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職業って、趣味って、なんだろう?


ダンスだけでなく、様々な分野にも存在する趣味と職業という壁。

ダンスを十年以上やってきて、この壁について考えることが最近とても増えた。

ダンサーになることも将来の選択の一つとして考えるようになって、
周りの先輩たちが就職活動に本腰を入れて頑張っている姿を見るたび、就活の話題が出るたびに、
どこか窮屈に感じてしまう自分がいる。
そして同時に「本当にダンスを職業としてやりたいのだろうか」「ダンスに対してこれからどう向き合おうか」、そんなモヤモヤが頭を埋め尽くしているが、私の力だけでは解決できそうもないと思った。

そこで、上京してからお世話になっているitsukiさんとmaakunさんにお話しを伺うことにした。

この記事では、お二人のお話を聞いて私が得たこと、感じたことを素直に綴り、あわよくば読者の皆さんのお役に立てることが少しでもあれば嬉しいなと思う。





まず、itsukiさんとmaakunさんがどんな人なのか、紹介しよう。

Itsukiさんは4歳から、maakunさんは12歳からダンスを始め、現在は、En Dance StudioやNOAダンスアカデミーで、インストラクターとしてダンスを教えている。コロナウイルスの拡大前は海外でも教えたり、ショーをしたり、様々な国のダンスシーンに触れてきた。そして、ダンサーとして仕事をする傍ら、ライターやフォトグラファー、ビデオグラファーとしても活動されている。

そんなマルチな活動をされているおニ人だからこそ、インタビューさせていただくことにした。


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ここからは、いくつかのお話を取り上げて紹介したいと思う。


Q1 趣味であったダンスと仕事として向き合うと決めた時、葛藤はありましたか?

Maakunさん:
迷うふりをしていたかもしれない。個人的には、迷っているといっても50:50なことはなくて、世間体や面倒な都合に気づいた時、どちらかに決めるのではなく迷うふりをしていたんじゃないかと思う。僕の場合、家業を継ぐものだと思っていて、高校・大学もそれに関するところに通ったんだけど、いざ何の仕事に就くか決めるときになって違うと気づいて、ダンスという裏付けを見つけてしまったんだよね。それからは、好きなことだけをやるっていう決意を固めて、周りの人に流されて就活をすることもなかった。迷ったことには違いないけど、信念は強く持てていたのかもしれないね。

Itsukiさん:
私の場合、3年生の後半からドイツに留学に行ったから、帰って来た時には就活が始まっていて、私も英語とドイツ語が話せることも生かして、就活を始めたの。でも、第一志望だった会社の選考に進んで面接をした時、すごく話が盛り上がったし仲良くなれたと思ったのに落ちた。後になって日本の会社が求める人材のことを聞いて、違うかもって思い始めた。それからも迷ったけれど、ダンスの作品に出るのを通して、プロを目指している人の中でも戦えるんじゃないかって思うようになって、ダンサーの道に進むことにしたの。大学を卒業してからも悩んだし不安もあったけど、これであっているはずって信じて、代行レッスンやショーをやっているうちに自信がついていった感じかな。


Q2 ダンスを長く続けてきたからこそ、仕事との両立やダンスに対する思いの変化で、楽しめなくなったという話を聞くことがあります。趣味としてのダンス、職業としてのダンス、他にも多様なダンスの在り方がありますが、お二人はどう捉えていますか?

