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冤罪で捕まった2人が自由を求めて脱獄する!「奈良監獄から脱獄せよ」

こんにちは、読書子です。
本日、紹介する本はこちら。
和泉桂作「奈良監獄から脱獄せよ」

BL作品を多く手がけている和泉桂さんの最新作です。
実在した奈良監獄が舞台ということに興味を持ち、手に取ってみました。
では、あらすじを簡単に紹介します。

舞台は日本の大正時代。
数学教師の弓削朋久ゆげともひさは免罪で捕まり、西洋式の監獄「奈良監獄」に収監されます。
無実を訴え続ける弓削ですが聞き入れられず、監獄生活は2年目を迎えました。

ある日、殺人と放火で無期懲役となった羽嶋亮吾はじまりょうごが収監されます。
羽嶋と関わるうちに彼が免罪だと知った弓削は、羽嶋と脱獄することを考えますが、なかなか決心がつきません。

そんな中、新しく就任した奈良監獄の典獄(刑務所長)から、弓削は嫌がらせを受けます。
また、友人関係にあった囚人が看守から殴られ死亡するといった事件も起きたため、弓削は羽嶋と奈良監獄から脱獄することを決意し、計画を立てますが・・

物語は、一人の少女が数学教師の弓削に恋するところから始まります。
ただ、少女の恋は叶いません。
親に決められた相手と結婚するため、学校を辞めなければいけなくなりました。
もちろん、弓削とも会えなくなります。

自由に恋愛できない自身の境遇に絶望した少女は自ら命を絶ってしまうのですが、これが悲劇の始まりです。
少女を殺害した罪で弓削は捕まってしまいました。

その後、奈良監獄に収監された弓削は、同じく免罪で捕まった羽嶋と出会います。
真面目で内向的な性格の弓削に対し、羽嶋は素直で明るい。
誰にも心を許さなかった弓削が、羽嶋と関わっていくうちに少しずつ彼に心を開き、更には脱獄まで考えるようになります。
物語終盤で2人が脱獄するシーンは、読んでいてドキドキしました。

また、2人の心情が丁寧に書かれているので、物語にグッと入り込めます。
典獄の嫌がらせや、弓削の友人が看守に殴られ亡くなった時は嫌な気持ちになりましたが、こうした出来事があったから、弓削は脱後の決意を固めたのだと思います。
何より、弓削と羽嶋の関係が終始素敵でした。

果たして、2人は見事、奈良監獄から脱獄できるのでしょうか?
物語の結末はご自身の目で確かめてみてください。

ちなみに物語の舞台となった奈良監獄は現在、耐震性などの問題により閉鎖されています。
ただ、星野リゾートが2026年に監獄ホテルとして運営する予定です。
監獄資料館もできるみたいなので、興味のある人は行ってみてください。





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