見出し画像

北を向いてドラマチックと叫びたい #いぬいゆうたさん

 夏にいただいたすっばらしい時間。なんと、あの、いぬいゆうたさんにお願いして朗読していただきました! 
 びっくりするほどドラマチックな仕上がりなのです。とても自分が書いたとは思えない、新しい世界がそこに開けています。
 著者よりも作品を深く理解されているのでは、と思ってしまう。この不思議な、深い広がり。ありがとうございます、と言うのが月並み過ぎて、どうすればこの気持ちが伝わるでしょうか。北へ向かい叫んだら届くでしょうか。
 前置きはこのくらいに。
 是非、お聴きくださいませ。


 


 創作をしていると不思議なことが起こります。
 登場人物にお前そういうやつだったのか、って驚いてしまったり。展開に呆然となったり。
 物語の舞台を作るにあたって、「トップダウン」と「ボトムアップ」という技法があるのだと、つい最近教わりました。
 トップダウンは、世界を作ってから始まっていきます。こんな世界でルールはこうで、というものが先にある。その中に主人公やら出来事やらを配していく。構図を決めて木の幹を描いてから、葉や花や実を付け加える。
 一方、ボトムアップとは、何かカケラが最初にあってそこから全体像が育っていく。例えば、主人公が先に存在して、その後こいつはどんなところに住んでいるか、などなど話が生まれる。小さな木の実があって、それなら花はこう、葉っぱ、枝、幹、と出来上がって。
 プロットを作ってから書きましょう、と「小説の書き方」を解説した本には大概述べられています。トップダウンから始めよう、ということなのだと思います。困ってたのよわたし、そんなこと言われてもね。書き始めてみるまで、どんな世界の中で、何が起こるのかわからないんだもの。
 それが腑に落ちた。自分はボトムアップのタイプなんだ。プロットがないぶん、書くのに時間もかかるけど、でも小説家の中にもそういうタイプがいるのだと教えてもらいました。


 2022夏ピリカグランプリのテーマは「かがみ」。
 見つけたものは「この世のものではない万華鏡」。そこからボトムアップで出来上がったのが、朗読していただいた「神々の甘噛み」です。
 レイ・ブラッドベリの影響をかなり受けているような気がいたします。


 

 ミステリオーザ婦人もボトムアップ。

 婦人の後ろをついて歩きながら、書き始めてみたらこんな世界になってきた。犬、カラス、猫、ちょっと変わった人たち。いちいちついて歩くので、視点がコロコロ変わります。本当は、こんなに視点がブレブレになってはいけない。わたしの弱点の一つです。何とかして修正しようと思いますが、わかりづらいですよね、遠慮なく仰ってください。なのに読んでくださって本当にありがとうございます。


 

 こと長兵衛に至っては。

 些細な出来事を写真や短い映像のように映してみようとしただけで。長兵衛って誰ですかね。自分でもよくわからなかったんです、というか理解する対象ではなかった。情景だけが大切だったので。ところが「(14)皐月波」の回を書いているとき突然わかって、ひょえええー、となりました。いつか書くかな、いや書かないかな。


 あてもなくぶらぶらと歩き回るのにちょっと似ているかも。思いもかけない風景とか、人との出逢いとかあったりしますよね。
 そうやって面白い古本屋に巡り合ったりすると、小躍りしてしまいます。掘り出しものがあったりすると尚更ね。積読の山がいかほどあるのか、存じませんわ。きのこの山くらい。いえ、あたくしはたけのこの里の一派。

 

 話があちこち飛びました。わたしの悪い癖(右京さん風に発音)。
 つまりはいぬいさんの朗読はすごいんだよ! ということが言いたかった。
 たくさんの作品をアップしてらっしゃいますが、ピリカグランプリ入賞作品集は圧巻ですね。まだ聴いてないあなたも、もちろん聴いたというあなたも、ぜひこちらへ。夏のお供に最高です。

 


 聴きおわったら北へ向いて叫びたくなるよね!!



 

この記事が参加している募集

noteでよかったこと

お気持ちありがとうございます。お犬に無添加のオヤツを買ってやります。