見出し画像

㊷ミャンマー情勢(日本人の拘束、国軍の暴走、新たなPhaseへ)

前回の続きです。前回のタイトルは、「2024年が経済の限界か?」でした。

ただいま、ミャンマーは、日本人が拘束されたことで、また注目を浴びるようになりました。

日経新聞記事の情報

まず、日経新聞から日本人拘束の内容を抜粋します。

ミャンマー軍政、物価高抑制に躍起 イオンの邦人拘束 2024年7月2日

ミャンマー軍事政権が6月30日、小売り大手イオンの日本人駐在員の拘束を発表し、物価統制に躍起な姿勢が鮮明になった。拘束はコメの値上がりを抑えるための価格統制に違反したためとされる。大手企業への締め付けを強め、経済失政への市民からの批判をかわしたい当局の狙いが透ける。

(中略)

同じ会社の幹部によると、拘束の長期化を視野に日本大使館などと早期の解放を働きかけていく。大使館の担当者は「(罰金による短期解決のような)楽観的な要素はない」と話す。

(中略)

最近は医薬品や肥料でも当局が価格統制を強めており、関連企業は警戒が求められる。あるJCCM役員は「緊張感をもって状況を注視する」と語った。

ミャンマーでは6月下旬からコメ事業者への統制が急速に強まった。ミャンマー・コメ連盟(MRF)幹部や地元小売り大手シティマート・ホールディングの関係者の拘束も伝えられていた。

MRFはスーパーやコンビニエンスストアでのコメ販売について、当局が示す参考価格に最大20%の利益を上乗せできるとする規定を敷いてきた。30日の発表文ではイオン系など22の商業施設で「51~70%に及んだ」と主張した。

軍政がコメ価格への統制を強める背景にあるのが、経済が低迷するなかで高止まりするインフレだ。外貨流通や投資の低迷で地元通貨チャット安が進み燃料や日用品の輸入価格が上昇している。

コメやタマネギ、ニンニクといった生活必需品は過去1年だけで5割以上~数倍値上がりした。

軍政は最近、早期の実施を目指してきた総選挙を25年に行うと発表した。インフレ抑制を市民にアピールするために大企業の幹部の拘束を重ねている節もある。

物価高対策の解説

ミャンマー経済の詳しい実態は、以下で解説したので、以下をご覧下さい。

現在、ミャンマー軍政が統制しているのは、以下の5つです。

1.米ドル(記事㊵参照)
2.金(記事㊵参照)
3.燃料(ガソリン、軽油)
4.食料油(パーム油)
5.米

そして、今回の日本人の逮捕劇は、5.米によるものです。

そもそも、1.米ドルの為替相場は、ミャンマーが2021年2月に軍政に変わって以降、ミャンマー国民の99%と世界の国々がミャンマー軍政を信頼していないため、ミャンマーチャットの通貨の信頼(=国に対する信頼)が低下して、チャット安が進行しています。

2021年1月には、1ドル=1,300チャット→1ドル=4,600チャット(2024年7月)になっていて、ミャンマー・チャットの実力は、3分の1以下になってしまいました。

故に、物価は3倍以上になっています、、、


問題の本質

しかし、こうした経済原理がわからない、頭の悪い軍政が経済を支配(コントロール)しようと思っている所に、問題の本質があります。

頭の悪い軍人さんは、経済を支配するために、企業や経営者を強欲資本主義の権化と決めつけて、逮捕・拘束しています。

ミャンマー側の言い分(逮捕理由)

確かに、ミン・アウン・フライン司令官がメッティーラを訪問した際、住民から米の価格が高いことを聞き驚いたことから、6月後半から米業者の取り調べが指示された、ようです。

これにより、ミャンマーの米業者は、大量に逮捕されてしまいました、、、

今回の日本人の逮捕劇に対する、ミャンマー側の言い分は、以下です。

1.一部の企業がコメを適正価格で販売していないため、国民のコメ購入に支障が出ているという情報を受けた。全国の都市部のコメ業者58名に対し、ミャンマー・コメ協会が毎月発表している適正価格以上のマージンを取っていないか治安部隊が取り調べた。

