差別のこと

ここ数日SNSではずっと #blacklivesmatter の投稿ばかり目にする。私たちがやっているイベントでも声明文を出した。

私のパートナーはアメリカ人のトランスジェンダーだから私はいつも英語堪能でマイノリティー問題のスペシャリストの様に人から見られるのだが、正直、英語は幼い頃からずっと苦手だし、マイノリティーに関しても完全に無知で、私にとっては毎回毎回新しい情報ばかり。そんな私が英語で報じられるここ最近のニュースを見ても他の日本人と同様正直ピンとこなかった。実際、アメリカに住んでいた時白人が黒人(という表記が失礼に当たらないか不安ではあるが。。それほど私は無知なのだ)を露骨に差別するシュチュエーションに出会したことがなかった。白人のパートナーと共に選んだ、義母の家の近くの私達の生活圏の中には「黒人」は唯一、義母の家に毎週やってくるメイドさんと、白人夫婦の養子として育てられている息子のクラスメートだけで、そもそも「黒人」は特定の場所に行かなければ出会うことすらなかった。それほどまでに、アメリカは黒人と白人の住み分けがはっきりしていたから。(今思うと、そうやって「住み分け」しなければやっていけない環境こそが「差別」だったと思うが。この動画がそれをわかりやすく教えてくれている)だから、はっきり言って今回のBLMの運動もピンとこない。でも、よくわからないから、関係ないからと無知や無関心でいることこそが「差別」なのだ。私もわからないながらに日々学ぼうとしている。そして、知れば知る程に絶対にあってはならない事だと知っていく。だからどうか、無関心でだけは居ないで欲しい。

ところで、日本では大抵の人は「私は差別してません」と言うし、本当に自分は差別者ではないと思い込んでいる。あるいは「差別されたことがない」と思い込んでいる。実際の所、普通は「在特会」の様に人前で面と向かってヘイトする人はいないし、ましてやアメリカの様に暴力でもって差別されるシュチュエーションはほぼないと思う(先日の様なクルド人に対する不当暴力のような事が稀にあったりはするが。いや、稀なのか?もしかして知らないだけか?)。
しかし、日本には非常に地味でわかりにくい、それでいて不動の「差別」を多くの人がしている。それはパートナーが性別を変更した時にも感じた。
 私の妻が「女性」になった事を伝えると皆「おめでとう」「素敵」「素晴らしい」「よかったね」と、とても温かい言葉で応援してくれた。実際今も皆応援してくれている。ところが、そんな、優しい言葉をかけてくれている人も、驚く事に自分の夫がそうなったらそれは許せないと言うのだ。息子や娘がトランジションするのは応援するが、夫のトランジションは賛成できないと。これを聞いた時に、私は昔の親友のとても優しいお母さんを思い出した。その親友が在日コリアンの彼氏と結婚したいと言い出した時に「私はコリアンを差別してないのよ。でも私が良くても他の親戚がなんと言うか。そんな環境の違うお家で育った人と結婚したらあなたが苦労するから悲しい。」ととても優しい口調で言っていた事を。結局親友は「私はコリアンでも気にしないけれどお母さんを悲しませたくないから別れる。」と言って結婚は破談になった。
そう言えば、昔アフリカに住んでいた知人も「僕はアフリカ大好きだし、アフリカ人も大好き。でも娘は黒人とは結婚させたくないな」とサラッと言ってのけた時もギョッとしたが。。
日本の場合自分の身に降りかかった時に「拒絶」する地味でそれでいて絶対的な「差別」をしている事を本人自身が気づいていない場合が非常に多いのだ。

だから私は皆に問いたい。

あなたは自分の夫が女性になる事を、あるいは自分の妻が男性になる事を受け入れられますか?
あなたは習慣も言葉も通じない知らない国の人を息子のお嫁さんとして受け入れられますか?
あなたは自分の娘が肌の黒い子供を産む事を受け入れられますか?
あなたは夢を追いかけて娘より収入が低い婿を受け入れられますか?
あなたは足のない婿を受け入れられますか?
あなたは目の見えないお嫁さんを受け入れられますか?

あなたはあなたの一番大切な人がそれによって不幸になると洗脳されているかも知れません。でも自覚してください。その「拒絶」は差別です。


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