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ファミマの冒険談①(コンビニ業界再編M&Aの分析)【どまんだコラボ】

前回さわりを紹介しましたが、今日はファミリーマートによる業界再編の歴史について少しまじめに分析します。

・・・その前に・・・

今日のファミマスイーツのコーナーです!

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宇治抹茶の生チョコタルトです!税込み220円です!

抹茶スイーツ大好きなんですよ。しかも宇治抹茶の一番茶のみ使用とか、心ときめくフレーズです。

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開けてみると、金粉が乗っています!

抹茶生チョコ+抹茶ガトーショコラは、抹茶の風味もしっかり出ていておいしかったです。

残念なのはタルト・・・硬くて甘くてもっさりしていておいしくない・・・で、中身と一緒に食べるとタルトが勝っちゃうんですよね。抹茶の良さを全部もっさりが打ち消しちゃう。

残念ながら、中身だけ食べたほうがおいしかったです。ちょっと惜しい。

それでは気を取り直して!

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ファミマのコンビニ業界再編の概要

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前回の記事はこちらでも一部紹介しましたが、ファミマは図の通り、

1.エーエムピーエム吸収 (計140億円)
2.ココアストア吸収   (計125億円)
3.サークルK吸収 (ユニーHD経営統合のため、実質資金負担は無し)
4.コンビニ以外はドンキに譲渡
  (ユニー40%売却、TOB失敗、ユニー100%売却、カネ美も譲渡)
5.3代目ファミマに社内再編

と、他社ブランドをどんどん吸収し、コンビニ以外は外だしすることでコンビニ事業の統合を完成しました!

めでたし、めでたし!!

この1~5の取引を図にすると・・・

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・・・なんだかテクニカルな再編を繰り返している!という全体像の雰囲気だけお伝えさせていただきました。

このあと、1~5の取引の解説へと続くのですが、やはり長編になってしまいました。多分、ここから先を読もうとするとM&A嫌いになっちゃう方も出てくるかもしれないので、

以下の記事はよほどM&Aの細かい話に興味があるという方以外は、スルーしちゃってくださいm(__)m

(M&A素材としては面白い要素がたくさん詰まっていますが、マニアックすぎますので・・・私の自分用趣味記事として残させておきます)

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1.am.pmブランドの吸収

1-1.エーエム・ピーエム・ジャパンの吸収

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・2009年 12月 ファミマがレックスHDからエーエム・ピーエム・JP株式
 を100%取得し完全子会社化
・その後、2010/3に吸収合併を実行(エーエム・ピーエム・JPは消滅)

取得価格は実質120億円(株式価値1円+貸付債権120億円)

エーエム・ピーエム・ジャパンは赤字体質・債務超過139億円でした。
債権+株式取得でファミマ連結としては債務と債券が相殺されると考えると、実質債務超過19億円の会社を120億円で買収ということになります。
かなりの値付けですが、セブンやローソンに追いつくためには高くない買い物と踏んだのでしょう。
一方、売り手レックスHDも焦付いた債権120億円分が回収できた良かったといえそうです。

1-2.エーエムピーエム・関西の吸収

関西圏のam.pmは、かっぱ寿司のカッパ・クリエイトが保有・運営していたようで、am.pmジャパンの後には、こちらも残さず吸収しています。

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・2011年 4月 ファミマがエーエム・ピーエム・関西を吸収合併       
 (エーエム・ピーエム・関西は消滅)

取得価格は20億円(吸収合併を現金対価総額20億円)

エーエム・ピーエム関西は赤字・純資産は3.7億円。
JPの時とは違い、いきなり吸収合併しているようです。

am.pmジャパンと関西を合わせて”140億円”

で獲得しam.pmブランドは吸収され、その後、2年をかけてampmブランドを終息し、ファミマへの完全統合が完了しました。

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2.ココストアの吸収

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・2015/10 ココストアへの増資・自己株買取の組み合わせで
       ファミマがココストア株式を100%取得し完全子会社化

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・2015/12 吸収合併実行(ココストアは消滅)
・2016/3  コンビニ店舗一部を JR 九州リテールに承継(吸収分割)
・2016/4  残ったココストアリテールをミツウロコに売却
 (その後、ファミマの一部事業を1円でミツウロコ傘下になった
  ココストアリテールに吸収分割)
→ 一連の取引で、ココストア事業のみを獲得し、不要事業は売却完了

取得価格は130億円(逆に、JR九州、ミツウロコへの売却総額約5億円)

