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第37話 資料準備は得意分野

 翌週、真奈美は水曜日の事業本部へのプロジェクト説明に向けて資料作成を開始した。

(相手は私と一緒で、M&Aに詳しくない普通の役員社員だから、言葉はわかりやすい日本語で……)

 とにかくわかりやすい資料にしないと、役員は目を通してくれない。

(同じ社内の社員なんだから、極力ふだん社内で使っている資料と同じような構成、フォーマットで書いた方がわかりやすいよね)

 真奈美は管理本部出身だ。
 元の職場では会社の最上級会議のひとつである経営会議の事務局を担い、資料の内容や構成から体裁まで細部にわたり事業本部を指導してきた立場だった。

 M&Aについては素人でも、社内会議資料にかけては突出した能力を誇っている。

(最初のページは今日報告したいことを簡潔に大きく書く。次のページは目次。次に、1ページで概略がわかる超サマリー。その次から……)

 もくもくと経営管理部時代の社内会議資料フォーマットに沿って、IMやFAヒアリングの内容を整えていく。

 月曜日中に第一稿が完成した。

「終わったー。うん、我ながらいい出来」

 真奈美は意気揚々と、山田にメールで資料確認依頼を送信した。

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