見出し画像

ハウツー本には書いてない、ミニマムな起業の具体的な方法論:後編

起業のための具体的なステップを解説した前編に引き続き、
後編では「社長に絶対に必要なスキル」を書いていく。

起業に関する本は、ほとんどが精神論だったり、
起業して軌道に乗ってからの話ばかりが書いてある。
私はもっと具体的に、ゼロから起業するためのスキルは何か?を書く。
起業を志す人の参考になれば幸いである。

内容に入る前に、改めて私の経歴を紹介しておく。

新卒で国内大手の生命保険会社に入り、営業を経験した。
個人・法人の飛び込み営業を経て、販売資料作成の部署に配属になり、
色々あったが3年で転職した。

次の仕事は税理士事務所で、経営コンサルタントの仕事をした。
経理の分かるコンサルという位置づけだった。
実家が自営業なので、家業の助けになる知識が欲しいと思って転職した。
色々あったが、ここは1年経たずに辞職している。

そして今、かねてよりの夢だった起業にこぎつけた。
その経験をまとめるために、この記事を書いている。

仕事を通して、私が得た知識や経験はこのようなものだ。
・営業経験(ドアオープンから関係構築、クロージングまで。)
・販売資料作成(代理店向け資料の作成)
・企業の会計(自分で帳簿つけて、一応は決算書作れるくらい)
・経営の戦略(コンサルタントの経験と読書による自習)

仕事で得た経験、本から得た知識を総合して、
社長に絶対必要なスキルとは何かを考えた。
実際に起業してみて、ますますそれらのスキルの必要性を感じている。
リアリティのある情報を提供できると思っている。

社長に絶対に必要なスキル

起業とは、会社に存在する全ての仕事を自分でやるということだ。
初めから専門分野の人材を雇えるほどの資金力がなければ、
顧客を作るのも、帳簿をつけるのも自分の仕事になる。
そんな社長が、絶対に必要なスキルとは何かを考えた。

正直、私もこれらのスキルが十分とは言えない。
起業する前に、スキルを磨ける職に就いても良かったかも知れない。
これから起業を目指す人は、ぜひ参考にしてほしい。

①マーケティング

ざっくりとした表現だが、売れる商品をリサーチする能力である。
(参考:マーケティングと営業の違いは?求められる仕事内容の役割と能力・資質について

どんなに素敵な商品でも、需要のないものは売れないのだ。
私には、この考えが決定的に欠けていた。

私は着物が好きで、男性向けの着物販売を事業として考えていた。
しかし、この分野には既に競合がひしめいている。
しかも市場規模はかなり小さい。
ただでさえ小さい市場で、強い競合と戦うのは賢くない。

「やりたいこと」を仕事に出来るのはひとつの理想である。
しかしそれが、現実に自らの暮らしを支えられるかという問題がある。

売れる商品、顧客の需要を読み解き、自社の利益を最大化する。
そのために、市場を知るためのマーケティングのスキルは必須だ。
ちなみに私はこの分野の経験がない。手探りで学んでいる最中だ。

②営業

売れる商品があっても、顧客にアプローチできなければ意味がない。
反対に、商品がどうあれ売ることさえ出来れば、利益は確保できる。
その意味で、営業のスキルは必須である。

自分の経験から言わせてもらうと、営業はかなり頭を使う。
お客さんと交わすなにげない雑談も、商談のための布石だったりする。
売るものが高額になるほど、周到に準備する必要も出てくる。
起業を目指す人は、一度くらい営業の仕事をしておくと良いと思う。

補足すると、営業とは対面に限ったことではない。
メールのやり取りもそうだし、インターネットで集客するスキルもある。
手広くやっておくに越したことはない。

③会計

自社の業績を知るのに、会計の知識はどうしても必要である。
前職はコンサルの仕事をしていたが、数字に弱い社長は色々といい加減だ。
自社の課題が見えていなかったり、危ない事業に手を出そうとする。

会計の知識は、言ってみれば防御のための知識である。
新規事業に乗り出す際、数字の想定をちゃんとやらないと赤字になる。
新しい設備を導入する時、どれだけ売り上げがあれば投資を回収できるか、
何も考えずに投資をすればやはり業績が悪化する。

自分のやろうとしている事業を数字で分析できるか。
少なくとも、営業利益と経常利益と純利益の違いくらいは分かっていないといけない。

④パソコン・インターネットに関する知識

令和の今、起業を志すならネット関連の知識は必須だ。
簡単なホームページくらいは、自分で作れた方が良い。

販売のチャネルとして、インターネットの市場は膨らみ続けている。
Googleに広告を出す方法だったり、SEO対策の知識が無いと、
巨大な市場に参入することすら出来ずに淘汰される。

サーバーを契約して自社のメールアドレスを作ったり、
独自ドメインの取得くらいは素人だって出来ることだ。

残念ながら、私はIT関連の会社で働いたことはない。
ただ、この知識なくして起業は無理だと思っていたので、
以前からちょこちょこ勉強していた。
基本情報技術者試験というのがあるが、午前試験は合格している。

あとはアフィリエイトをやってみた。
成果は出ていないが、webページの構成や作り方を知れたのは良かった。
今後もアフィリエイトは細々と続けるつもりだ。


まとめと余談

世の中の起業本は、肝心なところがぼかされている。
あと、やたらとビジョンとかミッションとかが強調されている。
読み終えて、「じゃあ結局何をすればいいの?」と思うものばかりだ。

私が8年ほど考えてたどりついた結論は、
「とりあえず商品が売れて利益が出れば会社は存続する」ということだ。

今回の記事で書いたのは、いかに売れる商品を探すか、
いかに商品を売るか、そのために必要なスキルは何か、ということである。

もっと肩肘張らずに、楽に起業を考えても良いと思う。
若いうちなら取返しもつくだろう。向いてないなら別の仕事をすればいい。

機会があれば書くが、街の八百屋さんだって起業の事例だ。
おじいちゃんとおばあちゃんで細々やってるようなお店のことだ。
そのお店が、ビジョンとかミッションとか抱えて起業しただろうか?

個人的な考えだが、これからの社会はさらに小さい会社が増えると思う。
各々のスキルや専門分野を活かした、オーダーメイドのサービスを提供する会社が増えるだろう。
そういった会社は、大企業が作れない商品を作れたり、
大企業が導入できない働き方を推進できるはずだ。

私は、そういう会社の一員になりたくて起業した。
起業を目指す人に、少しでも参考になったらこれ以上嬉しいことはない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?