忙しい人のためのHip Hop史②『3人の先駆者達』
1970年代前半のニューヨーク市、サウス・ブロンクス地区。貧困街に暮らす若者たちは公園へと繰り出し祭典を開き、彼らのブロックパーティはHip Hopという独自の文化に発展し、州境、国境、時代を超え、世の若者達を魅了する一大ムーブメントへと大成していきます。
音楽に限らず、アートやムーヴメントにはそれらを牽引する先駆者、カリスマ達がいますが、もちろんHip Hopも例外ではありません。この記事ではHip Hop黎明期の先駆者達3人を、1分以内に読めるよう紹介していきます:
・DJ Kool Herc
・Afrika Bambaataa
・Grandmaster Flash
DJ Kool Herc (DJ クール・ハーク)
2023年11月にロックの殿堂入りを果たしたのも記憶に新しい、Clive CampbellことDJ Kool HercはHip Hop音楽の形を作り上げた、「Godfather of Hip Hop」の異名にふさわしい、先駆者の中の先駆者です。
Kool Hercはブレイクビーツの生みの親であり、2つのターンテーブルを駆使しソウル、ファンク、ラテンやジャズ音楽のブレイク(曲中でリズム隊のみが演奏する箇所)を多用し、ミキシングによってグルーヴを継続させることによって観客を熱狂させるという画期的なテクニックを生みだし、音楽界に革命を起こしました。これは近年オリンピックの種目にもなったブレイキングや、ダンスサイファーやB-Boy/B-Girlの誕生にも繋がり、今後のラップ音楽発展の基盤となっていきます。
Afrika Bambaataa(アフリカ・バンバーター)
1968年に発足し今でも存在する、ニューヨークを中心に猛威を振るい拡大したギャング集団、Black Spadesの主要メンバーであったLance Taylorが暴力から足を洗い、Universal Zulu Nationを他のメンバーと発足したのが1973年の11月。
TaylorはAfrika Bambaataaというアーティスト名で活動するようになり、70年代〜80年代までJazzy 5のリーダーとしてニューヨーク市内のパーティを盛り上げ、The Soulsonic Forceで、YMOやKraftwerkなどの影響を受けたエレクトロサウンドを取り入れ、Hip Hopと電子音楽を融合させた他、James Brown等、様々なアーティストとのコラボを通しHip Hop文化を世界に広めたパイオニアであり、文化的功労者です。
Grandmaster Flash(グランドマスター・フラッシュ)
前述のDJ Kool Hercの2つのターンテーブルを駆使し、ほぼほぼリズムセクションにのみ焦点をグルーヴ重視のサウンド、ブレイクビーツをさらに進化させたのが、同じくブロンクス出身の伝説的DJ、Grandmaster Flashである。
Kool Hercが同じレコードのブレイクを2つのターンテーブルでながし、グルーヴをループさせるのに対し、Grandmaster Flashはミキサーやフェイダーを駆使し、それぞれ別のレコードのブレイクからブレイクへと繋ぎ目なく移行する「ジャグリング」、レコードや映画のフレーズを引用する「サンプリング」の元祖や、指とフェーダーを駆使しリズミカルに刻む「スクラッチ」等を完成させ、世の中に広めていきました(下の動画を参照)。これらのテクニックは90年代のBoom Bapサウンドの基盤となります。
ちなみに彼がプロデューサー兼リーダーを努めたGrandmaster Flash & The Furious Fiveは、2007年にロックの殿堂入りをする初のラップグループだったりします。
【最後に】
近代のクラブ文化、Hip Hop以外のダンス音楽ももちろん、2023年にはブレイキングがオリンピックの種目になったりと、Kool Herc、Afrika Bambaataa、Grandmaster Flashの3名は近代文化の発展にも多大に貢献しているのがわかるかとおもいます。簡易的に書きましたが、Hip Hopは本当に奥が深いので、この記事で知見を深めるきっかけにしていただけると幸いです。
その他参考文献:
ヒップホップカルチャーに欠かせない人物、クール・ハーク
ヒップホップの重鎮!Afrika Bambaataa (アフリカ・バンバータ)
”ヒップホップの最重要人物’’グランドマスター・フラッシュが生み出した巨大文化
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?