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2014年 小学生部門 最優秀賞『赤毛のアン』

受賞者
菊池柚子さん(小6)

読んだ本
『赤毛のアン』 L・M・モンゴメリ作 村岡花子訳 講談社青い鳥文庫

作品
腹心の友になりたい

「もし、こうだったら。」
 こんな風に、想像してみることが大好きな少女、アン・シャーリー。アンは、誰もが知っている、有名な「赤毛のアン」の主人公です。想像力豊かなアンは、自分の名前、かみの毛の色、顔、それにやせた体まで、気に入っていません。でも、得意の想像――例えば、もし、自分の名前がコーデリアだったら、とか――をして、幸せな、いい気持ちになれば、容姿のことなんていくらでも忘れられます。もっとも、いくら想像をしても、どうしても、燃えるようなあの赤いかみの毛のことだけは、忘れられないそうですけど。
 私も、アンと同じように、
「もし、こうだったら。」
と、想像してみることがあります。私は、本が大好きなので、もし、この本の世界に入れたら、とか、もし、将来の夢である作家になれたら、とか。すると、アンのように幸せな気持ちになれるのです。
 アンはマシュウと一緒に、グリン・ゲイブルスに向かう途中、美しいものをたくさん見ます。土手に並ぶ山桜や白樺の木、大きなりんごの木の並木道。後に腹心の友になる、ダイアナ・バーリーの家の池。アンはよく、場所でも人でも、その名前が気に入らないと、自分で新しい名前を考え出します。りんごの木の並木道は、「歓喜の白路」、バーリーの池は、「輝く湖水」。さっそく、新しい名前を考え出したアンは、グリン・ゲイブルスで暮らすようになってからも、近くにある森やダイアナと作ったままごとの家など、たくさんのものに、新しい名前をつけていきます。
 私の住む大河原町には白石川の土手沿いに、「一目千本桜」という、桜並木があります。春には、川の両方の土手に桜が何キロメートルにもわたって咲きほこります。アンは、しんから美しいものを見るたびに、胸のあたりに、ずきりとする気持ちのよい痛みを感じるそうです。もしアンが、あの桜を見たら、間違いなくその痛みを感じるはずです。あの桜は、本当に、本当にきれいで、次の春が待ち遠しくてたまらないほどです。また、アンは、「一目千本桜」という名前を、絶対に気に入らないと思います。いいえ、気に入るはずがありません。もし、アンがあの桜を見たら、どんな名前をつけるんだろう? ワクワクして、想像せずにはいられません。
 もし、この世界にアンがいたら。私は、絶対友達になります。きっと学校から帰って来たら、毎日のように遊ぶでしょう。一緒にお菓子を作ったり、春には一緒に桜のお花見をしたり・・・。他には、何をしようかな?
 この本は、読むと色々なことを想像したくなる本です。「赤毛のアン」シリーズはたくさん続いているので、全巻読破し、もっとアンと――もちろん、想像の中でですけど――仲良しになりたいです。アンと、腹心の友になりたい!

受賞のことば
「私が『最優秀賞』だなんて、信じられない! これは夢かな」と何度も思いました。でも、夢じゃありませんでした。現実です。うれしい!
 私は、本が大好きです。文章を書くことも好きで、将来は作家になりたいと思っています。
 これからもたくさん本を読んで、たくさんのよい本に出会い、夢に向かって頑張ります。
 私を最優秀賞に選んでいただき、本当にありがとうございました。

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(注:応募者の作文は原則としてそのまま掲載していますが、表記ミスと思われるものを一部修正している場合があります。――読書探偵作文コンクール事務局)

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