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「明日の神話と太陽の塔」岡本太郎記念館 dokug(ur)a論的美術論 第三回

芸術のことも他のことも何もよく知らない蝉倦俊歩(せみあきしゅんぽ)が、かすかでも何かを知るために美術に直面しに行く、特にためにならないエッセイ。

「明日の神話と太陽の塔」岡本太郎記念館


開催期間: 2023年11月29日(水)〜2024年3月10日(日)

会場までの道(飛ばしてもよい雑感)

ワタリウム美術館で開催される「パーフェクト・カモフラージュ展」に行こうと思い家を出る。外苑前駅から歩いて美術館に向かう。高級感のある落ち着いた街という雰囲気で街全体が洗練されているように感じた。集う人とお金の力の集大成なのかもしれない。

歩くこと10分でワタリウム美術館に到着。道路挟んで向かいの歩道沿いにはロイス・ワインバーガーの「組織学の断面」が飾られており、美術館に入る前から美術が街にカモフラージュされており気分が上がる。

美術館の中に一歩足を踏み入れた途端、何かおかしいことに気付く。なんと「パーフェクト・カモフラージュ展」がまだ開催されていないことが判明。日付を見間違えていたのだ。
建物の一階がお洒落なアート系雑貨屋で、地下が本屋・カフェだったので、とりあえず見学しながら次の予定を検討する。

比較的近くに(そう近くもないが)、岡本太郎記念館があることが分かったので、天気もいいし散歩がてら向かうことに決めた。

表参道を通った。「ハレ」の街というような雰囲気で、開けた道、建物、道行く人々のどれもが祝福されているように見えた。ランチセットが3800~8800円の店があったりして度肝を抜かれながらぶらぶらと歩く。

途中で「Sterling Ruby+」という人?団体?の展示をやっていたのでちょっと覗き、キュレーターというのは詩人の仕事なのだと思ったり、展の説明の張られている場所が死角になっていて見にくいなと思ったりした。

表参道駅からもうしばらく歩くと、少し細い道の片隅にひっそりと岡本太郎記念館が建っていた。かつてのアトリエを元にした建物であるためか、少し小さく感じたものだ。

常設展と「明日の神話と太陽の塔」

岡本太郎記念館は、一階、二階、庭とおおよそ三つのスペースに分かれていた。
一階にはミュージアムショップ、応接間とアトリエがあり、二階では企画展の展示、庭には岡本太郎の造形物の模造品が所狭しと置かれていた。

その日に開催されていた企画展は「明日の神話と太陽の塔」というもので、同時期に考案された、二つの作品の成立過程をデッサンや模型などを通して見ていくというようなものだった。

渋谷駅に飾られている「明日の神話」のデッサンが飾られていたが、元となる具体的なものがない、言わばイメージを絵に表していくという行為がどのようにして行っているのかを不思議に感じた。

また、岡本太郎氏のシンプルで力強い絵からは自信のようなものを感じ、「芸術家」になるにはゆるぎない自信、自己愛のようなものが必要なのかもしれないと思った。

一番印象的であったのはアトリエで、おそらく岡本太郎生前のほぼそのままの形が展示されているものだった
立て掛けられているたくさんのキャンバスや、上方の中二階の置かれている本棚など、ここで表現と格闘していたのだろうなという雰囲気がまざまざと感じられた。
あるいは岡本太郎氏のかっこつけの部分だったのかもしれないなとも思った。応接間のすぐ隣にアトリエがあるし。

日の終わり

庭に出て造形物を何となく見ていたら、おじさんに話しかけられた。
何となく話が終わらず、表参道駅前のスターバックスで小一時間ほど話をした。面白い経歴の方で哲学なども興味があり、話題が豊富な方だった。
私も経験豊富で魅力的な人になってみたいものだ。

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