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僕の偏愛してる洋ロックのアルバムを色々紹介

僕はアルバムの格付け記事を見るのが好きです。その人の思想が垣間見えるのが楽しいから。

特に好きなのが、分かりやすいところで言えばストーンズのサタニック・マジェスティーズとか、レッチリのワン・ホット・ミニットとか、スピッツの惑星のかけらとか、そういう「普通」なら高いところにいないアルバムを高いところに置いて、そのアルバムのよさを力説してるのを見ることです。永野さんのYouTubeチャンネルの言葉を借りるなら「偏愛名盤」。

今回は僕の色んな大物アーティストにおける「偏愛名盤」を紹介します。
今回は洋楽のアーティスト限定です。日本のアーティストとは違って、評価が確立されててやりやすいのでね。


Oasis「Standing On The Shoulder Of Giants」


いきなり逆張り精神ゴリゴリの選出。
とはいえ流石にオアシスで一番好きなのはセカンドで、二番目に好きなのはファーストです。三番目に好きなのがこれ(マスタープランも含めたら四番目w)
サイケとバンドサウンドがいい感じに調和して、リアムのボーカル曲が中心(リアムの声のほうが好き)で、サードでやりたかったことを煮詰めて聴きやすくした傑作と言えます。

ノエルは「セカンドを出したとき皆俺をレノン・マッカートニーの再来だとか言ってて、サードを出したら『期待はずれだ!』とか言われたのが嫌だった」とインタビューで言ってました。そりゃ嫌でしょうね。プレッシャーしか沸かないレッテルを勝手に貼られて、勝手に失望されても困りますよ。

まあ何が言いたいかって、ファーストとセカンドが神すぎる。だからそれと同じくらいのクオリティを期待してサード以降も聴いてしまう。それをやめて、切り離して聴いたらサード以降も全然いいアルバム揃いです(でも最後のアルバムだけはやる気がなさすぎて全然ダメだと思う…)。


Red Hot Chili Peppers「The Getaway」

ジャケットめちゃくちゃよくない?

これは逆張りというか、レッチリの最高傑作でこれを挙げる人も見かけるので全然普通の選出ではないでしょうか。
人によっては「レッチリらしくない」と言って拒絶するかもしれません。
しかし「レッチリらしくないけどめっちゃいい曲がめっちゃ入ってるアルバム」と見れば今作は輝きます。
シックラブが一番好きです。あのギターソロはジョンには無理でしょう。
昨今のレッチリのやり方に文句がないわけではありませんが、彼らが一度ジョシュというギタリストと活動をしたことは非常に重要なことだと思います。
この前のアイム・ウィズ・ユーもいいですが、こっちのほうが永野さんが言ってたことを引用するならプロデューサーがレッチリの古参の人じゃないからジョシュが開き直れてて好き。


NIRVANA「In Utero」

うわ!出た!と思ったかもしれません。
そうです。私はセカンド聞き飽きたあと「ん?サードのほうがよくね?」となってしまったどこにでもいるニルヴァーナファンです。
確かにぐちゃぐちゃですが、不愉快な思いをせず聴けるぐちゃぐちゃ感で、カートの音楽理論の高さを伺えます。
売れ線狙いたくないとか言いながら本当はこっそり売りたがってたんじゃないの?っていうのが僕の本音です。
それが違うなら、「売れ線狙わず作った曲」が死ぬほど売れてしまうほど、彼が天才なんだということですが。
Radio Friendly Unit Shifterが一番好きです。ソニック・ユースとかあの辺の影響も色濃いでしょうね。 


Arctic Monkeys「Suck It And See」

ホワイトアルバム意識ですかね


「それっぽい選出」じゃないでしょうか。恐らく彼らの中で1番陰が薄いアルバムです(つってもSpotifyで全曲1000万再生達成してるんですけど)。
AMで彼らは2010年代で最も重要なバンドと言っても過言ではない地位を確立するわけですが、本作はそれに向かっていく過程がわかりやすく出てて、本作がなければAMは絶対に存在しません。
Don't Shit〜はライブの定番曲で大好きですし、めっちゃシリアスな雰囲気の中「カンフーファイティング〜」ってぶち込んでくるセンス。痺れますよね。ここでカンフーって。常人なら無理です。
本作に収録されてる曲が一曲でもAMに収録されてたら、確実に浮きます。それだけでAMの評価が下がるほど。しかしAMのほうが優れてると言いたいわけではありません。AMのよさを統一感、完成された美しさとすれば、本作のよさはいい意味で乱雑な未完成さ。もうちょい頑張ればもっといい曲にできるんじゃないか?って段階で敢えて止めている潔さ。似てるように見えて、対照的な二枚。どっちも大好きです。


