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民設民営のみんなの公民館まる、10代20代が集まる場所。私たちの経営方針をお伝えします。

みんなの図書館さんかくに続いて、民設民営の公民館「みんなの公民館まる」を開設することを発表しました。10代20代を主の対象とした人生のより道拠点をつくります。

私たちが目指すのは「私設公共」をつくりだすことです。

人口が減少すれば、当たり前ですが、税収も減少します。これまで当たり前だった公共サービスや公共施設を維持できない可能性もでてくるでしょう。

みんなの公民館まるは、そんな時代だからこそ、行政財源に頼らない民設民営の運営スタイルを目指しています。

私たちが活動するのは、静岡県焼津市の駅前通り商店街です。まだまだシャッター通り商店街ではありますが、みんなの図書館さんかくを開設してから約4年で新規9店舗が出店するまでに復活しはじめています。


図書館の次になぜ公民館?

みんなの図書館さんかくのことを知らない方のために、少しだけ解説をしたいと思います。

みんなの図書館さんかくは、民設民営の私設図書館です。「さんかく」は、三角形ではなく参画の意味で、みんなが参画する図書館づくりに取り組んできました。

1番特徴的なのは、「一箱本棚オーナー制度」と呼ばれる仕組みを導入しはじめたことで、月額2,000円を支払うと本棚オーナーになることができます。

本棚オーナーは、図書館のなかにマイ本棚を持つことができて、自分の選書した本を並べることができます。この本棚オーナーたちによるオーナー料がさんかくの運営費になっていて、黒字で経営ができています。(もっと詳しく知りたい方は下の記事をご覧ください)

こうした一箱本棚オーナー型のシェア図書館を「みんとしょ」と呼んでいて、全国あちこちに姉妹館が広がっています。いまではなんと全国78館です。

みんとしょを知っている人からすると、どうして図書館から公民館に?と思うかもしれませんが、なにも自分は図書館づくりがしたかったわけではありません。

上でもお伝えしたように自分が構想するのは「私設公共」であって、自分たちが住みたいまちを自分たちでつくっていくという流れを社会全体でつくっていけたらと考えています。いうなれば「自治」の社会です。

きっとそのほうが楽しいし、現状の社会を踏まえれば長期スパンでそんな流れになっていくでしょう。

ユース中心の公民館の構想

そんな自治の再構成をねらいとした公民館構想は、これまでシニア世代が中心だった公民館をユース世代中心につくり変えていく挑戦でもあります。

「公民館」と聞くと、みなさんどんなイメージを持つでしょうか?

地域によってはこども・若者の溜まり場になっているようですが、そのほとんどはシニア世代のための場所になっている印象があります。もちろん、それが悪いと言いたいわけではありません。

みんなの公民館の設置物件

そもそも公民館は社会教育・生涯学習の施設で、シニア世代がいつまでも学び続ける場が提供されていることは素晴らしいことです。しかし、その範囲にはこども・若者も含まれていることが重要です。

こども・若者世代のほとんどは学校に通っています。これを学校教育というわけですが、僕はこの両輪に社会教育があるべきだと思います。

第6期中央教育審議会生涯学習分科会における議論の整理(文科省資料より抜粋)

上記は文科省のなかでの社会教育行政のあり方に関する議論の資料を抜粋したものです。これを見ると、学校教育と連動する形で家庭教育と社会教育が位置づいています。そして図の右下を見ると「青少年」の言葉も入っています。

位置づいているけど、実際はできていない。本当は国としてもやるべきだと思っているけど、方針だけになっていて形になっていない。それが現状だとです。

だから、そんなモデルをつくりたい!そう考えて、今回のプロジェクトははじまりました。「公民館」なので、誰もが来れるような場所にしたいと考えていますが、あくまでもユース世代が核と考えています。

もしかすると、「高齢者は排除するのか!!」とお叱りを受けることも今後出てくるかもしれません。でも、高齢者の集まる場はたくさんありますし、そもそも僕らは図書館も運営しているので、そちらを使ってもらえば良いとも考えています。

いまの社会は直線的すぎる。

みんなの公民館まるでは、「人生のより道」のコンセプトを掲げています。

いまの社会を生きる子ども・若者たちは生き方が直線的すぎるなと感じています。就職のため、進学のための勉強になっていて、すべての物事に合理性が求められます。

目的や意味がないと行動してはいけない感じがして、無駄なこと、無意味なこと、無目的なことは排除されていきます。

でも、自分自身、小学生の頃にたくさんより道をして、中学生の頃もゲームセンターに入り浸って、、、と、あのときは無駄だなぁと思ったことも、いまではあの時間があったからいまの自分が形成されたと振り返っています。

直線というよりはジグザグなキャリアの積み重ね方。きっと、みなさんもそんな経験あるんじゃないでしょうか?

