Domsta Mash

🇦🇺x🇯🇵メルボルン在住、どちらかというとOld Head。「Hip Hopに興味を持つきっかけを作る」、「1分以内に読める」ことをモットーに、「忙しい人のためのHip Hop史」というシリーズを執筆しています。

Domsta Mash

🇦🇺x🇯🇵メルボルン在住、どちらかというとOld Head。「Hip Hopに興味を持つきっかけを作る」、「1分以内に読める」ことをモットーに、「忙しい人のためのHip Hop史」というシリーズを執筆しています。

最近の記事

1分で読める『Hip Hop黄金期』③‐南海岸編

【前置き】 80年代から90年代前半にかけ、ラップはいわゆる「Hip Hop黄金期」に突入し、言葉選びや押韻、音楽性の多様化により数々の新たな様式が生まれていきます。 今回は主に1990年代前半に焦点を宛て、各海岸のラップの特性と独自発展について、1分で読めるようにまとめていきます。 「1分で読める『Hip Hop黄金期』‐南海岸編」 ニューヨークとロサンゼルスのHip Hopがメインストリームに進出し始めるとともに、80年代後半になると南海岸も盛り上がりを見せ始めます

    • 1分で読める『Hip Hop黄金期』②‐西海岸編

      【前置き】 80年代から90年代前半にかけ、ラップはいわゆる「Hip Hop黄金期」に突入し、言葉選びや押韻、音楽性の多様化により数々の新たな様式が生まれていきます。 今回は主に1990年代前半に焦点を宛て、各海岸のラップの特性と独自発展について、1分で読めるようにまとめていきます。 「1分で読める『Hip Hop黄金期』‐西海岸編」 N.W.A.やIce-T,  Too $hort等の躍進により、ニューヨークのそれとは一線を画した独自のスタイルで脚光をた西海岸でも、1

      • 1分で読める『Hip Hop黄金期』①‐東海岸編

        【前置き】 80年代から90年代前半にかけ、ラップはいわゆる「Hip Hop黄金期」に突入し、言葉選びや押韻、音楽性の多様化により数々の新たな様式が生まれていきます。 今回は主に1990年代前半に焦点をあて、各海岸のラップの特性と独自発展について、1分で読めるようにまとめていきます。 「1分で読める『Hip Hop黄金期』‐東海岸編」 1986年以降、Hip HopはEric B & Rakim, Public Enemy, Boogie Down Production

        • あのラッパー達はいま…2010's編

          Hip Hopはいまやメインストリームで最もシェアを誇るジャンルとなり、ストリーミングやサブスクが主流となったいまでも世代を超え、多くのリスナーたちを魅了し続けます。 一方で、ここ20年のインターネットの普及で流行り廃りはより一層激しくなり、最近まで第一線で活躍していたラッパー達がある日突然姿を消すのも珍しくありません。今回は2010年代で大活躍して以降、あまり見なくなったラッパー達を3名それぞれ一分以内で読める様に紹介し、その後について記述していきます。 ・Hopsin

          忙しい人のためのHip Hop史ー西海岸編ーその②ーGangsta Rapー

          1980年代半ばになると、西海岸のラップもより激しいサウンドを取り入れ歌詞も徐々に攻撃性を増していき、ゆくゆくは国家権力を巻き込んだ社会問題へと発展していきます。 Gangsta Rapの源流:Ice-TとSchoolly D 80年代の西海岸を牽引したDJ集団、Uncle Jamm's ArmyのMCとして頭角を現していたIce-Tは、フィラデルフィア出身のラッパー、Schoolly Dの「P.S.K. (What Does It Mean?)」をきっかけに、ラッパーとし

          忙しい人のためのHip Hop史ー西海岸編ーその②ーGangsta Rapー

          忙しい人のためのHip Hop史④『多様化と進化‐後編〜3人のパイオニア・ラッパー〜』

          ディスコのサウンドに加え、エレクトロやロックの要素を取りいれることによる音楽性の多様化や、サウス・ブロンクスとクィーンズの内紛による競争の激化。東海岸のHardcore Rap、西海岸のGangsta Rapの誕生など、80年代半ばはHip Hopの今後の発展にとって大きな分岐点となりました。 同時期に、ラップという手法も著しい進化を遂げます。中でも特筆すべきは、従来のラップの仕方から一線を画した、押韻法やフレージング、リズムの取り方の複雑化でしょう。 今回はその「ラップ

