ドイ・ストーリー(後編)

〜カラテチョップの軌跡〜

(全部で前・中・後編、あります。)


「第四章 再生・戦略・未来」


ほんと、こればっかり言ってますけど、
全然、お金がなかったんで、

なんとか2人分の片道の飛行機代と生活費の数万円を捻出して、2015年2月16日に東京から大村に来ました。

最初っから、カラテチョップをやろう!っていう感じじゃなかったです。

当面は、エミちゃんのお母さんのお店を手伝わせてもらって、3人分の生活費を作るようなイメージかなって。

お母さんも、突然やってきた娘たちに自分の居場所を奪われたら良い気しないですもんね、自分のお店に思い入れもあるだろうし。。。

ところが、その手伝うことになってたお母さんのお店が「開店休業」状態で、全然お客さん来てなかったんです。。。こりゃ、まずはこのお店自体をなんとかしなきゃっていう状況

お母さんのお店、定食屋を継続しつつ、カラテチョップ感も出しつつ、、

みたいな方向を探っていました

でもまあ

お金が底をつきそうだったので、早くお金を回収しなければ、っていう切迫した状況でした。

で、相談した結果、

カラテチョップ再出発!!という勢いをつける意味でも「ベトナム食堂カラテチョップ」という名前で、3月3日に移転オープンすることになりました。

またお店やることになるとしたら、決めてたことがあって、

「エミちゃんの意見を最優先する」ってこと。

これまで、結婚してからずっと、エミちゃんには苦労をかけまくってきた。全然稼げないし、お店のことに関しては全く(エミちゃんの)意見を聞かなかったし、自己中で頑固だった。

よく愛想を尽かさずについて来てくれたなあ、って思う。ほんと、申し訳ない気持ちと感謝の気持ちでいっぱい。

だから、エミちゃんを信頼する意味でも、社長になってもらって、僕はそれをサポートするポジションで行こうって思いました。

なにせ、僕は経営者としては、もう世間からNGを出された身分だから、これからはちゃんと周りの意見を聞くってことを心がけよう、っていうのもあった。

それと、

「カラテチョップ」でやるんだったら、絶対、繁盛させてやる!って決めたんです。

「良いお店だね」

とか、

「美味しいね」

は当たり前で、

「常に繁盛しているお店」

が目標

これ、意識するのと意識しないのでは全然違うんです。

ちょっと忙しかったりするとね、

お、イケてるんちゃう?

って思っちゃうんですよね。

ずっと繁盛し続けて、お金も残っていかないと、

ダメ!

そこは絶対、外さない。

とにかく、

お金を稼ぐ、ってことから逃げない!

サッカーでいうと、あ、サッカー得意なわけではないですが(笑)、「華麗なプレーだけどゴール決められない選手」じゃなくて、「なんだかんだ言ってもゴール決める選手」になろう!って。

サッカーで例える必要あったんでしょうか(笑)

映画でいうと、

「面白いけど、興行収入が低い作品」

と、

「そこそこだけど、興行収入が高い作品」

があるとしたら

後者を意識しよう!

って。

理想は「面白くて、売れてる」なんだけど、

「面白い=美味しい」っていう部分が、人それぞれなので、

目標としては「不明瞭」なんだよね。

まあ、

「売れてないと、潰れちゃう」ってことだけは経験則で言えることですね。

まあ、そういう決意のもと、


内装を費かけず(かけられない)

最小限の仕入れ(有り金全部!)


で、3月3日オープン〜〜〜!!!

しました。


「見切り発車」は自覚してました。

ほんと、空振りだった時点で、どっかにバイト行こうとも思ってた。

けど、幸い、SNSのおかげで最小限のプロモーションで集客できたんですよね、

ありがたい!!!