2.結果、適正価格よりも10%以下高く販売している業者が27名、11~30%高く販売しているのが24名、30~70%高く販売しているのが7名いることが発覚した。

3.このうち、11~30%を上乗せしている24名は、上乗せ金額について罰金徴収と追徴課税を行う。30~70%上乗せしている7名については、生活必需品・サービス法第5条に基づき処罰する。

4.また、消費者向けのコメを扱う小売店の一部が、ミャンマーコメ協会発表の適正価格に上乗せしてマージンを取って販売していることが発覚したため、53店舗に対し治安部隊が立ち入って責任者の取り調べを行った。

5.ミャンマー・コメ協会が毎月発表している適正価格より20%(以下)高く販売した小売店は1店あり、21~50%高く販売した小売店は30店あり、これら30店舗については上乗せしている金額について罰金徴収と追徴課税を行う。

6.適正価格より51~70%高く販売したショッピングセンターは22店あり、4名の責任者(ミョー・タン氏(ワン・ストップ・マート)、ピョー・ミン・チョー氏(シティマート・ホールディング)、マウント・マウン・ウィン氏(セイン・ゲーハー)、笠松氏(AEONオレンジ・ディレクター))を生活必需品・サービス法第5条に基づき処罰する。

日本人の逮捕へ

今回の問題は、日本人が逮捕されてしまったことです、、、

これまで、経済問題について、外国人を逮捕するという事象はありませんでした!

過去の逮捕事例

直近の事例では、日本人の久保田徹さんが、2022年7月30日にヤンゴンで、軍政に対する抗議デモを撮影していた時に逮捕されました。

罪状は、8月5日開かれた軍事法廷で扇動罪などで7年、12日に出入国管理法違反の罪で3年の合計10年の禁固刑判決が言い渡されました。

そして、2022年11月17日に、軍政が6,000人近くを対象にした大規模な恩赦を実施したタイミングで、オーストラリア人の経済学者ショーン・ターネル、イギリスの元駐ミャンマー大使のビッキー・ボウマン、ミャンマー出身でアメリカ国籍のチョウ・テーウーと共に、釈放されました。

2024年は新たなPhaseへ

2022年7月30日以来、日本人の逮捕はありませんでしたが、2024年6月30日に日本人が逮捕されるに至りました、、、

イオンや日本企業や日本人に一切の非はありません!!!

総司令官が、米の価格が高いと、たまたま聞いて、すぐに取締りを指示した結果、たまたま、日本人が逮捕・拘束されてしまったのが真相です。

軍政は、適正価格に従わなかったと主張していますが、肝心の米の適正価格は周知されていないため、後付けの理由です。つまり、「無実の罪」です。

それ以上に、多くのミャンマー人経営者や従業員が逮捕・拘束されています。

2023年8月にも、物価高騰を問題視した軍政が、米と食用油などの価格統制を実施し、食用油の業界団体幹部を見せしめ的に逮捕しました。

その時には、外国人は逮捕されませんでした。

経済問題から外国人に手を出したことは、今まで無かった事です。一線を越えてしまったと言えます。

「2024年、経済問題は、外国人の人権問題に波及し、Red Lineを超えてしまった」と言えます。

まともに考えれば、米業者や米農家を取り締まれば、販売をする意欲が著しく減退し、結果として販売量は減少し、価格は上昇してしまいます。

しかし、頭の悪い軍政は、そんな事は考えません。

司令官からの指示は絶対→頑張って現場の経営者や従業員を逮捕・拘束しまくる→Good Performanceを示せる

2021年2月のクーデターで、ミャンマーは、この先、2度と国際舞台に復帰することがないぐらいのダメージを受けました。

2022年、23年には、まだミャンマーが良い方向に転じる期待をしていた人が多かったですが、今回の事案をもって、その可能性は完全に潰えた時言えます。

ミャンマーの将来の事は、一切Positiveに考えない方がいいと言えます!

(自分を全知全能の神だと信ずる)バカ殿の支配する国の将来が予想できますでしょうか?

破滅への道を歩み続けるのか、走り続けるのか、予想しても意味がありません!!!

ドラゴンボールでは、悟空が必ず勝ちます。

しかし、実際の世の中では、1つの国が邪悪の世界のザマスに支配されてしまう可能性だってあります。

ミャンマーは、悪のザマスに支配されてしまった国だと思って諦めるしかない状況です。

哀しいことですが、これがミャンマーの現実です…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?