ココストアの直近営業利益5億円、純利益は赤字、純資産は33億円。
約90億円は回収していく必要があります。

実質的に、ココストアを”125億円”で取得(買収価額130億円-売却5億円

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3.ユニーグループを吸収しサークルKサンクス獲得

ユニー・グループは、GSMのユニー、コンビニのサークルKサンクス、食品加工会社のカネ美を保有していました。
ファミマが欲しかったのはサークルKサンクス㈱(以下CKS)だけでしたが、それだけ切り出して売ってはもらえず、結局ファミマがユニーグループ全体を吸収することで統合することになりました。

3-1.ユニーHDを吸収合併し、CKSを子会社化

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・2016年 9月 ファミマ㈱がユニーHD㈱を吸収合併(ユニーHDは消滅)

ユニーHD株主には、ユニーHD株の代わりにファミマの株式が付与されることで経営統合となったので、ファミマ㈱の資金負担は無しです(経費除く)
また、この結果、CKS・ユニー他はファミマ㈱の子会社に入りました。

3ー2.コンビニ事業を吸収分割し統合、会社名変更

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ファミマ事業はファミマ㈱、サークルKサンクス事業はCKSと、それぞれが違う会社になってしまうので、同日に

・ファミマ㈱の名前を変更し「ユニー・ファミマHD」とし持株会社化
・ファミマのコンビニ事業を吸収分割でCKSに移しコンビニ事業をまとめる
・CKSという名前を「ファミマ㈱」と変更(2代目ファミマとなる)

これでユニーグループとの経営統合は完了しました。

2代目ファミマは、サークルKサンクス店舗を徐々にファミマに統合を進め、2年後に全店舗ファミマ転換が完了、サークルKサンクスは消滅しました。

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4.ドン・キホーテと提携(コンビニ以外事業譲渡)

4-1.ユニー・ファミマHDとドンキホーテHDとの資本・業務提携

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・2017年 11月 ドンキHDがユニー・ファミマHDからユニー㈱を40%譲受

譲渡対価は未公表です。
これにより、ユニー㈱はユニー・ファミマHD(60%)とドンキHD(40%)の合弁会社となります。
これを機に、GSMのユニーとドンキは協業を強め、さらにファミマも加えた三角協業体制が構築されました。

4-2.ユニー・ファミマHDとドンキホーテHDにTOBするも失敗

ドンキがユニー100%子会社化を提案、ユニー・ファミマHDがその見返りにドンキHDを持分法適用となる20%超まで株式取得をするべくTOBを仕掛けたが失敗した。(下図の対象者がドンキHD:リリースから引用)

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・TOB価格:6600円(直近1カ月の平均株価にプレミアム上乗せ)
・しかし公表当日に株価は10%上昇し6680円、その後も高値水準推移
・ユニー・ファミマ側は価格引き上げはせず、応募0.02%にとどまり中止
・ドンキブランドに転換したユニー店舗の好調さを価格に織り込んでいなかったことが要因との分析(アナリスト)

4-3.ユニーの完全売却

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・2019年 1月 ドンキHDがユニー・ファミマHDからユニー㈱株式60%を
       譲受し完全子会社化

ユニー・ファミマHDによる売却価額は60%分で282億円

ユニーはドンキ協業で業績回復しており、直近単体利益93億円でした。

ユニー・ファミマHDとしては、GSMはもともとやる気もなかったので、TOBは失敗したもののこれを機にドンキに任せることに異存はなかったものと思われます。

4-4.カネ美の売却

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・2019年 4月 ユニー・ファミマHDがカネ美株式26.55%を
       PPI(旧ドンキHD)に売却し、カネ美を子会社から外す

ユニー・ファミマHDによる売却価額は26.55%分で79億円

これでユニー・ファミマHDの子会社は、2代目ファミマのみとなり、中核事業もコンビニ事業のみとなりました。

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5.社内再編(3代目ファミマ誕生)

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・2019年 9月 ユニー・ファミマHDが2代目ファミマを吸収合併(消滅)
      社名を「ファミリーマート」に戻す(3代目ファミマ誕生)

社内再編のため、特に支出は無し

これで、他社ブランドをどんどん吸収し、コンビニ以外は外だしすることでコンビニ事業の統合を完成し、法人としても初代ファミマが改めて「ファミリーマート㈱」に返り咲きました。

めでたしですね。ここまでお付き合いありがとうございました。

長かったなぁと思うのですが・・・・この後、伊藤忠によるTOB編に続きますm(__)m

もし、ご興味がありましたらお楽しみに!!(さすが、普通こんな細かい内容に興味ないですよねwひとりで遊んでると思って多めに見てください)

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(おまけ:引用元リンク集)

1-1.

1-2.

2.

3.

4ー1.

4-2.

4ー4.

5.


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