科学者はSFをどう読むか?ーミニ読書感想『AIを生んだ100のSF』(大澤博隆さん監修)
早川書房の新書レーベル・ハヤカワ新書から出た『AIを生んだ100のSF』(大澤博隆さん監修、2024年4月25日初版発行)が面白かったです。さまざまな分野の科学者が、SF作品をどう読んでいるかが分かる本です。
流体力学が専門の保江かな子さんは、SFの中に「自分が生きるかもしれない未来」を垣間見る。
SFをあり得ない未来としてではなく、現在と地続きにあり得る未来としてみる。そして「その未来に生きたい」と考える人の価値観を想像する。
気になっていたけど、読んでいないSFの名著があれば、その作品の魅力を知るきっかけにもなります。たとえば松原仁さんは『ソラリス』について、こんな風に語っている。
知能というものを人間ありきで考えてはいけない。この発想を「そうか!」とエウレカするのが、松原さんの科学者の素養な気もしますよね。自分なら「こんな形の人間以外の知能はあり得ないだろ」と思ってしまいそうな。
このSFが、このAI=科学技術を生んだ、という端的・線的な話より、一段メタの影響を知ることができる。そして、科学者の「頭の中」を覗ける本になっていました。
インタビュー形式で、一本一本は非常に短いので、読みやすい一冊でもあります。
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