Discordの資金調達についてざっくり分析してみました【どまんだコラム】
5月4日に、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)がDiscordと新たなパートナーシップを締結したとのリリースが出ています。
Discordについては、私も「NOTEを楽しむ会」で使わせてもらっているのでお世話になっています。
なので、親近感もあり、少し詳しく見てみようと思いました。
リリースの中で「DiscordのシリーズHラウンドに参加し、マイノリティ出資をいたしました」との記載がありますね。
シリーズHってすごいですね。Seed以降Aから順にHまで8回の資金調達を実現していることになります。
そんなDiscordの資金調達について、インターネットの無料情報のみを用いて分析してみます。
■調査方法
非上場企業ですので中々公開情報は少ないのですが、ベンチャー企業のデータベースはいくつもありますので、無料で読める範囲で情報収集をします。
今回は、世界最大級のベンチャーデータベースと言われる「crunchbase」を活用しました。
無料でも基本的な情報として、資金調達のタイミングと金額、バリュエーションなどの基礎的な情報が(完全ではないものの)確認できます。
■資金調達の履歴
crunchbaseの情報によると、2012年に立ち上げて以降、ほぼ1年に1回というペースで順調に資金調達が出来ているようです。
調達額も徐々に増えていき、直近では1ラウンドあたり100M$の規模になっています。
すでに累計で500M弱の調達を実現していますね。すごい!
■バリュエーション
調達を重ねるごとに、会社の価値評価もどんどん伸びています。
特に、2020年はすごい。
年始に3.5B$でシリーズG調達をし、その年末には7B$でシリーズHの調達をしているとのこと。
1年弱で会社の価値が2倍に跳ね上がりました。
7B$を110円/$で換算すると
評価額7,700億円!!
まさにユニコーン企業ですね!(後ほど触れますが、MS相手に1B=1兆円超の価格目線で交渉をしていたという情報もあります・・・すごい、0.01%でいいから分けてほしいw)
■出資比率
厳密にどの株主がどれだけ出資したかは、残念ながらわかりません。
ですがせっかくなので、どのラウンドで入った出資者がどの程度の比率を保有しているか、類推してみましょう。
シリーズD以降は、Pre-Money Valuationが記載されています。
Pre-Money Valuationとは、そのラウンドの出資を行う前の企業価値です。
出資を行った後は出資額だけ企業価値は増大するので、
Post-Money Valuation(出資後の企業価値)
=Pre-Money Valuation+出資額
(シリーズHで言えば、Pre-Money Valuation =6.9B$、
出資額100M$=0.1B$なので、Post-Money Valuation=7B$となります)
ということになります。
さらに、ここから出資比率をざっくり逆算で類推してみましょう。
そのラウンドにおける新規出資者の出資比率
=そのラウンドの出資額/Post Valuation
(シリーズHで言えば、出資額100M$=0.1B$、Post-Money Valuation=7B$
なので新規出資者全員の出資比率は約1.4%)
もちろん、超ざっくり試算なので正確とはいえませんが、大雑把なイメージは掴めるかと思います。
(日本であれば登記簿を入手してもう少し詳しい分析(発行株数や種類株の内容の確認など)ができますが、海外だと流石にそこまでやるモチベーションがなかなか生まれてきませんね)
■SIEの出資の位置づけ
データベースによると、シリーズHは、SIEだけでなく2社のVC(ベンチャーキャピタル:ベンチャー企業への出資を専門とするファンド)も出資しているようです。
なので、SIEとしては1.4%よりも少ない比率での出資であり、もちろんコントロールを獲得するようなM&Aではありません。
やはり、プレスリリースに記載されているとおり、SIE自身の事業(PS5)への貢献に期待した資本業務提携という位置づけなのだろうと推察します。
■おまけ:MSとの交渉破談
破断したようですが最近までMSへの売却交渉もしていた模様です。
ニュースによると、その価額目線は
1B$以上(1兆円強)!!!!!
だったとのこと!
とはいえ、MSに吸収されて魅力が半減するよりも独立企業としてIPOを目指す方針で心を固め交渉を中止したということのようです。
確かに、MSに吸収されたら魅力がなくなるという声も多かったようですね。
いずれにしても、近い将来、大型IPO案件として再度業界を騒がせるのでしょう。
今後も注目ですね!!
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