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「もういいんです」その言葉の真の意味とは?【満願】

それぞれの心にある真の思いとは?

【本の基本情報】
〇ジャンル:小説
〇本の種類:文庫本
〇著者名:米澤 穂信
〇出版社:新潮文庫

■「満願」のあらすじ

「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが・・・。
鮮やかな幕切れに真の動機が浮上する表題作をはじめ、恋人との復縁を望む主人公が訪れる「死人宿」、美しき中学生姉妹による官能と戦慄の「柘榴」、ビジネスマンが最悪の状況に直面する息詰まる傑作「万灯」他、「夜響」「関守」の全六編を収録。
史上初めての三冠を達成したミステリー短編集の金字塔。
山本周五郎賞受賞。
※裏表紙より引用

■それぞれにそれぞれの思いが秘められる

本書は、六編の短編集になっています。
短編集で、どの編に力を入れているのかな、どれがメインの話なのかなと思いながら読み進めていました。

しかし、それぞれの話が実によく出来ていて、最後までじっくりと考えさせられて、その主人公の真の思いが最後までジワジワと明らかにされていく内容に引き込まれました。

どの話にも、違った背景があり、登場する人物の雰囲気なども
実にわかりやすく描かれていて、その風景や人物をしっかりと頭の中に描きながら、最後にわかるその真実に、最後まで一気に読みたくなってしまいます。

予想もできないような、登場人物の真の思いや動機が、最後まで面白いと思わせてくれます。

■「満願」を読んで!まとめ

本書は、六編を収録した短編集になっています。

〇夜響
〇死人宿
〇柘榴
〇万灯
〇関守
〇満願

短編集でよく感じることなのですが、どれか1作がメインで、それ以外はさらっと流して読むくらいのボリュームで構成されているなということがあります。
しかし、本書はそう感じることなく、どの話もしっかり読んで楽しめる作品で構成されていると感じました。

どの話も、それぞれに違った背景や人物像が設定されていて、1話読み終わって次に行く場合でも飽きさせないものでした。

どの話も、前半では予想できないような結末、主人公の思わぬ動機や真の思いが結末に向けてジワジワと明らかになっていく。
この話はこんな結末かな、なんて予想しながら読んでいましたが、最後までその予想は外されていくくらいでした。

特に最後の「満願」については、その主人公の女の真の思い、動機が分かった時に、その意外性に思わずうなってしまいました。
その動機が分かってから、再度読み直すと、その動機が分かるような部分が所々に散りばめられており、また納得してしまうような内容でした。

収録されているすべてのミステリが実に最高傑作と感じることができる作品です。

山本周五郎賞受賞作品ということで、納得できる内容でした。

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