見出し画像

大学生がまちをかき混ぜ、かきまわす。わたしの商店街クエストの先に未来がある。

今年の夏、焼津市の商店街をフィールドに「わたしの商店街クエスト@焼津」が繰り広げられました。「焼津の商店街をフィールドに月3万円を稼ぐ事業プランをつくること」が目標の大学生向けサマープログラムです。

大学生たちは9月頭の5泊6日を焼津で過ごし、自分の好きまちの課題や資源を掛け合わせ、商いのプランを考えます。そして、考えるだけではなく、2月までかけて実行していきます。(実行するのが重要です!)

全国から焼津に集った11名の大学生たち。

当初、「焼津で5泊6日の大学生向けの合宿企画をやるんです!」と、いろんな人に話していると、ほとんどの人の反応は「え?それ人ほんとに集まるの?」でした。

水産都市としては有名なまちですが、大学生の大事な夏休みになぜ焼津に行くの?それも5泊6日も?と、企画者自身も不安いっぱいのプログラムです。でも、「5人でも来てくれればいいだろう」と見切り発車でスタートをしたのでした。

とはいえ、もちろんちゃんと集めようと、大学生が集まる拠点に協力いただき、説明会も開催。各地で多くの学生さんと出会うことができました(各地で協力いただいた皆さん、ありがとうございました。)

Tsukuba Place Labでの説明会(茨城・つくば市)
3×3Lab Futureでの説明会(東京・大手町)

大学の講義などでもお知らせしたのが功を奏したのか、結果的に全国から定員の倍近い申し込みがあって、選考を経て11名の学生を受け入れることになりました。

地元静岡はもちろん、広島、山梨、神奈川、東京、茨城など、本当にいろんな地域から大学生たちが集まってくれました。大学は筑波大、早稲田大、中央大、法政大、東京都市大、山梨県立大、静岡大など。

とにかくみんな元気!そしてすぐ仲良くなる。5泊6日の期間中はまちを駆けまわり、本当にたくさんの地域の人たちと出会ってくれました。地域の大人を紹介すると、すぐに自分で連絡をとって話を聞きに行き、期間中で彼らが出会った大人をカウントする100人近くにもなりました。

まちを駆けまわる。

まず、最初の2日間は、フィールドとなる商店街を案内したり、市役所訪問をしたり、企業に行ったりと、インプットをする時間です。地元企業の全面協力のもと、どの企業も社長が直々に会社見学にご協力いただきました。市役所も多部署にわたってご案内いただき、感謝です!

橋本組を案内する橋本社長
サンロフトで松田社長から講義を受ける学生たち

そのあと3日目からは、とにかく自分の好きと向き合い、事業プランを考えていく時間です。何があっても5日目の夜にはプレゼンをしなければいけないので、みんな1日1日を必死に過ごしていきます。

とにかくたくさんの地域の大人と出会い、たくさん話す。そして、まちのことを知りつつ、自分はなにが好きなのか?をずっと考え、それをプランに落としていく。

初日の夜のウェルカムパーティ
地域の資源や課題をまとめるワーク
商店街のお店・和菓子屋吉野でのヒアリング

一生懸命に考えたプランであっても、メンターからダメ出しされて振り出しに戻る子が何人もいて。(ダメ出しして振り出しに戻した張本人でもありますが 笑)

かわいそうだなと思いながらも、毎晩毎晩、日が超えるくらいまで議論したり、プランを練る姿を見ていると、これはこれで良い時間なのかなと思ったりもしていました。きっとこれだけ自分に向きあった時間は糧になるはず。

デザイナーの松尾さんによる「コンセプトのつくりかた講座」
俳優の長谷川さんによる「伝え方講座」

合間では、メンターやゲストからのさまざまな講座もあって、普通に聞いたらいくら払わないといけないんだろう?と思うくらいの本気の内容です。それにしてもこれだけの講座をやれる大人がいる焼津はいいですね。