Maakunさん:
俺はあるきっかけで、ファンがいるから踊るんじゃなくて、「自分のために踊りたい」ってことに気づいた。「自分に素直でいられる環境でダンスをしよう」と決めて、メディアダンサーとして、つまり、誰かへ向けて踊るということに対して抱いていた疑問がはっきり解けたんだよね。世界で色々な人の向き合い方を見てきたから、ダンスだけで生きていかなくても、自分のために踊れればそれでいいんだと思えたし、ダンサーの仕事だけで生きている人だけがダンサーだとは思わない。バイトしながらだって、社会人としてだって、どんなあり方でもいい。そういう向き合い方がかっこいいと思ってもらえる波をつくりたいな。

Itsukiさん:
以前は、何かを極めることが重要視されていたような感じがするけど、今はダンサー1本でやっていく方がリスキーって思っちゃう。体もいつか動かなくなるし、私たちの上の世代の人もそう言っているから。

ダンスと向き合う時に、自分が具体的にダンスでどれくらい稼げるようになりたいのか設定することがいい指針になると思う。私の場合、四年大学出てダンサーになったのにお金を稼げないのは嫌だったの。それで、どうやって稼ぎたいか考えた時に出てきたのが「海外でブッキングされて、色々な国でダンスを教えること」だった。だから、あとはそれに向かってひたすら頑張った。もしどれくらい稼ぎたいか考えるのも面倒くさいって思うなら、趣味として向き合えばいいんじゃないかな。でも、趣味で向き合える場所がないのも事実だから、そういう場所を作っていきたい。


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Q3 お二人はなぜ踊っているのですか?とても究極だと思いますが、、、(笑)

Itsukiさん:
う~ん、なんだろう。
私の場合は多分ダンスじゃなくても良くて、根本的にアイデアを形にするのが好きな人なんだと思う。振付を作ったり、ショーをしたり、イベントをやったりするのも手段でしかないのかもしれない。あと、スポーツの多くが「練習」が必要だけど、ダンスにはそれを感じずに楽しめる。
人と知り合えるし、アイデアを形に出来るし、身体使うのは好きだけど練習と思わずにできるし、良いとこどりみたいな感覚がフィットしていたのかもね。

Maakunさん:
結局のところ、感覚的に好きなのを頑張って言語化しているのに過ぎないんだろうなって思う。一定時間考えているということは、シンプルな好き・楽しい以上でも以下でもないに尽きちゃうけど、考えて出てくることはいくらでもある。
一つは、誰かと繋がれるツールになること。ダンサー同士、言葉が通じないから仲良くなれないわけじゃなくて、「セッション!」って言って、音楽をかけたら、それだけで一緒に楽しめる。
あとは、踊った時に自分じゃない感覚になれるのがいいなって思う。自分が特別になれる瞬間みたいなものが欲しいのかもしれない。ゾーンに入っている時って、自分じゃない感覚がすごくするの。で、それがすごく好きだなって思う。自分じゃない何者かになるっていうところでは、自分に素直でいるのとは対極にいる感じもするけど、そういうところが好き。
「自分のために踊れるダンスだから好き。」

Itsukiさん:
ダンスって、いちいち言葉で説明しなくてもいいっていうところも便利だよね。いいストレス発散法になるっていうので助かる部分がある。

Maakunさん:
あと、何も道具いらないし。(笑)







今回、お二人にお話しを伺い、社会状況的にもダンスを趣味として続ける難しさを改めて感じたが、広い世界を見てきたからこその多様な考え方に感銘を受けた。

今までの私は、ダンサーならダンサーの仕事で食っていかないと!というような考え方に縛られていたのかもしれない。

もちろん、ダンスでお金を稼ぐと決めたのなら、それ相応の覚悟とガッツが必要だ。

でも、あくまでダンスは、自分を表現するツール、自分と他者をつないでくれるもの。今まで続けてきた理由は、感覚的に好きだった以外の何物でもない。

ならば、どんな形であっても、それぞれのライフスタイルや目標に合わせて変えていけばいい。ダンス一本じゃなくても、そんな生き方がかっこいいと思え、決して妥協だとは思わない、そんな暖かいコミュニティーを作っていくことが、私たちに求められているのかもしれない。




「好きだから。」




それだけで、踊る理由は十分みたいだ。


Itsukiさん、maakunさん、ご協力ありがとうございました。

お二人の温かい作品を是非ご覧ください🌿



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