Queen「The Miracle」


もう正直に言います。「フレディのエイズが発覚してから最初のアルバム」というフィルターがゴリゴリにかかってます。
それを意識して聴けば「俺はそれでもロックをやるぜ!」というフレディの意思表示が間違いなくあるし、それがよく言えば励みに、悪く言えば痛々しく感じます。
それがいいエッセンスになってることは否めません。肝心の内容に関しては表題曲は普通にいいし、アイ・ウォント・イット・オールとかもブライアン節炸裂でいい。アメリカ市場を意識しすぎたザ・ゲーム、ホットスペースなど(貶してるわけではない)とは違う「一枚の余計なことしてない普通にいいクイーンのアルバム」と言えるのですが、それがまたいいというか…。「何があっても、俺らの音楽性はぶれない」という力強さを感じます。
それで、この「クイーンらしい」作品を経て、最後に「Innuendo」という傑作を出すんですから、本当に凄いバンドですよ。



Led Zeppelin「Presence」


渋谷陽一が異様にアゲてたことで有名な作品。僕はそんなに彼のことが好きではないので複雑な気持ちになります(産業ロックという最悪な単語を流行らせた罪は大きい)がツエッペリンで4の次に好きなアルバムで、アキレス最後の戦いはジミー・ペイジの作曲の最高の瞬間じゃないでしょうか。
ツェッペリンはアルバムごとに確かなテーマがあると思ってて、それが一番色濃く出てるのが本作だと思います。言葉では説明できない「プレゼンス」というしっかりとしたテーマがある。全ての曲がそのテーマから一切外れることなく、張り詰めた緊張感があります。Nobody Faults But Mineが何気に好き。

………ここまで書いて渋谷陽一がプレゼンスについて語ってるラジオ番組の書き起こしを見たんですけど、ほぼ同じこと言っててまた複雑な気持ち。


Radiohead「Hail To The Thief」


前作、前前作で前衛音楽に近づいていった彼らが、一度ロックに立ち返って作られた作品。(という評価に世間的にはなってますけど本作も「前作、前前作と比べたら分かりやすい」というだけで、他のバンドのロック作品と比べたらなかなか難解な作品だと思います。)
2+2=5はもちろん文句無しにかっこよく、Go To SleepやThere Thereのシンプルなバンドサウンドもかなり好みです。
この次のIn Rainbowsが僕のレディオヘッドで一番好きな作品なんですけど、本作の時点でそのエッセンスがあって、ロックバンドとしてのレディオヘッドが一回前衛音楽に脳を破壊されたあと、意識が戻ってもう一回ロックバンドに立ち返ろうとしている段階(In Rainbowsで完全に立ち返る)としてこの作品を僕は評価しています。
まあまたそのあとのKing Of Limbsでまた破壊されるんですけどね…。


The Beatles「Help!」


このバンドの恐ろしいところは「偏愛名盤」の立ち位置で語ることが許されそうなアルバムが一枚もないところです。個人的に人気がないイメージのフォー・セールとウィズ・ザ・ビートルズは、ちゃんと楽曲の力が弱い(もちろん名曲もあります、怒らないで)から人気がないのであって、「偏愛名盤」として語るのは違う気がします。
僕はヘルプ!を偏愛名盤として語ろうとしてるわけですが、もうその時点で誰かに怒られるかもしれません。
もちろんヘルプ!は大傑作です。このアルバムだけで同じ年に出たアルバムほとんど蹴散らせられると思います。
でもやはりビートルズで一番好きなアルバムとして語られることが多いのはラバーソウル以降の作品であるのは事実で、その一つ前のこの作品が"じゃっっっっっっっかん"陰が薄くなるのは必然でしょう。
「純粋な愛を歌うビートルズ」はこの作品で終わりを告げ、異常なまでの作曲へのこだわりと、難解複雑な作詞で音楽を極めるビートルズに進化するのです。
「純愛はこれで終わり。今回で出し切るから聴いてってよ」とでも言いたげな名曲の数々。
恋のアドバイスが一番好きです。コーラスワークが神ががってる。


疲れたので終わります!
もっと語りたいアルバムあるので機会があれば第二弾書きます

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