学生が地域をかき混ぜ、かきまわす。

学生を応援するためのラインオープンチャットも開設し、気がつけば地域の大人が50名近く参加するコミュニティになっています。

プランを練るなかで「こんな人にヒアリングしたい!」と学生が考えると、どんどんオープンチャットに質問を投げていきます。

ときには「みそまん愛が深い人」を探す投稿も。笑

こんな投稿でも地域の大人たちがあたたかく返事をしてくれて、次の日には話を聴いてくれていました。そこから紹介されて焼津のお店に出向いて行ったり、きっと突然の訪問ばかりだったと思うのですが、そんな連絡や訪問も受け止めてくれる焼津はすごいです。

こんな姿を見ていると、外からやってきた学生は「かくはん機」のようにも見えてきました。つまり、彼らが地域をかき混ぜたり、かきまわしたりする役割を果たしてくれていて。見えていなかった資源が掘り起こされたり、繋がっていなかった人と人が繋がったり。

これはすごいことだなぁ。

アイデアはアイデアのままでは意味がない。

そして、5日目の夜。練り上げたプランを地域の皆さんの前で発表する公開プレゼンテーションです。

プレゼンの1時間前まで「大丈夫!?」と思っていた学生も、魔法がかかったように素晴らしいプレゼンテーションで、聞いていた大人がどんどん前のめりになる姿がわかりました。

学生たちには何度も「アイデアはアイデアのままでは意味がない」という話をしました。今回のように大学生がまちづくりプランを考え、提案する事業はたくさんあります。でも正直、提案だけすることに意味はあまりないと考えています。

会場は橋本組本社ホールを提供いただきました

だって、それがうまくいくかどうかわからないし、形にならない限り、それは絵に描いた餅だからです。だから、とにかくやる!が前提!です。プレゼンや期間中の活動からそんな本気度が伝わったのも、大人を動かした要因なんじゃないかと感じています。

そして、広報期間1週間にも関わらず、たくさんの大人たちがプレゼンを聞きに来てくれました。プレゼンが終わってみんな安堵の表情?笑

プレゼンはここから見れます

世界一、若者の「やりたい!」がカタチになるまちをつくる。

この5泊6日でみんなの熱に触れ、みんなの思いが詰まったプレゼンを聞いて。自分自身もたくさんの刺激をもらいました。

正直、5泊6日ずっと合宿に張り付いていたので、体力的にはけっこう持っていかれて、寝不足な日々でしたが、それ以上に得られるものがたくさんある時間でした。(同じ20代でも老いを感じます 笑)

そして「これだ!」という強い実感も持つことができました。

つまり、自分がいまやりたいこと、目指したいことは、若者の「やりたい!」がカタチになるまちをつくることだ!!ということです。

学生起業した頃から数えると、かれこれ10年近く、子どもや若者の社会参画の分野で活動をしてきました。でも、ずっと違和感も持っていたことがあります。

それは、いわゆるまちづくりの活動ではあるけど、プログラムベースだったり、事業ベースだったりと、その場限りになることです。

そのプログラムや場のときは、みんなイキイキ話すし、思いもカタチになっていくけど、一歩現実に戻ると、またやりたいことができない社会が待っています。

でも、今回の商店街クエストは、なにかが違いました。それは、まち全体が若者の「やりたい!」を応援していて、それはプログラムが終わった今も続いていることです。

もともと焼津にそんな風土があったことも追い風になった気がするし、そこに大学生たちが来てくれたことによって、若者を応援する土壌がさらに耕されたように感じます。

きっとこの先に未来がある。

だからまず、わたしの商店街クエストを10年続けようと思います。予算があるのかとか、学生を集め続けられりのかとか、課題は盛りだくさんだけど、これはいまの焼津にとっても必要な活動です。

そして何より、学生たちの活動はスタートラインに立ったばかり。これから提案したプランを実現していくのがとっても楽しみです!

一緒にがんばろー!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?