Domsta Mash

🇦🇺x🇯🇵メルボルン在住、どちらかというとOld Head。「Hip Hopに興味を持つき…

Domsta Mash

🇦🇺x🇯🇵メルボルン在住、どちらかというとOld Head。「Hip Hopに興味を持つきっかけを作る」、「1分以内に読める」ことをモットーに、「忙しい人のためのHip Hop史」というシリーズを執筆しています。

最近の記事

忙しい人のためのHip Hop史④『多様化と進化‐後編〜3人のパイオニア・ラッパー〜』

ディスコのサウンドに加え、エレクトロやロックの要素を取りいれることによる音楽性の多様化や、サウス・ブロンクスとクィーンズの内紛による競争の激化。東海岸のHardcore Rap、西海岸のGangsta Rapの誕生など、80年代半ばはHip Hopの今後の発展にとって大きな分岐点となりました。 同時期に、ラップという手法も著しい進化を遂げます。中でも特筆すべきは、従来のラップの仕方から一線を画した、押韻法やフレージング、リズムの取り方の複雑化でしょう。 今回はその「ラップ

    • 忙しい人のためのHip Hop史④『多様化と進化‐中編〜競争〜

      RUN D.M.C.、Beastie BoysやLL Cool Jなどの商業的成功により、ラップのサウンドは多様化しより激しいものへと変化していき、後のHardcore RapやGangsta Rap(後者については西海岸編にて別途記事執筆予定)、90年代のG-Funk、Boom Bapサウンドの源流となっていきます。 音楽性の変化はそのまま続いていく一方、80年代半ば以降になると「ラップ」そのものも技術的に多面化し、文学としての進化を遂げていきます。その要因の一つには、当

      • 忙しい人のためのHip Hop史④『多様化と進化‐前編〜Hardcore Rap〜』

        1980年代前半から半ば、ディスコブームの終焉とともに、Hip Hopのサウンドはさらに多様化し、よりアグレッシブなものへと進化していきます。 ディスコやエレクトロのサウンドの上に軽快なラップを乗せるサウンドから一転、3人組ラップグループRun DMCが「It's Like That/Sucker MCs」でデビューすることにより歌詞はより強気になり、ビートのドラムはより重厚感のあるものに変わっていきます。 その同時期、当時新興レーベルであったDef Jam Record

        • 忙しい人のためのHip Hop史③『脚光』

          70年代も終盤を迎えると、Hip Hopカルチャーはストリートからメインストリームへと徐々に進出していきます。 ブロックパーティ時代のソウルやファンクを軸としたサウンドも大きく変化していき、当時ブームだったディスコをベースとしたグルーヴの上に押韻する「Disco Rap」が注目を浴びるようになり、80年代前半ともなると音もより実験的になっていきます。 今回はHip Hopが商業的脚光を浴びる上で、重要な役割を果たした曲を4つ紹介します。 The Fatback Band

        忙しい人のためのHip Hop史④『多様化と進化‐後編〜3人のパイオニア・ラッパー〜』

          忙しい人のためのHip Hop史ー西海岸編ーその①ー黎明期ー

          Hip Hop誕生から数年後、舞台は1970年代半ばのロサンゼルス。 同市出身のカリスマDJ、ロジャー・クレイトンが、コンプトン出身で同じく実力派DJであったアロンゾ・ウィリアムズと手を組み、「ユニーク・ドリームズ(Unique Dreams)」という地元の実力派DJ達をプロモーションするPR会社を設立し、LAのパーティシーンを盛り上げ、若者達から熱狂的支持を得ました。 70年代も終盤に差し掛かると、クレイトンとウィリアムズはそれぞれ別の道を歩むこととなります。 クレイ

          忙しい人のためのHip Hop史ー西海岸編ーその①ー黎明期ー

          忙しい人のためのHip Hop史②『3人の先駆者達』

          1970年代前半のニューヨーク市、サウス・ブロンクス地区。貧困街に暮らす若者たちは公園へと繰り出し祭典を開き、彼らのブロックパーティはHip Hopという独自の文化に発展し、州境、国境、時代を超え、世の若者達を魅了する一大ムーブメントへと大成していきます。 音楽に限らず、アートやムーヴメントにはそれらを牽引する先駆者、カリスマ達がいますが、もちろんHip Hopも例外ではありません。この記事ではHip Hop黎明期の先駆者達3人を、1分以内に読めるよう紹介していきます:

          忙しい人のためのHip Hop史②『3人の先駆者達』

          忙しい人のためのHip Hop史①(番外編) 『 ブロックパーティ』

          数十年の時を経て、Hip Hopはニューヨークのストリートから州境、ゆくゆくは国境を超え、全世界を巻き込むムーヴメントへと大成し、今では音楽業界で最もシェアを有するジャンルとして、多くの親子世代・若者達を熱狂させています。 そのHip Hop文化の発祥を語るうえで、やはり切って離せないのが「ブロックパーティ」です。 なお、「Hip Hopの誕生」と「ブロックパーティの誕生」が同一視されがちですが、ブロックパーティそのものの歴史はHip Hopより先立っているものであるとい

          忙しい人のためのHip Hop史①(番外編) 『 ブロックパーティ』

          忙しい人のためのHip Hop史① 『起源』

          1970年代前半のニューヨーク。当時はヒューズ・コーポレーションやグロリア・ゲイナー、エディ・ケンドリックス等のアーティストたちが第一線で活躍しており、ソウルからディスコへのブームの転換期でもありました。 経済の低迷や産業の衰退の影響で、廃れかけていたニューヨーク市内の住人たちがナイトクラブに集まっては、DJやライブバンドのリズムに合わせダンスフロアで日頃の鬱憤を晴らすのも珍しくない光景だったことでしょう。 一方で、当時犯罪渦巻いていたニューヨーク市内の中でも特に治安が悪

          忙しい人のためのHip Hop史① 『起源』