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運命は誰にでもある

この物語はなんて面白いんだろう。
短編集のような一つの物語のような。
いろんなところにある仕掛けがもう一度読んで確かめたくなる。

始まれば終わる。
難しいのは続けること。
どこが最終地点かわからないまま、変わりながら、
だけど変わらないでただ続けること。

 
 
物語はレイとブーの話から始まる。
二人の何とも言えない距離感、そして相手に対して本音を言えず、
時が過ぎていく。
互いにかけがえのない存在なのに、拒絶されるのが怖くて言えない。
もしかしたらかけがえのない存在だと思っているのは
自分だけかもしれない。
だから本心は言えない。
自分が傷つかないために。
 
「堂々としていればいいんだ。俺はレイの気高い生命力を知っているよ」
 
 
好きな人に言われた誉め言葉はどんな意味だとしてもとても特別だ。
不思議と自分はそうなんだと思えてきてしまう。
今まで怖くて、自信がなくて、できなかったこともできてしまう。
ささいな愛しい人の一言で小さな一歩を踏み出せる。
そして、大きな自信になっていく。
なんて特別なんだろう。
 
 
そして、描かれたエスキースから次の物語へ。
いくつもの主人公を経て、物語は構成されていく。
額縁職人や漫画家。
そしてエピローグですべてがつながり、心にすとんと収まっていく。
 
「俺は君の気高い生命力を知ってるよ、レイ」
 
そして今度は離さないように、自分の手を重ねる。
私の大好きな、スクエアなブーの親指に。
 
 
私はハッピーエンドが好きだ。
心から主人公がすとんと落ち着きのいいところに収まる物語が好きだ。
読んだ後の清々しさはなんと表現したらいいのか。
驚き、わくわく、納得、ドキドキ。
恋愛だけではない。
すべて人生は縁で出来ているのだと思う。
なにがきっかけで誰と出会って、自分がどう行動して、
何かが変わっていく。
怖くても、傷ついても、私は表現していきたい。
あなたのために信じたい。
あなただから信じたい。
私は知っているから。
あなたの中にある力強い生命力を。
そう伝えたい。
きっとみんなが持っているその人にしかないものを誰かが知っていて、
誰かが教えてくれる。
人生は必然で運命で。
すべての人生は運命に彩られていて、特別なもの。
あぁ、なんて面白いんだろう。
運命は。
 
 
 
Written by なおこ
アラフォー女 


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