そのときは無意味や無目的に見えることも、自分自身を突き詰める時間になっていたり、私ってなんだろう?と考える時間になっていて、より道が自分をつくる部分ってあると思います。

もちろん、それは物理的により道ができるって意味ではなく、自分の好きなこと、興味のあることにとことん取り組めるってことが「人生のより道」なんじゃないかということです。

だから、みんなの公民館まるでは、なにかを押し付けるのではなく、多様な価値観と出会えたら、自分を深めていく、そんな機会を提供できる場所にしたいと考えています。

ドイツのソーシャル・ペタゴーゲの考え方

少し話は変わりますが、今回の構想に至ったもうひとつの理由があります。それは、ドイツで出会った「ソーシャル・ペタゴーゲ」と呼ばれる人々です。

ドイツはヒトラー政権を経験したこともあって、教育の担い手が多様な人々によって担われるべきだという思想を持っています。つまり、特定の大人が教育に携わると、ひとつの思想に染め上げてしまう可能性があるため、多様な大人がこども・若者と関わることが重要とされています。

そんなこともあってか、学校教育だけでなく社会教育の場も非常に重視されていて、教師と同じくらいこども・若者たちの身近な存在として「ソーシャル・ペタゴーゲ(社会教育士)」がいます。

学校の種類によって違いはありますが、ドイツのほとんどの学校は昼くらいに終わって、放課後はさまざまな社会教育施設に遊びに出かけます。例えば、それはプレイパークと呼ばれる遊び場だったり、ユースセンターのようなユースのための施設です。

その中身にも多様性があって、アート活動ができる場所、スポーツに特化した場所など、さまざまです。

そして、それぞれの場所にソーシャル・ペタゴーゲの資格を持った人がいて、こども・若者の育ちを社会教育から支えています。

僕はこのコンセプトにとても共感しました。まず、こども・若者の価値観を広げていくためにも、多様な大人と出会えることは大切だと思いますし、いまの日本はなんでも学校任せです。もっと地域社会で担えることがたくさんあるんじゃないかと考えています。

こどもたちからのSOS

いまの日本社会は大きな少子高齢化にあります。こどもの数よりも大人の数の方が多い社会です。

ちょっと考えてみると、大人が多いってことはこどもの面倒を見れる人数が増えるようにも思うのですが、実際問題はこどもの負担が増える形になっています。僕らの世代でさえ年金はほぼもらえないんじゃないか?と、こどもの頃から言われています。

人口だけが問題ではありません。不登校の数は過去最大になっているし、こどもの貧困率も高い水位のまま、7人に1人が貧困状態にあるとされています。また、若い世代の死亡要因の一位は「自殺」で、まったく未来に希望が持てない社会になっています。

僕らが活動している焼津市でのデータを調べてみると、不登校だけでなく学校内の問題行動も右肩上がり。不登校生徒数は358名になっていて、ちいさな学校ができるくらいの数です。

この数字を見るだけでも、こどもたちからSOSが上がっていることがわかります。いま変えないと、いつまでも変わりません。だから行動しようと思い立ちました。

「地域でこどもを育てる」を本気でつくる

さて、本題です。

このこども・若者中心の公民館、その必要性は皆さんに理解していただけたと思います。では、どうやってこれを経営していくか?って話ですが、収入の大部分はみなさんからのメンバーシップで組み立てたいと考えています。

よく「地域でこどもを育てる」と言います。地域全体でこどもを育てようってことなんですが、これを本気で実現していきます。

もちろん行政にお金をもらえれば一番良いですが、人口減・税収減の社会で行政頼みになり続けるわけにはいきません。でも、こどもを取り巻く状況は待ったなしです。

だから、みんなからちょっとずつお金をいただきながら、こども・若者を地巻くムーブメントをつくります。そして、少しずつ社会を変えていきます。

いろいろな仕掛けは考えているんですが、前提となるのは個人と法人の会費です。

地域のこどもに当たり前に地域の大人が投資する文化をつくる。

僕には将来構想があります。

焼津でつくり出すモデルを出発にして、地域のこどもに当たり前に地域の大人が投資する文化をつくりたいのです。

行政がやること、やれたらいいことではなく、地域の大人や企業が当事者意識を持って、地域のこどもたちのための環境を変えることにコミットする。そんな風に社会を変えていきたいと思います。

こどもは未来というけれど、こどもが希望を持てない地域に未来はありません。

100名のまるまる団をつくる。

さて、前置きが長くなりましたが、みんなの公民館まるの開設にあたって、まるまる団なる応援コミュニティをつくりました。

まるの応援団でありつつも、まるのように地域のなかでの再投資の仕組みづくりをしようと考えている全国の皆さんのためのコミュニティでもあります。

まるまる団の皆さんには、まるの経営レポートをお送りするほか、皆さんのメンバーシップで若者たちが取り組めたことを定期報告していきます。また、リアルに若者たちと接してもらうための場も用意していく予定です。

経営レポートでは、月収支を赤裸々に公開する予定です。全国で同じような場所をつくろうとしている皆さんの参考になればと考えています。

まずは100名を目指しています。本当の目標はもっとたくさんです。100名も集まらないようであれば、事業撤退もあるかもしれません。笑 

たくさん拡散して、たくさん参加してください!

一緒に未来をつくりましょう。

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