見出し画像

「恋愛ドラマな恋がしたい」が面白かった

今日はちょっといつもと趣向が違いますが、ABEMAの番組「恋愛ドラマな恋がしたい」略してドラ恋が面白かったので、なんで面白いのかな?という自分なりの解釈を深める意味でレビューを書いてみようと思います。

設定

この番組の設定は男女4人ずつの計8人の若手俳優女優が集まり、毎回キスシーンを含んだドラマの撮影をすることで、当事者たちの間に恋心が芽生えるのか?というある種実験的な要素を含んだ恋愛リアリティーショーです。

毎回台本が用意され短編ドラマを撮る。毎回タッグを組む男女の組み合わせが変わる中、ドラマで主役を演じられるのはオーディションで選ばれたメンバーのみ。

そして、役を演じ、実際の気持ちが動き、カオスな心境の中で回は進んでいきます。

ストーリーの軸は「誰と誰がくっつくのか」

ここからは自分自身の整理も含めて、どんな構造のストーリーなのかも考えていきたいと思います。

まず、この番組の一番重要な軸は「誰と誰がくっつくのか?」という部分です。

初回から常に8人の男女は、誰が気になるのか、誰とペアを組みたいのかと問われ続け、自分は誰が好きなのかと考えさせられます。

次第に相手への気持ちがつのり、徐々に感情の揺らぎが大きくなることでお話が盛り上がっていきます。また、両想いのカップルもあれば、同時に数人が同じメンバーを好きになることもある。

こういった不確定な要素が、視聴者をハラハラさせるいいスパイスになっていき、ストーリーが進むにつれて視聴者も彼・彼女を応援したい!と自分事化されていきます。

気付けば、「最終的に誰と誰がくっつくんだろう」「誰と誰にくっついてほしい」と感情移入してしまいます。

ドラ恋では、この軸を中心に世界観が見事に作り上げられていたように思います。

あえて引っ掻き回す

面白いストーリーには、必ず登場人物の状況や感情変化の起伏があります。

例えば、ワンピースでは毎回めちゃくちゃ強い敵が出てきて目的を阻んできます。鬼滅の刃では幸せに暮らしていたところで急に家族が殺され、妹が鬼になります。

上手くいっていたと思えばどん底に突き落とされたり、どん底から必死に這い上がる姿があったり。この上下があるからこそ、エンディングがエモーショナルになる。

ドラ恋ではこの起伏を、あえてカップリングやシステムをかき回すことで上手に演出されていました。

例えば、カップリングを毎回変えることで、気になる人と別のメンバーがいい感じになる姿をみて、メンバーそれぞれの嫉妬や悲しみ、見返してやるというモチベーションなどの感情を自覚します。

また、ある程度うまくいっている男女の組み合わせを、あえて引き離して他のメンバーと主演をやらせる。もちろんキスシーンがあるので、引き離されたほうは複雑な気持ちになります。

そんな試練ともいえる状況を作り出すシステムを用意することで、果たしてハッピーエンドになるんだろうか?この想いは成就するんだろうか?という本人たちの願いにも近い想いと、視聴者の応援したくなる気持ちをうまく引き出しています。

当事者同士の探り合い

そして、もうひとつの見どころは、8人の当事者同士の探り合いです。

誰が誰を好きなのか。相手は自分をどう思っているのか。

時には同姓同士で探り合ったり、時には異性へ相談してみたり。自分の好きな人を言ってしまいたい。でも言えない。そんな個々人の心模様もしっかりと描き出されている。様々な人間関係が渦巻く世界観は、どろどろとしており、それでいて清々しい部分もあり、とてもリアリティーを感じました。

一方、視聴者はメンバーへの個別のインタビューでそのタイミングごとの心情を聞いています。

その内容を踏まえて状況を見ているため、「あーそうだよねー」と納得できる場合もあれば、「え?なんで?どういうこと?」と混乱する場面もある。そうやってメンバーへの共感や好意、反感などが増長し、視聴者自身の感情も大きく揺さぶられていく。

