエリアを区切って水糸を張り、水平を出すための作業のこと。場所はウッドデッキの反対側、庭の西の端に3畳分のサイズとした。もちろん本当はもっと広く6畳とかで作りたかったが、そうすると庭のエリアがすごく圧迫されて手前の和室の日当たりまで阻害してしまう。そもそもローラー台を設置できればいいのだから3畳分あれば十分だ(と、その時は思っていた)。
夏休みに本格的に着手し、休み中になるべくやっつけるために毎日ホームセンターへ往復し、作業に没頭した。おかげでその年の珠洲トラに出かける前に壁立てまで完了して窓枠を入れるところまで行けた。
夏休みの様子
最初の小屋で窓作りに失敗していたので、今回は素直に既成の窓の中古品(といってもモデルハウス解体して安く流してるような、ほぼ新品)をヤフオクで落として入手していた。この「小屋に窓が着く」というのは想像以上に嬉しいことで、自分の小屋が急に「ちゃんとした建物」に見えて来た。
前回の反省を生かし、天井高さを2m40取ったのでわずか3畳の割にはものすごい存在感になって自分でもびっくり。珠洲トラが終わったらまた週末ごとに続きをやらなくては。
つづく
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