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Starfieldレビュー(ネタバレ)物語上の仕掛けをめっちゃスルーしていた話

注意!
この記事には、「Starfield」のエンディングに関するネタバレが含まれています。
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メインシナリオへの不満

ベセスダの超大作FPSゲーム「Starfield」が、9月6日に発売してから、はや一ヶ月。
 
 
自分も、寝る暇を惜しんではゲームに没頭し、先日ようやくメインシナリオをクリアしたのだが、その結末には納得がいかなかった。何しろ、主人公が「スターボーン」という異形の者になってしまうのである。

これがスターボーン。なんじゃこりゃ(困惑)

しかも、一度スターボーンになってしまったら、見た目を変えることは出来ない。メインシナリオクリア後は、永遠にこの人造人間のような姿でプレイしなければならないという地獄。
せっかく今まで築いてきた主人公への愛着は大暴落である。
 
 
「こんなメインシナリオ、納得できない」
「なんでこれがメインシナリオなんだろう」

とずっと考えていた時に、IGNがこのような記事を公開した。

この記事を読んで、なるほど、と腑に落ちた。
 
 

「仲間の死」という『演出』



確かに、『死んでしまった仲間を別の宇宙で助けられるかもしれない』というのは、プレイヤーにとっては魅力的だろう。別の宇宙へ行く動機づけには十分なり得る。
 
 
また、これは攻略サイトを読んで知った情報なのだが、劇中で死ぬキャラクターは、どうも一番好感度が高い仲間が死ぬように調整されているようなのだ。

『好感度が高い』と端的に言ってもピンとこないだろうが、つまり、「主人公にとって、一番行動を共にし、一番愛着のある、一番大切な人」が死ぬように設定されているのだ。
 
 
 
そして、大切な人がいなくなり、失意に沈んでいるプレイヤーに対して、「Starfield」のストーリーは魅力的な提案をしてくる。「別の宇宙で死んだ仲間に会う」というものである。
言い換えれば、「別の宇宙に行くことで、死んだ仲間を救う」とも言える。
 
 
 
過去のSF作品を振り返れば、時代や時空を超えて大切な人を救おうとするストーリーは多い。古典で言えば、時をかける少女。近年で言えば、まどかマギカや、シュタインズ・ゲート、輪るピングドラム、サマータイムレンダなどもその類の作品である。
 
 
 
そして、このゲームには更に感動を引き立てるための演出として、「自己犠牲」の要素が含まれている。それは主人公の外観だ。
自分の命と引換えにして仲間を救ったり、人間ではない姿に成り果ててまで何かを成し遂げようとする物語に、涙を流す人は多いはずだ。
自分を犠牲にする行為は、尊いし、感動を生む。
 
 
本作はそういった点では、目的を達成するためにタイムスリップやタイムリープを繰り返す、比較的オーソドックスなSFスタイルの物語である。
そしてそれを、ニューゲームプラス(俗に言う『強くてニューゲーム』)というゲームプレイのシステムと融合させ、『終わりのない物語』へと昇華させたと言う点では、過去に類を見ないほど画期的なゲームである。
 
 
 
しかし。
しかし、である。
 
ここに一つ、致命的な欠点がある。
 
システムのパラメータ上、一番好感度が高い仲間(=死ぬキャラクター)が、プレイヤーにとって一番好きな仲間とは限らないのである。

 
 
「一番行動を共にした仲間が、プレイヤーにとっても一番思い入れがあるだろう」というある程度の予測の元、制作者はこの演出を仕込んだのだろうが、インタラクティブなゲームプレイでは、物事はそう単純には行かない。
 
 
 
ちなみに、自分がプレイしたときに死んだ仲間はバレットだった。
 

仲間との思い出


バレットは主人公がベクテラでアーティファクトを手にした後に出会う、最初のコンステレーションのメンバーだ。主人公をコンステレーションに勧誘し、壮大な冒険の世界へ連れ出すという重要な役割を持つ。
物語への案内役を務めたバレットに、親しみを感じたプレイヤーも多いだろう。
 
 
しかし、出会ってからそうそうにバレットとは別れてしまう。バレットから案内役を引き継いだロボットのヴァスコとしばらく行動を共にしたあと、コンステレーションに合流。
そして、コンステレーションに合流してからの自分は、サラをパートナーとして使っていた。
 

発売前のゲームの紹介映像では、サラを連想させる女性の声でナレーションが入っていたので、サラと行動を共にすることはストーリーの流れとして当然のように感じられた。また、サラとのコンビが案外しっくり来たので、しばらくはサラをパートナーとして使っていた。


