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自分の中の愛の形

愛とはいろんな形、いろんな関係、いろんな感情が存在する。
この短編集はどこか非現実で現実だ。

私の心に一番残ったお話は「冬の一等星」

映子と文蔵の物語である。
変わっていると言われる映子とそれを肯定、認めてあげるように
話をする文蔵。

私は大人になるまでも、大人になってからも
星空を探すような歯がゆさを何度も味わった。

 
そんなとき私は、文蔵を見た夜空を思い出す。
 
全天の星が掌に収まったかのように、すべてが伝わりあった瞬間を。
 
あの時の感覚が残っているかぎり、信じようと思える。
 
伝わることはたしかにある、と。
 
どこか普通と呼ばれる感覚と違う感情を子供ながらに戸惑っている映子に
信じることの愛の形を教えてくれた大切なきっかけをくれた人が
文蔵だったのだ。
 
人にとってのきっかけというのは、本当にそれぞれだ。
そして、それを教えてくれる、なぜか通じる人、興味を持つ人、気になる人というにも人それぞれだ。
自分の中での困難、戸惑いを解決に導いてくれるきっかけをくれる人は
かけがえのない人になる。
ただその人がそばにいるとは限らない。
そばに居なくて、信じることはできる。
そんな愛の形。

信じる?と文蔵は聞いた。
何度聞かれても、私は信じると答えるだろう。
それを教えてくれたのは文蔵だ。
 
その想いが自分を守ってくれるものになる。
それはとても大切なことだ。
自分がわかんなくなる時、信じられなくなる時、
そんな時守ってくれるものがあることは幸せな愛の形だ。
 
ほかにもこの短編集では、伝えられない愛の形や裏切らない形の愛や愛するひとの幸せと願うことと呪うことが同じ強さで存在する愛の形が表現されている。
 
 
幸と不幸は渾然一体となって、いつでも物狂おしいまでに胸に渦巻いているということだけだった。
 
どんな愛の形も感情もその人だけのものである。
それがどんな形であれ、その愛が、感情がどのような言葉で紡がれていくのか。
私は知りたい。
そして、伝えていきたい。
それは素晴らしいことなのだと。
愛があるから苦しくも、悲しくも、楽しくも、愛おしくもある。
そんないろんな愛の形を感じられる1冊。
 
 
Written by なおこ
アラフォー女 


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