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ポケモン図鑑を参考にして本棚を整理した

買いすぎて増え過ぎた本を処分するのは難しい。でもスペースには制約があるわけで、いつかは減らさざるを得ない。そんな時、ポケモン図鑑(初代)の構成を参考にしたら、だいぶスッキリできたという話です。

タイプのバランスを取る

草タイプだけ、炎タイプだけ、水タイプだけではポケモンは成り立たない。タイプごとのポケモンの数はバランスが取れている方が良い。SF小説(フィクション)が好きだったら、同じくらいのボリュームで人類学・歴史学(ノンフィクション)を置いてみると本棚が安定する。

ゴーストタイプやドラゴンタイプ

タイプに偏りはあっていい。でも、少ないけど存在感のあるタイプがあると良い。たとえば、ほとんどイヤミスとかシリアスな作品は読まないけど、その中でも面白かった赤松利一さんの「藻屑蟹」は置いておくことにする。読後感は身の毛もよだつというのが相応しくて、気持ちが明るくなるわけではない。でも大切なことが書いてある。ゴーストタイプやドラゴンタイプは数が少ないからこそ、とびきりアクの強いキャラクターを選んでみてもいい。


複合タイプは貴重

草タイプかつ虫タイプのパラセクトは面白かった(キノコのほうし強かった)「バッタを倒しにアフリカへ」は、アフリカで害虫として猛威を振るうサバクトビバッタとの戦いを描く「自然ノンフィクション」であり、同時に日本の研究者がなかなか食っていけない現状を炙り出した「お仕事ノンフィクション」でもある。タイプを掛け合わせた本があると、結果的に単タイプの意味合いも濃くなる。


進化前と最終進化どっちだ

文庫本には名作や古典が多い。「ファスト&スロー」は行動経済学のフシギダネ的な存在だと思う。ここから様々な本が進化していくわけだけど、やっぱりタネとなる存在には残っていてほしい。反対に、現時点で最終進化と思える本を置いておく判断もある。「暴力と不平等の人類史」は「平和は不平等を拡大し、戦争は平等をもたらす」というショッキングな内容で、過去の膨大な先行研究を下敷きにしている。残念ながら、中間進化の本まで残すと場所が足りない。進化前か最終進化か、絞ることで省スペースになる。


大型ポケモンがいてもいい

単行本は大きい。省スペースだけを考えれば新書と文庫に限るのが合理的だけれど、ポケモンにもイワークやサイドンがいるじゃないか? だから、大型ポケモンがいてもいい。

単独ポケモンも大事

ポケモン最大の魅力は「進化」。一方でモンジャラやカビゴンみたいな単独で完成したポケモンも大事。「須賀敦子の旅路」は、自分の興味ある分野にはどうにも区切れない一冊だった。でも、異国で日々を大切に生きた須賀さんの存在、その生涯を辿る大竹昭子さんの丁寧な筆致は、すごく印象に残っている。簡単に腑分けできない一冊は、棚にいてもらったほうがいい。(ちなみに、モンジャラもカビゴンも、最近のポケモンでは進化したり進化前がいたりする。未来には進化が生まれるかもしれない)


図鑑化すると本がもっと好きになる

どの本も大事なので、処分するのは忍びない。でも本棚を整理すると頭の中も整理される。この本は自分にとってカイリューだ。草タイプは好きだけど、泣く泣くフシギバナに絞ろう。それを繰り返すと、「自分にとってこの本はどんな存在か」「なぜ好きなのか」が明確になった気がします。

一度捕まえたポケモンは図鑑に登録され、手放したとしても消えることはない。本を読むことも同じなのかもしれないし、同じであってほしいと思います。

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