【読書感想文】かがみの孤城(2017)
『アルジェルノンに花束を』がオススメされていた某チューブの動画で、これもオススメされていたので読んでみた
辻村深月による『かがみの孤城』、2017年の作品
私の日本の記憶は平成初期で止まったままの浦島太郎状態なので、全然知らない作家の方で、昭和脳の私にとっても楽しめる作品なのかは自信がないまま博打を打ったのですが
一気読みしました😂素晴らしかった✨読んで本当によかった🫶
私は某国の公立 secondary school で学校に登校できない生徒にリモートでも授業に参加したり代替のプラットフォームを利用して学習を継続していくのをサポートする仕事をしています
私が担当する生徒たちに読んでもらいたい
本を読むのが面倒ならば漫画版もあるし、もうすぐアニメの映像版も出るので、それでもいいから見てもらいたい(まあ、本当は細かい描写を味わってもらいたいけれど)
著者はご自身はいじめや不登校などの経験はないそうですが、人の心がよくお分かりになっていて、うまく描写されていると思います
やっている本人にはどうってことないことでも、やられた側からしたら生きるか死ぬかくらいの精神的外傷になること
薄っぺらい「優等生」「人気者」の生徒の本性がまるでわかっていない学校の先生
一般的な中学生の「かっこいい」という基準って、まあ、どーでもいいくだらないことなのに、そのときはほとんど全員がその価値観に必死で、そこに溶け込めないと絶望的なこと
子どものことが心配でも、行き先がよく見えない親はあせったり、思い通りにいかないときに失望感を表に出してしまったりして、完璧な親などいないこと
その一方で、自分の子どもなのになぜそこまで無関心で愛情のかけらもない存在でいられるのか、という親もいること(←私の毒親がそうだった)
ミステリー小説なのですが、深い
こういう作品を読むと、私が中学生のときは、本当に孤立無援だったのだなあとつくづく思う
あのときに誰かに救ってもらいたかった
救ってもらえなくてだいぶ遠回りをしたけれど、今はこっち側の人間になれた
私はよくがんばった
でも、生きるか死ぬかくらいの切羽詰まった人に向かって、私は実は「生きろ」とは言えない
他人様に当たり前に「生きろ」と言える人は、自分は生まれたときからこっち側の人間だからそう言うのだろうけれど、他人に生きる選択をさせて、最終的にその人がこっち側の人間になれる保証はない
私はこういうのはむしろ無責任だと思う
私はそういう立場の人には、あなたは十分がんばってきたし、もうがんばらなくていいし、がんばらないことに罪悪感を持つ必要はないから、生きるのをやめるという選択があってもいいと思っている
少なくとも、生きるのをやめて楽になりたいという気持ちはわかる
でも、相手が未成年で私が責任を取る覚悟があるのなら、一度は生きる選択をしてみないかと言うだろう