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今どいちゃんがベターだと思えるスポーツクラブの在り方

背景

アフターコロナ、高性能なAIの到来、終身雇用制度の崩壊などなど、あまりにも時代が大きく変わってきている昨今において、スポーツクラブの在り方は変わらなくていいのでしょうか?

特に子どもから若者を対象とした場合は切実な問題で、これまでの指導観の弊害が、指示待ち人間やスポーツ嫌い、バーンアウト、体罰、アスリートのセカンドキャリアといった問題が多く出てきています。そして、文部科学省、スポーツ庁や日本スポーツ協会等々はこれらの現場を変えようとしています。

そうしたときに、具体的に地域のスポーツクラブの在り方って何なのでしょうか?そこを思い描けないこと、描いた方向へと変わる不安、お偉い方々が言われていることをやってみると実際に思っていたことと違うことがたくさん出てくる、そんな壁がいくつもあります。

ただ、僕は、子ども達に失敗をしなさい、失敗は大事だよ、失敗するとワクワクするんだよ、と言っています。なので、僕も率先して失敗します。そして、失敗はチャレンジの裏返しです。地域のスポーツクラブの在り方を問い直すチャレンジをするための、大きな枠組みをここでは書いていきたいと思います。

問題意識

皆さんが当たり前に思っている学校、これは産業革命以降にできたものです。これまで職人が1~10のすべてを担ってきたところを、細かいステップに分担することで、大量生産が可能になりました。この時代には、多くの人が工場の歯車となって、早く正確に作ることが仕事として求められてきました。なので、失敗はダメなことで、個性は必要ありませんでした。

【同じ年齢が同じ内容を一斉に 実は歴史が浅い、学校のこの光景】
https://globe.asahi.com/article/12677548

もちろん、この時代においては、生産性を高める非常に大切なイノベーションでした。とても必要な技術です。

今の学校においても、当時のシステムが使われていますね。学年で区切られて、子ども達を一定の水準まで学力を伸ばすシステムがあって、時間割で区切られていて・・・。

ところで、AIが職業をどんどん奪うという話、皆さんも聞いたことがあると思います。

【AIが仕事を奪うとは?なくなる仕事・残る仕事とAI時代の職業選択のポイント】
https://www.bigdata-navi.com/aidrops/681/

これらのなくなる仕事として挙げられているのは、個性を必要としない、正確性を求められる仕事が多いですね。逆に、AIにとって代わられない仕事として挙げられているのは、クリエイティブな仕事や複雑な判断を必要とする仕事です。

【ケン・ロビンソン「学校教育は創造性を殺してしまっている」(2006)】
https://youtu.be/Tm90Ktww7g4

ひょっとしたら、学校教育では、これからAIで奪われる仕事に向いた人間を育てているのかも知れません。

では、これまでのスポーツはどうでしょうか?「先生の言うことをちゃんと聞いて・・・」保護者の方から、たまに耳にするワードです。どうでしょう?言われたことに従う力、創造性を殺す言葉ですよね。

「言われた通りにちゃんとしないから・・・」これはスポーツ指導者からよく聞くかも?です。挨拶は一列に並んで、立ち方は気を付けで、やることは全て指示されたことで、コーチの言うことは絶対で。どうでしょう。創造的になれそうでしょうか。

難しいと思ったなら、あまり明るい未来は見えないですね。これは、問題です。

クラブの在り方

そうしたら、今後どんなスポーツクラブが求められるのでしょうか?ひとつ、クリエイティブな、創造的な仕事をするためには、言われた通りにやるスポーツクラブを運営するのは避けた方がよさそうです。

固定マインドセット(Fixed Mindset)と成長マインドセット(Growth Mindset)という考え方の捉え方があります。

【組織開発 用語辞典:自律型人材 Growth Mindset」
http://co-ducation.com/growth-mindset/

固定マインドセットの人は、「自分の能力は石版に刻まれたように固定的で変わらない」と捉えています。なので、自分が失敗したことは他人のせいにしたり、努力は才能の無い人がするものであると捉えたり、すぐに諦めてしまったり、できることしかやらなかったり、といった特徴があります。

字面だけ見たら、こんな子どもを育てるのって、嫌ですよね。でも、こんな子どもたち、僕も良く目にします。そして、こんな子どもたちは意外なところから育ちます。その一つが、「褒める」です。「上手にできたね!すごいね!」や「〇〇〇できて偉かったね」などの言葉が、こういった固定マインドセットの子どもを作っていきます。

【オープニングマインド 子どもの心をひらく授業|新評論】
https://www.shinhyoron.co.jp/978-4-7948-1114-1.html

言い換えると、褒められないならやらない、人から評価されないならやらない、そんな人になっちゃったりするわけです。言葉がけ一つでも、ここまで気遣うんですよね。そして、僕自身これは大失敗してきています。最近は減らすようにしてきましたが・・・。

一方、成長マインドセットの人は、「人間の基本的資質は努力しだいで伸ばすことができる」と捉えています。なので、失敗することを恐れず、粘り強く努力し、向上心を持ち、フィードバックを積極的にもらいます。

その成長マインドセットのヒントは、千代田区立麹町中学校の校長工藤勇一先生の動画から得られるかもしれません。

【令和2年度生涯学習特別講演会 「これからの時代を生きる子どもを育てる教育」】
https://youtu.be/Mhie0IoHlMU

この動画、全体を通して抜群に良いので、ちょっと長いですが子育てや教育に関わっている人は、みんな見てほしいです。我が茨城県、やるぅ!

