マガジンのカバー画像

土居豊の文芸批評

20
土居豊の文芸批評 作家・土居豊が「文芸批評」として各種ジャンルの作品を批評します。 不定期に掲載。 マガジンとしてまとめる記事は、有料記事です。同じテーマの批評をまとめ読みがで…
作家・土居豊が「文芸批評」として各種ジャンルの作品を批評します。 同じテーマの批評をまとめ読みがで…
¥500
運営しているクリエイター

記事一覧

固定された記事

土居豊の文芸批評 特別編《ヘルマン・ヘッセの『荒野の狼』と、マルチバース小説、そして自作のことなど》

土居豊の文芸批評 特別編 《ヘルマン・ヘッセの『荒野の狼』と、マルチバース小説、そして自作のことなど》 (1)ヘルマン・ヘッセの『荒野の狼』と自作の思い出 ヘルマン・ヘッセの小説を、今20代以上の人の多くは、一度は読んだはずだ。なぜなら、中学校の国語の教科書に、かつては定番教材としてヘッセ「少年の日の思い出」が載っていたからだ。 ※参考 教育出版 https://www.kyoiku-shuppan.co.jp/textbook/chuu/kokugo/document

¥0〜
割引あり

土居豊の文芸批評 映画編ノーラン監督・アカデミー賞作品『オッペンハイマー』〜男の嫉妬、やっかみ、恨みのこわさ

土居豊の文芸批評 映画編 ノーラン監督・アカデミー賞作品『オッペンハイマー』〜男の嫉妬、やっかみ、恨みのこわさ (1)『オッペンハイマー』は「逆・アメリカンドリーム」映画 映画『オッペンハイマー』で、ノーラン監督はアカデミー賞を総なめにした。必見の映画ではあるが、相当体力と気力が必要なのも確かで、みんなにおすすめするのはちょっとためらう。また、科学的・歴史的予備知識は、たくさんあればあった方が楽しめることも、間違いない。20世紀の科学史や、第二次大戦史に興味があれば、絶対

¥0〜
割引あり

(祝!アカデミー賞) 土居豊の文芸批評・アニメ編 「映画『君たちはどう生きるか』評 〜これは宮崎アニメの集大成というより米林監督作品との和解か?」

(祝!アカデミー賞) 土居豊の文芸批評・アニメ編 「映画『君たちはどう生きるか』評 〜これは宮崎アニメの集大成というより米林監督作品との和解か?」

¥0〜
割引あり

土居豊の文芸批評・アニメ編 映画評『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』

土居豊の文芸批評・アニメ編 映画評『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』 (1)ガンダムの半世紀近い歴史を、背負って立つ心意気 本作は、前にも書いたように、「ガンダムSEED」と「ガンダムSEEDデスティニー」の両方を観てきた人は絶対に観るべき映画だ。テレビ全100話の長いシリーズの、それぞれの愛の形を描き分けてみせた最終回だった。 主役の2人の男女、キラとラクスの全裸?のキスで幕を閉じるラストシーンは、全編のテーマを見事に集約していた。 本作の見どころは、それぞれ

¥0〜
割引あり

土居豊の文芸批評 アニメ編新海誠・震災3部作を観る〜『君の名は。』『天気の子』『すずめの戸締まり』

土居豊の文芸批評 アニメ編 新海誠・震災3部作を観る〜『君の名は。』『天気の子』『すずめの戸締まり』 ⒈ 『君の名は。』は観客を選ばない大衆的な映画だ (1) 話題の映画『君の名は。』を観た。この日は家族で観たが、小学生女子のわが子も意外と楽しんで観ていた。周りの席は中高生が半分以上で、やたらうるさかった。このにぎやかな映画館の雰囲気は、昔よくあったアイドル映画と同じだ。とはいえ、映画『君の名は。』を多くの若い人々が映画館に観にきているのは、映画の将来にとっては良い。 で

¥0〜
割引あり

土居豊の文芸批評 映画編 『ゴジラ−1.0』と、『シン・ゴジラ』

土居豊の文芸批評 映画編 『ゴジラ−1.0』と、『シン・ゴジラ』 ⒈ 映画『ゴジラ−1.0』は、日本映画そのものである (1) 映画『ゴジラ−1.0』と、『シン・ゴジラ』は、どちらも日本を舞台としたパニック映画でありながら、皇居の存在を描かない。というより、描けないのだ。 少なくとも「−1.0」の方は、太平洋戦争末期から戦後数年という時間軸が明確なので、皇室の存在に一切触れていないのでは映画としてリアリティ以前の段階だ。 そもそも、最初の『ゴジラ』第1作からお約束のように

¥0〜
割引あり

【小澤征爾追悼】 「世界の」小澤と「世界の」村上春樹

【小澤征爾追悼】 「世界の」小澤と「世界の」村上春樹 ⒈ 村上春樹ノーベル文学賞受賞、の場合の予定原稿 以下の拙稿は、10年ほど前から、もし村上春樹がノーベル文学賞を受賞したら、出そうと思っている予定稿だ。まず、ご笑覧いただきたい。 《村上春樹はとるべくして受賞した。すでに日本人は小澤征爾が音楽で世界の頂点にたっている。遅れること数十年、やっと文学でも世界の頂点を極めたといえる。 わかりやすくいうと、世界中どこのCDショップにもセイジ・オザワのCDがあるように、いまや、

