アスファルトのうえの蝶

アスファルトの照り返しに煽られ飛ぶ蝶
そんな蝶はアスファルトを知っている

アスファルトは熱いもの
アスファルトは硬いもの
アスファルトは水を弾くもの
アスファルトは地面を覆うもの
アスファルトは草を隠すもの
アスファルトはアリの巣を阻むもの
アスファルトは落ちる種を流すもの

アスファルトは人の造りしもの
アスファルトは人だけを繁栄せしもの
アスファルトは人を快適にさせるもの
アスファルトは人のエゴイズム
アスファルトは人以外の命を奪うもの
アスファルトは人の「いのち」も奪うもの

アスファルトのうえを飛ぶ蝶は
すべてを許容して飛んでいる
不平をいわず、不満をいうこともなく
ただ、自らの力で飛んでいる
褒められることを望まず
認められることも関心がなく
ただ黙々と飛んでいる
アスファルトを打ち抜く花を探して

いつか、翼が折れ
アスファルトのうえに落ち
命をおとしても
たとえ土に帰ることはなくても
ただひたすら自己の生を生きたことは自分にとっては真実
なんてことを思うことさえなく……
ただ静かに永眠る