だがそれも一瞬。もう少し自由にプレイできるようになってからは、容姿が比較的かわいいアンドレヤちゃんをパートナーとして使っていた。

これがアンドレヤちゃん。SkyrimやFallout4によってベセスダゲーム上の美的感覚が狂った自分にとっては十分すぎるほどかわいいのである。


(さらにクッソ余談だが、Skyrimでは美人化MODを入れて女性のフォロワーを使っていた。男性はほぼ使わなかった。やっぱかわいい女の子のほうがええやん!(ノンケ))
 
 
 
さて、アンドレヤちゃんとのいちゃコラ宇宙道中を楽しんでいた自分であったが、そんな時にとあるシナリオが発生。
 
アンドレヤが強制的にパートナーから外れ、代わりにバレットがパートナーとなった。
 
そして、ここからが問題の始まりである。
 
なんと、シナリオが終わるまで、バレットを外せなくなってしまったのだ。
 

 
 
さらに厄介なことに、そのシナリオでは、宇宙船でバトルをして、勝負に勝たなければならない場面があった。
しかし、自分はシナリオを進めることを優先していたため、宇宙船の性能をアップグレードしていなかった。(弾薬や回復アイテムを買うのに必死で、宇宙船に使うクレジットが全くと言っていいほどなかった。)
さらにスキルポイントも宇宙船のスキルではなく、他のスキルを上げることに使ってしまっていた。
 
そのため、肝心の宇宙船のバトルでは、全く勝てない状態が続く。
このままではシナリオを進めることが出来ない。
 
 
そこで、シナリオを進めるのを一旦諦め、レベル上げや金稼ぎに勤しむことにした。
 
そして、その間はサラやアンドレヤではなく、男性キャラクターのバレットと共に行動をしなければならなくなった。
 
 
ちなみにストーリーの途中でバレットはホモであるということが発覚する。

バレット:あの腐った戦争で夫を失った。他にも友達を数人…

話の途中で突然「夫」の話を始めるバレットくん。あっ・・・(察し)

おそらく、今回のポリコレ要素はこれなのだろう。

そんなわけで、しばらくの間、ホモのバレットと、宇宙の旅を続ける羽目になってしまった。
 
そして、その結果がこの有様である。

バレット:やあ。「今すぐバレットの心地よい声が聞きたい」と思う時はないか? あるなら、願望のままにしておかないで、話をしに来てくれ。いいね?


[誘惑]冒険と謎は大好きだけど、ちょっとしたロマンスもいい


[誘惑]ストレス解消には上質な長いマッサージが必要だな

ドン引きである。
 
なんとバレットくん、会話をするたびにノンケの主人公を同性愛の世界へ誘おうとする勘違いホモ野郎と化してしまったのだ。
 
また、ここに来てゲームシステムくん(選択肢)も、主人公をあちらの世界へと連れて行くための援護射撃を欠かさない。なんだよ「誘惑」って。なんだよ「上質な長いマッサージ」って。間違って押したが最後、勘違いしたホモの餌食になってしまう。俺はホモじゃない!(必死)
はっきり言って、勘違いしたホモほど怖いものはない。「違うんですあなたのことが好きなわけではなくてゲームのシナリオの都合上外せなくなってたまたま一緒にいるだけなんです」なんて、ゲームの中のホモに伝わるわけがない。
 
最初は笑っていたが、バレットと行動を共にするうちに私の笑顔は消え、最終的には荷物を持たせるためにバレットに話しかけることさえ煩わしくなってしまった。
 
 
 
そんなわけで、バレットと行動を共にする時間はどんどん増え、結果的にバレットの好感度は、全キャラクターの中でもっとも上昇してしまっていた。
 
そしてそれとは逆に、プレイヤーとしての私は、バレットのことが仲間の中で一番嫌いになっていた。
 


コンステレーションへの襲撃


 
そんな中、ある事件が起きる。
スターボーンによる、コンステレーションへの襲撃である。

 
そこでバレットは殺されてしまう。
 
 
本来なら一番好きな仲間が死んで、大きなショックを受けるシーンだ。海外のプレイヤーなら「Oh,shit…」とか「Oh my god…」と呟いて、悲しみの表情を浮かべる場面だろう。
しかし、ここで、自分は思わず「やったぜ。」と呟いてしまった。世界よ、これが日本だ。(国際問題)

何しろ、一番嫌いなキャラが死んでくれたのだ。これほど嬉しいことはない。

(キャプション)バレットが死ぬシーン。私はここで「やったぜ。」と叫びながらガッツポーズをした


バレットの葬儀中も、不謹慎だが私はずっとにこやかな笑顔だった。これでやっとバレットの執拗なホモアピールから逃れることが出来る。(ぶっちゃけ会話中のアピールがリアルだったのでマジで怖かった)