¥0〜
割引あり

土居豊の文芸批評 特別編【(追悼)小川国夫没後16年、今の若い人に薦める小川作品】

土居豊の文芸批評 特別編 【(追悼)小川国夫没後16年、今の若い人に薦める小川作品】 小川国夫が亡くなって、4月8日ではや16年。 昨年の没後15年での特集が、各文芸誌で何も行われなかったことからも、いわゆる東京の文壇(もはや存在しないともいわれるが)での、小川国夫の扱いは忘却にさしかかったと思える。昨年、生誕100年の遠藤周作と司馬遼太郎は、テレビでも特集されたり、出版界でも大いに盛り上げていたからだ。 だが、私が思うに、近現代日本文学の20世紀作家の中で、これからも息長

¥0〜
割引あり

土居豊の文芸批評 ドストエフスキー『罪と罰』 ラスコーリニコフの老婆殺しは、妹推しの兄が切羽詰まってやっちまったこと

土居豊の文芸批評 ドストエフスキー『罪と罰』 ラスコーリニコフの老婆殺しは、妹推しの兄が切羽詰まってやっちまったこと (1)なぜ、いま、ドストエフスキー? 唐突だが、ドストエフスキーを語ることにする。 それというのも、筆者は長らく村上春樹作品を批評してきたが、村上作品の根底には、ドストエフスキーからの影響が色濃いからだ。 村上自身、中学時代からドストエフスキーを読んでいたし、英語で米国ハードボイルドのペイパーバックを読むようになってからも、ドストエフスキーの長編を愛読して

¥0〜
割引あり

(緊急寄稿)京アニ事件のきっかけが「涼宮ハルヒ」?「AIR」? だがその動機づけは間違っていると言いたい

(緊急寄稿)京アニ事件のきっかけが「涼宮ハルヒ」?「AIR」? だがその動機づけは間違っていると言いたい 《青葉被告は被告人質問で、京都アニメーションの存在は、同社がアニメ化した「AIR」という作品を通じて知った、と明らかにした》 と、以下の記事にある。 ※参考記事 【京アニと青葉被告の最初の接点は「AIR」 知らなければ「小説も書いていなかった」京アニ公判速報】(京都新聞2023年9月7日) https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/1

¥100

土居豊の文芸批評アニメ・ラノベ編 《「涼宮ハルヒ」エンドレスエイトのアニメは8回も繰り返す必要なかったのでは?》

土居豊の文芸批評 アニメ・ラノベ編《「涼宮ハルヒ」エンドレスエイトのアニメは8回も繰り返す必要なかったのでは?》 1 「涼宮ハルヒ」エンドレスエイトのアニメ化への賛否 ゼロ年代を代表するアニメ・ラノベの『涼宮ハルヒ』シリーズ、その中でも、賛否両論なのが、京都アニメーションによるアニメ化の「エンドレスエイト」の8回繰り返しの試みだ。 実際に、いくら深夜アニメだといっても、同じエピソードをちょっとずつ細部を変えながら8回繰り返したことは、最初の放映時からネットで物議を醸した。

¥0〜
割引あり

土居豊の文芸批評 高村薫『レディ・ジョーカー』その1 平成日本を代表する小説 

土居豊の文芸批評 高村薫『レディ・ジョーカー』その1 ※写真は全て土居豊の撮影 (1)平成日本を代表する小説 現代のドストエフスキー、と呼ばれることもある作家の高村薫、その作品中でも人気の高い「合田雄一郎」シリーズの3作目『レディ・ジョーカー』は、平成日本を代表する文学作品だ。 物語はグリコ・森永事件をモチーフとしていながら、時代背景を1995年前後として、平成日本の虚実を描く。 時代がまだバブル崩壊後の予熱を保っていた時期、バブルの象徴のような日之出ビール(キリン、が

¥0〜
割引あり

土居豊の文芸批評・アニメ編 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』は21世紀の混迷を先取りしたアニメ

土居豊の文芸批評・アニメ編『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』は21世紀の混迷を先取りしたアニメ  ※写真は全て土居豊の撮影 (1)「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」を2周、通して観た 「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」、この長いアニメを最近、2周通して観た。最初は地上波テレビの再放送枠でなんとなくみはじめて、だんだんと引き込まれていくうちに、最初の方のあれこれが実は伏線だったことがわかってきて、もう一度最初から見返したくなったのだ。 前作の

¥0〜
割引あり

連載更新!文芸批評4(続き)村上春樹『街とその不確かな壁』の原点は、忘れられた傑作『1973年のピンボール』である 2  

連載更新!文芸批評4(続き)村上春樹『街とその不確かな壁』の原点は、忘れられた傑作『1973年のピンボール』である 2 ※写真は全て土居豊の撮影 ※前回まで 土居豊の文芸批評その4 村上春樹『街とその不確かな壁』の原点は、忘れられた傑作『1973年のピンボール』である https://note.com/doiyutaka/n/n496a4b188cfa (4)ピンボールの主役・鼠の故郷、西宮と芦屋 本作は、前作『風』でもう一人の主人公だった語り手「僕」の親友「鼠」に

¥0〜
割引あり