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被害者では無い

私は、私自身が暴力の被害者真っ最中、

私は、私自身が暴力の被害者であることに薄々気がついていた。

私は、私自身が暴力の被害者であることを認めたく無かった。


私は、私自身が暴力の被害者であったことを認めた時、

私は、”暴力の被害者”という言葉に怯えた。

私は、何か他の言い回しで、そのことを表現しようと必死になった。

私は、その言葉から逃げるための努力をした。

それは、私がまだ暴力の被害者の場所に立ち止まっていたからだ。


私が、「私は暴力の被害者だ」と、自ら発することができた時、それまで私の身体を覆い尽くしていた分厚く幾層にも重なり合った樹皮にほんの少し亀裂が入った。

私が、自分の立場を認めた時、私をサポートしてくれる人たちは、私を覆っていた樹皮をその亀裂から剥がし始めた。

この時を待っていたとばかりに。

私自身が、最初の亀裂を起こさなければ、他の誰も私の固く閉ざした樹皮を剥ぎ取ることはできなかった。

その後も、何度となく”私は被害者”と口にする度に、私を覆い尽くしていたその樹皮は、一見、過去と変わらないように見えたけれど、その実、すでに剥ぎ取られていたたくさんの古い樹皮はドラム缶のゴミ箱で、焚き火にされるのを待っていた。