テレビ、雑誌、メディア取材もひっきりなしに来て、これは知名度を上げるチャンスだと思い、

メディアは絶対に断らない、って決めました。

そのうちにご縁あって、KTNのヨジマル !キッチンに準レギュラーで出演させていただいて、これが知名度を決定づけた

「長崎初のベトナム料理屋」

「東京の人気店が大村に移転?」

などの

いろんな要素がフィットして

まあ、繁盛店といえるお店になったかな?

この調子で2年くらい突っ走ったなあ


で、大事な3年目

何もテコ入れしなければジリ貧になる、んです。


さあ、どうする??


ってことで、

戦略会議〜〜〜!!!

お客さんがいっぱい来て、売り上げはあったけど、最初に設備投資してなかったから、お金ができた分はほとんど設備補充に使った。製氷機入れたり、フライヤー買ったりね、、、

慢性的な「自転車操業状態」であった

今も、ですけどね。。。(笑)

で、

「新商品開発!」

「内装を(可愛く、映えるように、)強化する!」

とかは、お金と時間がかかるので、

同じ商品でチャンネルを増やす方法として、

「料理教室〜〜!」

「他店とのコラボ〜〜〜!」

を選択したんです。

どことやるか?

っていうのは慎重に選びました。

やる以上は効果がないと意味がないですから。

あと、いわゆるwin-winな関係になるようにする。

じゃないと、継続できないです。

「継続する」っていうのも大事な要素。

コンスタントに集客できるチャンネルをつくるっていうこと。

客層がマッチしている点も重要な要素。


それで、

若い層に人気の、◯◯◯ロードコーヒーさんとのコラボイベント

こだわりのお客様が多い、◯◯◯モンズコーヒーさんとのコラボイベント

セレブなお方が多い、ku◯◯◯aさんでのお料理教室

と、それぞれご縁をいただきました。

カラテチョップのこと知っているけど、行ったことは無い、というお客様って、結構いらっしゃるんですよね。

そういうお客様はきっかけがあると来やすいです。それに客筋というか、誰でもかれでも来て欲しいっていうわけじゃないから、ウチの良さをわかってくれて納得してお金を使ってくれてる人っていうのが大事。

闇雲にコラボしたって、集客や利益に繋がらなければ時間の無駄になっちゃいますよね。

お互いのお客様が行き来するようにもなったり、一緒に仕事するから、仕事の進め方などで刺激をうけたり、イベントを通して、良い効果があったと思います。

そして、それは今も続いてます。


4年目くらいに、ついに、「競合店」(ベトナム料理屋)が長崎市内にできたんです

これまでは、ブルーオーシャンで、唯一のベトナム料理屋だったんで、、、

ぶっちゃけ、これまで経験したことなかった。ウチ以外にベトナム料理屋が無い「オンリーワン」状態。一人勝ちっていうやつです(笑)

まあ、やりやすいですよ

完全に主導権がこっちにありますから(笑)

それができなくなるかも、、、

正直、ビビりました。


競合店が出てきたことによって、やるべきことは、

「差別化」

だなって。

消費者って、無意識かもしれないですけど、絶対に「比較」するんですよね

「カラテチョップ」は他(競合店)と、どこが違うのか?

っていうことが表現できてないと、選ばれない。

そういうもんです。

で、ウチが打ち出したのが、

「化学調味料に頼らない」

「できるだけ地元の食材を使う」

「日本人に合わせた味」

「東京でずっとやってきた実積」

そういう部分を、今までもそうだったけど、これまで以上に強調する。

毎日のようにSNSやブログで発信しました。

ウザいと思われてるだろうな、って思ってたけど、

徹底的に印象づけないと意味がないですから。

自分たちが思ってる「ウリ」と

お客様が思ってる「お店の印象」を

一致させる、というのでしょうか?

どう見られてる?っていうことが大事なんだと思います。


そして、


2018年10月ごろに、世界的に権威のあるガイドブック、「◯◯◯ラン・ガイド」の調査員の方がご来店されました。

少しだけご質問されましたが、「ガイドブックの長崎版が発行されることが決定しているわけではありませんので」、と言われ、お帰りになりました。

すごくありがたいし、光栄なこと

そのことの「価値」はもちろんのこと

これをどういかすか?