こうして、情報粒度をコントロールすることで着地の読めない見せ方になっていたのも上手だなと感じました。

ストーリーの終着点

結末は実際の番組をみて頂ければと思いますが、構成の終着点として、最初の軸であった「誰と誰がくっつくのか」という問いはしっかりと解決される形となっていました。(納得いくいかないは別ですが)

番組として一貫した主軸へのアプローチ、その展開を盛り上げるスパイス的なかき回し、そして最後に問いへのアンサーを回収していく流れ。

とてもシンプルかつ分かりやすいストーリーラインなのに、最後までなかなか見ごたえのある内容だったことに、素直に素晴らしいなと思いました。さすが鈴木おさむさん。

そして、1stシーズンでは最後の最後に講師(演技指導の先生がずっとファシリテートしています)の方が、メンバーに向けて手紙を読んでいるのを聞いて、なんだかグッときました。

他の恋愛リアリティーショーとの違い

他にも恋愛リアリティーショーはたくさんあります。アマゾンプライムビデオで配信されている「バチェラージャパン」や地上波で放送されていた「あいのり」「テラスハウス」など、人気の番組は数多く存在します。

しかし、このドラ恋が大きく違うのは、男女がキスをするという行為が毎回入るところ。

話したりハグしたりデートしたりという要素はどの番組でもありますが、お芝居を通じて疑似的にでも相手に好意を向けること・向けられる瞬間があり、実際にキスという行為までおこなう番組は、少なくとも私は見たことがありません。

デートをすることとキスをすることでは、心理状態の変化に大きな違いが生まれます。キスをすると、体内では幸せホルモンと呼ばれる「オキシトシン」「エストロゲン」「エンドルフィン」「セロトニン」などが分泌されると言われています。

これは精神安定の効果や多幸感を与えるホルモンで、女性の中で安心感や幸せな感情が広がります。

つまり、キスをするという行為自体が、安心感や幸せを感じる状態に近づきやすくなります。実際、番組中でもメンバーがキスをした相手が気になってしまうということが何度かありました。

普通のデートや会話だけでなく、キスをするという行為がある。更に、気になる相手だけでなく、様々な異性とキスをする。

これが番組の展開をいい意味でかき混ぜる要素になっていたと思います。

まとめると

この番組は「誰と誰がくっつくのか」という問いを軸に、それぞれのメンバーの感情や気持ちの揺らぎの演出、波を起こすためのシステム、そして他の恋愛リアリティーショーにはない要素をしっかり盛り込むことで、見ている側を飽きさせない、質の高い番組に仕上がっていたと思います。

メンバーの気持ちが固まりつつあるタイミングで、あえてメンバー同士で組み合わせを決めさせたり、徹底して女性から告白させるスタイルを取ったり、要所要所で盛り上がるポイントをおさえ、次回はどうなるのかと視聴者が先の展開を予想する構成になっていました。

ABEMAだと思って少し甘くみていましたが、むしろ最近の地上波ドラマやバラエティーよりよっぽど面白かったです。

ぜひご興味あれば見てみてください。


ー ー ー

いつもコメントやスキを頂き本当にありがとうございます!
皆さんのコメントやスキが励みとなり、モチベーションとなっています。

これからも、共感できるな、参考になったなと感じて頂けましたら、スキやコメント、シェア、フォローを頂けるととても嬉しいです。

私も、スキ・コメント・フォローをして頂いたかたの投稿を読んでみたいので、ページを拝見させて頂きます。

ー ー ー

*Twitter
https://twitter.com/hiromu_1123

*プロフィール
https://docs.google.com/presentation/u/1/d/16YkaM7-13_tx9eHXSq_7U-zg2TOeU4p4/edit

この記事が参加している募集

最近の学び

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?