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エッセイ

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2024年1月の記事一覧

あいつは黙って旅立った

ある日の午後、森のなかであいつは黙って旅立った。
あいつにはボクのアイデンティティを預けていたのに。
それらを背負ったまま、知らぬ間にボクの元から消えた。

たしかにボクはアイデンティティって奴を軽く扱っていた。
やれ虚構だ、やれ幻想だ、と馬鹿にしながら、あいつに背負わせていた。
あいつは何も不満を言わず黙々と背負っていた。

あいつがいないことに気づいたのは翌朝だった。
ボクは慌てふためいた。

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