          忙しい人のためのHip Hop史④『多様化と進化‐後編〜3人のパイオニア・ラッパー〜』

          忙しい人のためのHip Hop史④『多様化と進化‐中編〜競争〜

          RUN D.M.C.、Beastie BoysやLL Cool Jなどの商業的成功により、ラップのサウンドは多様化しより激しいものへと変化していき、後のHardcore RapやGangsta Rap(後者については西海岸編にて別途記事執筆予定)、90年代のG-Funk、Boom Bapサウンドの源流となっていきます。 音楽性の変化はそのまま続いていく一方、80年代半ば以降になると「ラップ」そのものも技術的に多面化し、文学としての進化を遂げていきます。その要因の一つには、当

          忙しい人のためのHip Hop史④『多様化と進化‐中編〜競争〜

          忙しい人のためのHip Hop史④『多様化と進化‐前編〜Hardcore Rap〜』

          1980年代前半から半ば、ディスコブームの終焉とともに、Hip Hopのサウンドはさらに多様化し、よりアグレッシブなものへと進化していきます。 ディスコやエレクトロのサウンドの上に軽快なラップを乗せるサウンドから一転、3人組ラップグループRun DMCが「It's Like That/Sucker MCs」でデビューすることにより歌詞はより強気になり、ビートのドラムはより重厚感のあるものに変わっていきます。 その同時期、当時新興レーベルであったDef Jam Record

          忙しい人のためのHip Hop史④『多様化と進化‐前編〜Hardcore Rap〜』

          忙しい人のためのHip Hop史③『脚光』

          70年代も終盤を迎えると、Hip Hopカルチャーはストリートからメインストリームへと徐々に進出していきます。 ブロックパーティ時代のソウルやファンクを軸としたサウンドも大きく変化していき、当時ブームだったディスコをベースとしたグルーヴの上に押韻する「Disco Rap」が注目を浴びるようになり、80年代前半ともなると音もより実験的になっていきます。 今回はHip Hopが商業的脚光を浴びる上で、重要な役割を果たした曲を4つ紹介します。 The Fatback Band

          忙しい人のためのHip Hop史③『脚光』

          忙しい人のためのHip Hop史ー西海岸編ーその①ー黎明期ー

          Hip Hop誕生から数年後、舞台は1970年代半ばのロサンゼルス。 同市出身のカリスマDJ、ロジャー・クレイトンが、コンプトン出身で同じく実力派DJであったアロンゾ・ウィリアムズと手を組み、「ユニーク・ドリームズ(Unique Dreams)」という地元の実力派DJ達をプロモーションするPR会社を設立し、LAのパーティシーンを盛り上げ、若者達から熱狂的支持を得ました。 70年代も終盤に差し掛かると、クレイトンとウィリアムズはそれぞれ別の道を歩むこととなります。 クレイ

          忙しい人のためのHip Hop史ー西海岸編ーその①ー黎明期ー

          忙しい人のためのHip Hop史②『3人の先駆者達』

          1970年代前半のニューヨーク市、サウス・ブロンクス地区。貧困街に暮らす若者たちは公園へと繰り出し祭典を開き、彼らのブロックパーティはHip Hopという独自の文化に発展し、州境、国境、時代を超え、世の若者達を魅了する一大ムーブメントへと大成していきます。 音楽に限らず、アートやムーヴメントにはそれらを牽引する先駆者、カリスマ達がいますが、もちろんHip Hopも例外ではありません。この記事ではHip Hop黎明期の先駆者達3人を、1分以内に読めるよう紹介していきます:

          忙しい人のためのHip Hop史②『3人の先駆者達』

          忙しい人のためのHip Hop史①(番外編) 『 ブロックパーティ』

          数十年の時を経て、Hip Hopはニューヨークのストリートから州境、ゆくゆくは国境を超え、全世界を巻き込むムーヴメントへと大成し、今では音楽業界で最もシェアを有するジャンルとして、多くの親子世代・若者達を熱狂させています。 そのHip Hop文化の発祥を語るうえで、やはり切って離せないのが「ブロックパーティ」です。 なお、「Hip Hopの誕生」と「ブロックパーティの誕生」が同一視されがちですが、ブロックパーティそのものの歴史はHip Hopより先立っているものであるとい

          忙しい人のためのHip Hop史①(番外編) 『 ブロックパーティ』

          忙しい人のためのHip Hop史① 『起源』

          1970年代前半のニューヨーク。当時はヒューズ・コーポレーションやグロリア・ゲイナー、エディ・ケンドリックス等のアーティストたちが第一線で活躍しており、ソウルからディスコへのブームの転換期でもありました。 経済の低迷や産業の衰退の影響で、廃れかけていたニューヨーク市内の住人たちがナイトクラブに集まっては、DJやライブバンドのリズムに合わせダンスフロアで日頃の鬱憤を晴らすのも珍しくない光景だったことでしょう。 一方で、当時犯罪渦巻いていたニューヨーク市内の中でも特に治安が悪

          忙しい人のためのHip Hop史① 『起源』