やっと安心して旅を続けることが出来る。

私は安堵していた。
 



しかし、そう思ったのもつかの間。

ホモは二度刺す。
 

別の世界へ行く理由


 
バレットが死ぬ少し前の物語中盤から、ハンターとエミッサリーという、二人のスターボーンの争いが描かれ始める。
最初はあまり関わりのなかった主人公たちコンステレーションのメンバーも、徐々にその争いに巻き込まれることになる。
 
 
そして、エミッサリーの正体はバレットだった。
 
 
厳密に言えば、別の宇宙のバレットなので、死んだバレットは別物なのだが、私には、死んだホモのバレットが、私を犯すために生き返ったとしか思えなかった。
何という悪夢。
 
 
ちなみに、この時エミッサリーの正体になるのは、死んだキャラクターなので、バレット固定というわけではないのだが、初見プレイの自分はそんなことは知ったこっちゃない。
 
 
そのしつこさはまるでクラウドを追いかけて大乱闘スマッシュブラザーズの世界に転生したセフィロス。
 
またバレットに尻穴を狙われる日々が始まるのかと思うと、ほんとにぞっとした。(実際は狙われなかったが)
 
 
 
その後の展開は割愛するが、最終的に主人公は別の宇宙へ向かうか現在の世界に留まるかの選択を迫られる。
 
そして、そこで死んだ仲間である「バレット」についても触れられる。
 
本来ならここで、プレイヤーは失われた仲間のことに思いを馳せるだろう。そして、「よし、あいつに会いに行くぞ!」(または「あいつを助けに行くぞ!」)という気概のもと、別の宇宙へと旅立つはずだ。
 
 
しかし、私の目の前に浮かび上がってくる思い出といえば、バレットがホモアピールをしてくる場面ばかり。
淫夢厨的に言えば「思 い 出 こ れ だ け」「ロクな思い出がねぇ」といったところだろう。バレットとの思い出には、自分を新たな冒険へ突き動かすものなど、何一つない。
物語がいくら「別の宇宙へ行けば仲間を救えるよ!」と提示してきても、「いや、別にいいっす(棒読み)」という感じ。
 

そう。
結果的に自分のゲームプレイでは、自分が別の宇宙へ行く理由が無くなってしまったのである。
 
 
 
 
 

こういうプレイヤー、多いはず(推測)


 
そしてこれは憶測なのだが、自分と同じように、対して思い入れのない仲間が死ぬプレイヤーが、実は多いのではないだろうか。
 
というのも、このゲーム、強制的に今組んでいるパートナーとは別のパートナーを組まされるミッションが多い。
 
しかもミッションが完了するまでは、パートナーの関係を解消出来ない。
 
 
結果的に、どうでもいい仲間の好感度が上昇してしまい、死ぬのがそのキャラクターになってしまう。そのため、本来物語の転換点となるはずの『大切な仲間の死』が、割とどうでもいいイベントになってしまうのである。

この展開になってしまうプレイヤーは、私以外にも、きっと多いはずだ。(推測)
 
 


まとめ~そんなゲームプレイさえも「自由」~


 
本作で制作者が仕掛けた、ストーリーテーリング上の仕掛けと、自分のゲームプレイの間には、大きな「ずれ」がある。
だが、それもStarfieldの自由なプレイスタイルのひとつなのだ。(適当)
 
 
 
ちなみに、このゲームにはコンソールコマンドというものが公式に用意されていて、ゲームを進めなくてもアイテムを入手したり、レベルを上げたりすることが出来る。(実績は解除できなくなる)
 

自分も、メインシナリオの最後のストーリーで、宇宙船が強すぎて倒せなかったので、「もういいや」という諦めの元、コンソールコマンドで強化して、無事メインシナリオをクリアした。
 
 
普通ならそういうプレイはチート扱いされるので忌避されるが、コンソールコマンドはメーカーが公式に用意しているものなので、使っても何の問題もない。さすがにコンソールコマンドを使っているのに自力でクリアしたと吹聴するのは良くないが、『敵が強すぎるのでコンソールコマンドを使って強化した』というのは、このゲームでは想定の範囲内なのである。
 
 
メーカーは、ありとあらゆる自由なプレイ方法を認めている。コンソールコマンドを使ってゲームを遊びやすくするのも、メーカーが認めるプレイ方法の一つだ。
 
そして同様に、プレイヤーが制作者の意図したプレイをしないというのも、このゲームでは『王道』のプレイスタイルなのだ。
 
本当は仲間が死んで悲しんでほしいのに、喜んでしまうのも、自由なのである。

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