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新規事業の立ち上げにおいて重要な「当事者意識」の育み方

ここ最近は、エヴァンゲリオン熱が巷で上がってきているのを肌で感じながら日々を過ごしている。

数年待ちわびているので、自分のことよりも気になるトピックだ。もはや自分事。ネタバレを見ないように日々必死で生活をしている。

自分事と言えば、新規事業は自分事化=当事者意識が非常に重要である。では、この当事者意識をどう持てばいいのか。どう育めばいいのか。

今日はそんなことを考えてみる。

新規事業を立ち上げるのに必要なWILL

リクルートで新規事業室長を務め、現在は株式会社ニューズピックス 執行役員の麻生要一さんは、著書『新規事業の実践論』の中で、「初めにやることはWILL(意思)の形成であり、WILLの形成が社内起業家の覚醒に繋がる」と言っている。

ではこのWILLとは何か。麻生さんは「誰の」「どんな課題を」「なぜあなたが」の3つと定めており、私はそこに「どういう状態にしたいのか」を加えた4要素をWILLと考えている。

実はこれは、大きく3つの意味を持っている。

・誰の、どんな課題を:What
・どういう状態にしたいのか:How
・なぜあなたが:Why

まず、「誰のどんな課題を」という部分は言い換えれば「What=何を」である。人に焦点をあて、その人の課題を解決するぞと定義づけする。

次の「どういう状態にしたいのか」は「How=方法」である。定義づけされた対象の課題を解決する方法を指す。

最後に「なぜあなたが」である。あえてあなたが取り組む理由を明確にする。ここが当事者意識となる。基本的に課題を解決するということは、今できていないことをできるようにする作業だ。つまり困難の連続に飛び込んでいくことになる。それには強い動機が必要であり、当事者意識が無いととてもじゃないが走り続けることはできない。

では、当事者意識が無いと新規事業は作れないのか。

私は「できない」と思っている。

では当事者意識を持っていない人は新規事業はできないのか。これについては、私は経験上「あとからでも湧いてくる」と感じている。

なぜ、新規事業は当事者意識が必要なのか

当事者意識の醸成について考える前に、なぜそれが必要なのかを考える必要がある。

あえて言葉で説明するならば、「当事者意識の無いサービスや製品に、課題は解決できないから」だ。ただし、これでは現時点でしっくりこない方もいると思うので、少し補足をしていく。

例えば、役所の手続きについて考えてみてほしい。

書類一枚をもらいたい、申請を1つしたい、手続きを1つしたい。ただそれだけにも関わらず、いくつもの手間と大量の時間を費やすことを強制される。あの工程には、我々市民の立場に立って考えられた仕組みはほとんど無く、役所の管理や仕組み上ああしなければいけない、ルール上こうしなければいけない、という理由で作られている。

これでは課題を解決するどころか課題を増やし、利用者に苦痛を与えることになるのは、国民の大半、もっと言えば働いている役所の職員ですら感じている事実だろう。

別の例も見てみよう。
例えばボールペン。誰もが一度は使ったことがあるであろう製品だが、あえてこのボールペンでなければならない、という特定のブランドや製品をすぐに挙げられるだろうか。恐らく出てこないと思う。

万年筆や高級ボールペンならあるかもしれない。でもコンビニでも買えるような汎用的なボールペンには、どのメーカーのものであってもほとんど差は無い。

その理由は、ある意味ボールペンはその形状・状態性で完結した製品だからである。つまりあれが一番使いやすい状態と認識されているのだ。しかし、そこに一石を投じたのが「消せるボールペン」である。

ボールペンの数少ない弱点であった「消せない」という部分を、ボールペンの良さを残しつつ消せるインクを利用することで解決した製品である。

後発であるが故に絶大な支持を受けた消せるボールペンは、ボールペンの利用者の小さな悩みをつかみ取ることで大成功した、わかりやすい事例となった。

ここで言いたいことは、「利用する人の目線に立ち、利用する人のことを徹底的に考えていないサービスや製品は、むしろ利用者に損害を与える」ということ。そして「どんなに小さいものでも、利用者の声に耳を傾け、自分がその当事者の立場に立って考えられたものは支持される」ということ。

