歩けない

５、６年ぶりかな？
左足首の爆弾が暴発し、また歩けなくなった。
火曜日の休日に森の山道を４時間ほど歩いた。
４時間程度の森歩きはいつものことで、もう筋肉痛にもならず疲労感もまるでない。むしろ心地よい疲れが爽快感として身体と心をリフレッシュする。今回もそれは感じたのだが。
水曜日に身体の重心が足の裏の外側にかかりおかしいなと感じた。まるで気にしていなかったが、普段は足の裏の内側、親指の下ぐらいにあることを再確認する。
木曜日に左足首に痛みを感じた。とはいえ、無理すれば歩けなくもない程度。外へ行く仕事もなんとかこなした。が、明日も納品があることを考え少し不安になる。こういうとき一人で仕事をしている悲しさを感じる。
ツレアイが勤務の予定を確認して納品を手伝おうか、と言うが、いろいろややこしい納品のため保留にしてもらう。今日程度歩ければなんとかなると考えていたこともある。
金曜日朝、左足首激痛にて歩けず。しかも大雨、、ヤバし。
ちゅうか、とりあえずトイレに行きたい。片足歩行、つまりケンケンにてトイレまでたどり着く。ついでに歯磨き。
なんとか着替えて、階段は左手で手すりにつかまり右手は壁にむかっておもいっきり伸ばし身体を支えながら降りていく。
手で支えるものがない部屋よりも移動は楽である。
そうしてなんとか、事務所までたどり着く。
住居と事務所が同じ建物ののなかにありラッキーだ。
９時になり納品先に電話。事情を話し月曜日まで延ばしてもらった。
月曜日に歩けている保証はないが、そのときは這ってでもいくさ。天気は悪くなさそうだし。
さて、もう一つも問題があった。
１週間ほどまえに今日の傾聴を頼まれていた。快諾したこともあり、なんとなくこっちのほうが納品よりも意地でも行かなければ、という圧迫感がある。ある、あるのだが、歩けない、それよりもおそらく傾聴に集中できなさそうな予感がする。もし集中できないならば、話し手にとっても聴かないほうがいいだろう。それと自分がいけなければ穴が空くという最悪の事態ではない。ということで丁重にお許しを得たのだが、なんとなく申し訳なさ感が裡に漂っている。
何かしら予定を入れるときによぎる、明日死ぬかもしれないよな、という感覚が頭の裡を右往左往する。行けないという電話を入れながら、やはり傾聴の予定は前日ぐらいにしておこうか、と思ってしまった。

さて、ここまで読んでくれた奇特な方は「なぜ病院へいかないんだ？」と思われるかもしれないな。
前回、５、６年前のことである。その時は北区のK病院の整形へ行った。
行ってボロクソ言われたのである。
痛風の発作だ、薬は飲んでいるのか、、、
発作にしちゃ場所がいつもと違うし、、、薬は飲んでるし（よく忘れるけど）
酒飲んでいるだろ、だからに決まっている、死ぬぞ、
酒やめて生きてくぐらいなら、死んでもいいし、
なんだと、この野郎、、、、とにかく検査だ、痛風だ、
・・・（ちくしょう）、、、、
で、痛みもおさまりかけた一週間後に検査結果を聞きにいった。
あれ？おかしいなぁ、尿酸値は高くないなぁ、、、、
はぁ（テメー）、、あれだけ言いましたよね（いっぱつなぐらせろ）、じゃあなんなんですか、、、
わからん（わからんのなら、だんげんするな、このやぶいしゃがぁ）・・・
正直にいえば多少盛ってあるのだが、心情的にはこんな感覚だったため、行く気がしないのである。ボロクソ言われた他になんか治療されたわけでもなく、ロキソだされて金払っただけだったしね。
恋も二度目なら、と歌われたと同様に、激痛も二度目なら、なんとなく推移が予想できるというもんだ、しかも恋よりも推移は読みやすい。

とりあえず金曜日を乗り越えて土曜日。
土日でツレアイが泊まりで学会へいくため、土曜日は、朝から森へいき、夕方はラグビーを観て、夜は場末の酒場にしけこんで、、、と淡い計画をたてていたのだが淡いまま宙を漂い、やがて上昇完全に空に溶けていった。
朝おきたら、多少痛みは引いたものの歩けない。
仕方ないから、買ったまま読めてない本を読もうかと思って本を開いてみたものの集中できない。最近「蜜蜂と遠雷」を再読しおわったばかりかもしれないし、淡い計画が空で溶け切らないで日差しとともに部屋に還元されているかもしれない。
テレビはつまらないし、ビデオを観るのも面倒なほうが先にたつ。ギターもなんだか音が響かない。
ああ、突然歩けなくなるというのはこういうことなんだな、という傾聴者としては識っていたほうがいい実感だけは容赦なく与えてくれる。
もちろん「可哀想な自分」なんてことは思わず何かすることはあるとは思うのだが、とりあえずは、やる気が起きない退屈さの実感だけは記録しておこう。

そして日曜日、昨日は早く寝たのにぐっすり朝まで寝ることができた。
体調がおかしくなったときや怪我のとき身体というのは寝るようにできているのだと実感する。実感はするのだが、昨日よりも痛いぞよ？
昨日は少しでも歩くことができたのに、金曜日の状態に戻っている。
というより、昨日も薬の効き目がでていて痛みが抑えられていただけかもしれないな。
緩やかな秋の日差しが窓から注ぐ日曜日の朝。
半径３ｍの世界で何をしよう。
歩けなくなってできること。
とりあえず闘病手記？？でも書いてみるかと思った。