工藤先生の話の中で、明らかに麹町中学校の生徒たちは、固定マインドセットから成長マインドセットに変わっていますね。そのキーとして、動画では、「自己決定」が大切だと言っていました。また宿題などが全くないとも。やっぱり、今ある日本の一般的な教育観では厳しいですよね。

自己決定を育むためには、「どうしたの?」「君はどうしたいの?」「支援して欲しいことは?」の3つの声かけをする。何かを一方的に決めて指示するよりも、子どもたちの自己決定に委ねる。それが大切だと。

そして、その背景には、対話がありますよね。

ちなみに、こういったのを、文部科学省では主体的・対話的で深い学びと言って、これから進めようとしています。

これらをまとめると、少なくとも子どもたちが創造的であるためには、固定マインドセットでなく、成長マインドセットを持っていて欲しいと思っています。失敗を恐れている状態では、間違いなく新しく物事を生み出すこと、クリエイティブなことはできません。そして、楽しくスポーツに参加するためには、クラブの在り方、活動内容、コーチの関わり方、保護者の関わり方などなどを、対話によって子どもたちの自己決定を尊重して、決めていきたいですよね。

活動内容をどうアレンジしているか?

じゃぁ一体どんなクラブだと良いのか?この辺りからはかなり僕のチャレンジです。失敗前提です(笑)

皆さん、スポーツクラブとスポーツ教室の違いって何ですか?

僕はざっくりと、クラブは同じ目的を持った人の集団で、教室は知識を享受したい人の集団だと考えています。違いとしては、クラブはコーチがいるが、あくまでコーチとプレーヤーは対等な関係性で、上下関係はありません。一方、教室は教える側―教わる側という明確な上下関係があります。

また、コーチとは、助手席に座る人だと捉えています。昔の車だと、ナビが無いですよね。なので、助手席の人が地図を持って、道を指示します。でも、運転する権利はドライバーにあるので、目的地も立ち寄る観光地も、意思決定はドライバーです。

助手席の人の役割は、目的地を相談して決めたり、現在地を確認したり、立ち寄りたい場所を聞いて道をアレンジしたり。これがコーチの役割です。

なので、そもそもプレーヤーの自己決定ありきの仕事がコーチです。

そして、僕は結構「何したいのか考えてトランポリンを跳びましょう」と言ってきましたが、まぁ難しい!言うだけでは難しいんですよね・・・。

そこで、対話を実践してきた手法として場づくりの手法がありますので、これを大いに参考にすることとしました。

【学びあう場のつくり方】
https://www.iwanami.co.jp/book/b287506.html

1.場を整える
2.問いを立てる
3.グループに分ける
4.見える化する
5.起承転結

こんな構成を、著者の中野さんは提案しています。トランポリン以外のスポーツであれば、グループに分けられるのですが、トランポリンは個人スポーツでグループ分けはどうしよう、と悩んでいます。

が、少なくとも、最初の場を整えること、問いについて考えること、見える化すること、起承転結を毎回考えることはできるわけで。

なので、最近のブームは、クラブの一番初めにチェックインと呼ばれる、今日の気分や体調等を話す時間、一番最後にチェックアウトという感想等を言う時間を作っています。また、問いとしては、「今日どんなことをして楽しもうと思っているか」を考えるように出しています。

クラスによっては、「この時間はどうありたいか」「どんなことを楽しみに来ているのか」「今日はどんな遊び方をしようか」「どんな風にルールを作ろうか/アレンジしようか」この辺りを問いとして立てたりしています。

その中で、何とか子どもたちと対話し、自己決定を支援していきたいと、奮闘しています。

また、基本的にあれしなさい、これしなさいは言わないようにしています。固定マインドセット、作っちゃいますからね(笑)

この辺の話は、手探りでまとまっておらず、まだまだ研究中ですが、僕自身は非常にワクワクしています。

ゴールは子どもたちの素晴らしい未来を支えること。これはどんな保護者の方とも意見が一致するところだと思っています。ぜひ、良いクラブを作るために、色々な方と同じ方向を向いて進んでいけたら嬉しいと思っています。

雑なまとめですみません。

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