ここが根本的に理解できないと、恐らく新規事業を作る際に、大事な部分を見落としたまま進めることとなる。

当事者意識は後天的に作ることができる

では、当事者意識が無い人、無い領域では新規事業はできないのか。

実はそんなことは無く、私は当事者意識は後天的に作ることができると考えている。

どうすれば当事者意識は生まれるのか。

まず、当事者意識を形成する要素は3つ。

1.その事柄・領域に対する課題意識
2.熱源
3.変革後の状態イメージ

1つ目は「課題意識」である。
その言葉通り、なぜその事柄に対して課題を感じたのか。何が課題と感じているのか。この思慮が深ければ深いほど、自分のこととして認識しはじめる。自分の関わることや自分が実際に困っていることだと、より深く・強く課題意識を感じる。ここが事業の核となり、解決すべき課題の中心となる。

2つ目は「熱源」。
簡単に言えばモチベーションである。解決したい事柄があっても、モチベーションが無ければ行動することはできない。先述した通り、新規事業は苦難の連続である。上手くいくこと・スムーズに進むことのほうが圧倒的に少ない。その向かい風の中行動し続けるためには、自分自身に熱量が必要であり、その熱量を生み出す熱源が必要である。
これを持っているか持っていないかで、新規事業の成功確率は雲泥の差が出る。熱源が発する熱量に周囲はあてられ、仲間となっていく。逆に、そうやって仲間を集められない人物では新規事業は上手くいかない。

3つ目は「変革後の状態イメージ」。
課題が解決した後の世界をどう描いているか。実は、ここが一番抜けがちだが、かなり重要なポイントである。
新規事業をするとき、多くの企業や担当者が「これをやったら儲かる」という部分を中心に事業を考える。これは企業として正しい。しかし、儲けだけを考えると目指すのは「儲けられる状態」である。つまり、主語が「わが社」になる。こうなると、最初に伝えたWILLが「誰の=自社」となり、結局利用者の立場に立った製品ではなくなってしまう。
そして、「課題を解決した後にどういう状態になっていれば、利用者として課題が解決された状態なのか」をイメージしないまま進めてしまうと、利用者にとってはそれもまた損害を与えるものの1つとなってしまうのである。

この3つが自分の中で醸成された時、恐らく自身が当事者になっており、解決せずにはいられない状態となっているはずである。

では、どうすればこの3つが醸成されるのか。

これは間違いなく、「現場に飛び込み、当事者と触れ合い、声を聴く」ことでしか作られることは無い。

当事者意識は、勝手に沸いて出てくるものでは無い。課題設定が先でもいい。その課題に真剣に向き合い、当事者と関わる機会を最大限に高め、そのふれあいの中でのみ育まれる。

100人に会えば100人の想いを自分に取り込める。その想いを受けても何も感じられないようであれば、恐らくその課題は別の誰かに任せたほうがいい。

机上の空論では人の心の動きを掴むことはできない。全ての種は現場に落ちている。当事者の中にしかないのである。根性論のように聞こえるが、今までの常識を覆し、新しい常識を作るというのはそういうことだと思っている。

当事者意識を高めるひと工夫

もう1つ、自分の中で芽生えた当事者意識の芽を育てる方法を伝えておく。

それは「人に話すこと、話し続けること」

そんなこと?と思うかもしれない。しかし、これは新規事業に限らず物事を動かす際には一番必要なことである。

いま感じている課題意識や自分がなぜその課題解決に取り組んでいるのか、どんな世界にしたいのか。これを人に伝えることで自分の熱源が更に温度を上げていく。そしてその温度が人に伝わり、その想いは広がっていく。

世の中の常識を変えるということは、世の中の人の考えを変えていくということである。極論、仕組みが変わっても人が変わらなければ何も変化は起きないのである。

この、「人を変える」というのが一番難しく、恐ろしく時間がかかる。そしてこれを成す方法は「人に話し続けること」が一番大事なのである。

過去に誰かに熱心に説得されたり、想いを伝えらたことで自分の考え方が変わったことは無いだろうか。まさにその体験を自分が実践するのである。話すことで自分の熱量を上げ、人に熱量を伝播させていく。それが最終的には応援する人を増やし、自分事化してくれる仲間を増やし、世の中の常識を変えていくのである。


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