ミシュ◯◯に載ったら潰れる??

っていう過去の事例もあるらしいです。

想像するに、

集客はできるけど、こちらのキャパをこえちゃうと、オペレーションや品質やらがグッチャグチャになって、結果、満足度が下がる

ていうことなんでしょうね。


ウチとしてはそれを想定して、

「メニューを減らす」

「オペレーション優先」

を、まだ載るかどうかわからない時期から実践しました

あと、

もし、そのガイドブックに載ったら、というのをゴールに「ストーリー」を考えました。

これは戦略というのもありますが、趣味に近いかもです(笑)

今回お話しさせていただいているような、「カラテチョップの失敗と再生」的なものをブログにまとめて投稿しました

ハリウッド映画風に

「さえない主人公が失敗を経て、自分を見つめなおし、本当に大切なものに気づき、壁を乗り越え、成長する」

的な、ゴールに向かってSNSで発信しまくりました

「ミシュ◯◯」という、わかりやすいゴールがあった方がカタルシスがあるかなーって(笑)

これの効果があったのか?なかったのか?

は、ハッキリわかりませんが、かつて映画監督になりたかった自分の夢が、ちょっと叶えられた気分は味わえました(笑)

時には遊び心もね。


で、結局、

2019年の7月にそのガイドブックが発売されて、掲載されました。ありがたいです。

発売当初は予想どおりに、新規のお客様が増えました。

で、やっぱり、ネットのレビューに酷評っぽい事を書かれたり、っていう

でもそういうのは想定内だったし。

まあ、何よりもこのガイドブックにのることによって、自信が持てたっていうこと、仕事に対するモチベーションが上がったこと、そっちの方が意義があったと思います。


で、まあ、

今に至ってるんですよね。

相変わらず、自転車操業で、余裕のない生活ですが

毎日、楽しいですよ、間違いなく「充実」してる

リア充です。

ほんと、もう「廃業」はしたくないって、心から思います。

こんなに楽しいことをやめたくないいですもん(笑)

でね、僕はいま、47歳なんですけど、70歳までカラテチョップやりたいんです

どうやったら潰れないお店になるのかなって、寝るとき以外はずっと考えてます

ときどき夢の中でも考えてますけど(笑)


いまのところの一旦の結論なんですけどね、

やっぱ、

必要とされる人間(店)になるべきなんだと思いますよ

必要なものは無くならないんですよ

当たり前ですよね(笑)


これまでほんとにお金に苦労したし、いまもお金持ちじゃないし、

これからお金持ちになる方法って想像できない

じゃあ、もうオレには未来はないのか?

って、最悪すぎるから、

お金以外で生き残る方法って、なんだろう?って思ったんです

それは

「信用」

だな、って。

あいつなら大丈夫

あいつに任せてみよう

あいつと仕事したい

あいつを応援したい

そういう人間(店)


になったら、怖いものしらず

じゃないかな?

「信用」を資産にしていく

そういう感じ?

正直、この先も、いつダメになっちゃうかわからない

自営業でも雇われでも

必要とされなくなったら、ジ・エンド

です

ずっと戦っていかなきゃならない

それだけは確実(笑)

でもね、

戦う、っていうと、ツライ感じしちゃうから、

楽しむ、って変換しちゃえばいいと思う

何が起こっても、

それを「楽しむ」

そんな簡単じゃねーわ!

って思うかもしれないですけど、

楽しそうにしてるヤツって、

人が集まりそうな気がする

人が集まってくるような人間になれたら、

どんな世の中になっても、生きていけるんじゃないかな。

あとね、死ぬときに、

あんたに出会えてよかった!

って、思ってもらえるような人間になりたい

そう思われたら、

いい人生だったんじゃないかな

って思います


最後までお読みいただきありがとうございました!


2020年3月13日


ええやん


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