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【読書記録#19】働きたくなる職場のつくり方(荒川陽子)

「働きがい」ってなんだろう?それはどんな職場にも備わっているのだろうか?そんなふとした疑問に回答をするのが本書。

様々な会社の事例から、従業員が仕事に参加できるような仕組みや状態を示していくという内容になっている。

冒頭の問に対する回答だが、本書では「働きやすさ+やりがい=働きがい」という方程式を打ち出している。「働きやすさ」は文字通り福利厚生など職場環境が衛生的に保たれていることや、休日がしっかりしているという環境面がきちんと整備されているかどうかが評価される。
一方「やりがい」はこの仕事がだれかのためになっている、こんな人の手助けになる、など仕事自体の価値を見出しているかどうか。そういったところが評価される。

これら2つの要素がどちらもしっかりしていれば、従業員が「働きがい」を感じ、いきいきと職場に向かうようになっていく、というのが本書の主張の根幹である。

では「働きがい」はどの職場にもあるのだろうか?その答えはNOである。これは自分自身の経験でもあるが、「やりがい」を見出せなかった期間は本当に仕事に行くのが億劫で、仕事をする嫌な夢を見てしまうほどのものだった。今思えばそんなに大した内容でもないのだが、当時の自分にとってはつらいものだったなと。

「働きやすさ」と「やりがい」のバランスを取るのは非常に難しい。「働きやすさ」を重視するあまり、「やりがい」が少ない職場もある。福利厚生はしっかりしているが、単純な作業が多かったり、仕事に自分の意見が反映されないケースも少なからずあるだろう。

逆もまたしかりで、「やりがい」重視の結果「働きやすさ」という観点ではあまりよくない職場もある。「お客様のためにがんばる!」という心意気だけで仕事をし、労働時間がめちゃめちゃ長くなってしまう、という場合もある。

いろいろな職場を分析し、どうすればそれらを解決し、従業員に「働きがい」を感じてもらうかをゴールにしているのが本書。「働きやすさ」は制度を整える必要があるが、そこさえ突破すれば自然と定着していくものだろう。しかし「やりがい」はそうはいかない。従業員ひとりひとりの考え方に影響を与えなければならないので、いろんな人が変わる必要がある。変わるために、どんなことができるのか、どんな考え方をすればよいのか、そのヒントが得られる1冊だった。

本書を読み終えた後、職場で従業員を巻き込んで企画立案のためのワークショップを開催した。それぞれが意見を出し、何かの企画を作ろうとする姿が非常に印象的だった。
いつもの会議と違う形式をとったので、新鮮でよかったという意見も多かった。リーダーから部下へ業務を落とすことばかりでなく、部下とも協力して何かを作り上げる。そういう働きかけをすることで、「やりがい」は向上すると体感した。

一読では拾いきれない内容もあったと思うので、少しずつ社内の風土を変えていけるようにしていきたい。

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